LOGIN隣の席の呪術本を見せてくる少女に誘われて森に向かった主人公は化け物に出会う。 二人は契約を促す小さな生物にあい変身させられ化け物を葬ることになる。 この物語は化け物である、魔物を葬る少女の話である。
View More第一話魔葬少女誕生
この世界には成仏出来なかった霊がなる"魔物"が存在する。 その魔物を葬り霊に戻すことが出来る少女たち、それが魔葬少女なんだ。 とある二人の少女が魔物に堕ちるまでの物語だよ。 さて僕と契約した少女たちがどんなふうに堕ちていくのか楽しみに見ててね。 始まり、始まり~ パチパチパチパチ 僕、秋口風香には悩みがあるそれは 「んふふ、ふふふふふ……見てよ風香ちゃん、よそ見しないで、ほらほら見て」 隣の席の利根島朱莉(とねじまあかり)さんが毎日のように僕にだけノートを見せてくることだ。 しかも……呪術に関する物だ。 自作と呪術本と聞いた時は、開いた口が塞がらなかった。 ことの発端は三ヶ月前学校の図書館で調べ物をするために借りていた 『ビジュアルでわかる図解陰陽師入門』をちょうど返していた時に利根島さんに話しかけられたのだ 『ねえ君、陰陽師といえば呪術だよね? 私ね今呪術の本持ってるよ、そう持ってるよ!? 見てみる?!』ととんでもない勢いで見せてきたので当然断ろうと思ったが……返事をしようとした時には見せられていた。 その日から僕は毎日のように利根島さんにノートを見せられている。 そういう光景を毎日見られているわけだからクラスでは僕と利根島さんが付き合っているなどありもしない噂が流れている。 利根島さんの趣味を両親にだけは、絶対にバレるわけにはいかない。 なぜなら両親も呪術に限らないが、オカルトマニアだからだ。 両親の毎日毎日聞かされるオカルト話は、右から左に流している。 だが利根島さんの話を流して聴くことが出来ない。 なぜなら利根島さんには行動がついてくるうえに、毎回僕を巻き込むからだ。 今日も迷惑より心配が勝ってしまった結果 「風香ちゃ~ん、助けて~!!」 利根島さんは、縄で縛られて吊るされている。 なんだったっけ、亀甲縛りだっけ? ブラーンブラーン 「暴れないで、今助けるから」 デデーン『ナイスキャッチ』 ゲームだと、こういう効果音が流れそうだな。 「風香ちゃん、流石の私でもお姫様抱っこは……恥ずかしいんだけど」 「落下中の少女を助けるなら、これがカッコいいでしょ?」 「そうだけど……? 何か声が聞こえない?」 「森なんだし、他に人でもいるんじゃないの?」 僕が耳を澄まして聞こえてきたのは物語上でしか聞いたことのない声だった。 『やめて、やめてください!! 殺さないで!!』 叫び声を聞いた直後 落ちている菓子パンを踏んでしまった時のようか勢いの良い破裂音が聞こえた。 「風香ちゃん、これって撮影なのかな?」 「絶対違う、見つかる前に逃げるよ朱莉!!」 僕たちが見たのは、四メートルはあるであろう木より巨大な化け物だった。 僕は利根島さんを担いだまま走った。 どれぐらい走ったのか、分からないが分かることがある。 それは背後から聞こえ続ける断末魔と行き止まりに追い詰められたことが、僕たちの精神をおかしくさせたことだ。 なぜなら 「君たちも、あんな風になりたくなかったら僕と契約して魔法少女になって」 こんな意味の分からないことを言っている小さい生物が見えているからだ。 小さい生き物が言っているあんな風とは 『化け物がまるで初めてチーズを裂く子供のような無邪気な顔で人間を裂いている』ことだ。 「朱莉だけでも逃げて」 「逃げ道には化け物がいるのに……どうやって逃げろっていうのよ。風香ちゃん、いつもいつも付き合わせてごめん。誘わなかったら巻き込まなくてすんだのに」 「……今だから言うけど、私も好きで朱莉に付き合ってたから」 「あのさ、そう言うのは後でいいからとっとと決めてくんない? 死にたいなら死なせてあげるけど……三秒以内に決めて、三……二……」 「「契約します!!」」 僕たちがそう叫ぶと小さい生き物は『それでいいんだ雛(ひな)たち』と囁きながらニヤリと笑った。 次の瞬間僕と利根島さんの身体は光を放った。 僕と利根島さんの服はゴスロリ風に変化していた。 小さな生物は僕たちに向けて叫んだ。 「この力ならアイツを葬れる。四肢をもいだ後目玉を潰せ!! 君たちなら出来る!!」 「そういう残酷なのは嫌だ」 利根島さんが、何度言っても結局は契約の時同様に脅された。 僕は化け物を一撃で葬るために首を捩じ切ったが、再生した。 その光景を見ていた小さな生物は僕たちを再び脅した。 僕たちが怯えていると、満面の笑みで葬り方を教えてくれた。 その方法は、残酷そのものだった。 『化け物が苦痛に耐えきれず再生しなくなるまで攻撃を続ける』 聞いた瞬間僕は今まで感じたことのない吐き気を催した。 どうやら"魔法"とやらを使えば苦痛を増やし葬りやすくなるらしい。 その言葉を聞いた利根島さんは、いつも僕に見せていた本を取り出し読み上げた。 すると化け物が悶え始めた。 畳み掛けるように僕は小さい生き物に教えてもらった魔法を使った。 藁人形が化け物を覆い隠した後、無数の巨大な五寸釘が突き刺さった。 これを"心霊魔法"と呼ぶそうだ。 中から大量の血液が流れてきたのを見た小さな生物は『成仏完了』とそう呟いた。 「これから君たちには、成仏出来なかった魔の生き物略して"魔物"を葬って霊にしてもらう、言っておくけど拒否権はないよ。僕は契約霊のナルミ……元魔物だよ、よろしくね」 「私は利根島朱莉、十六歳で高校二年生です」 冷静を装ってるけど利根島さんの声震えてる 「大丈夫だよ朱莉、僕も一緒だから」 この小さい生き物は震えた利根島さんに自己紹介を強要した。 「そういうのいいからさ、とっとと自己紹介しろよカスが」 我慢、我慢 「分かった。僕は秋口風香、十七歳。朱莉と学年は同じです、よろしく」第八十九話吾野蔵公園を乗り越えて僕は朱莉と世界に向かうんだ。咎を殺さないといけないのは、同然として……最優先目標は朱莉の尊厳を壊した香取雛を殺すことだ。今の状態だと咎には爪すら届かない状態にしかされない。あの時の香取雛には確実に遊ばれているだけだが、遊びの状態では香取雛より咎の方が僕には恐ろしかった。可能性も含めるのなら咎よりも香取雛を狙うのが必然だ。そのためならばこの朱莉への恐怖を上手く利用してやる。「風香ちゃん、心の声と行動のギャップ凄いよ」ぷにぷに「しっ、仕方ないよ。朱莉の魅力にえないんだもん」公園が目の前だからか、もう少し気持ちを落ち着かせたい僕がいる。「ほんと風香ちゃんがここまで素直になってくれて私、嬉しいよ。やり返しちゃうんだから、えい、えいえい」ぷにぷにぷに「もう朱莉~、触りすぎだよ」僕は思わず警戒を緩めてしまい、そのせいで反応が遅れてしまった。「……っぶない!!」「ありゃりゃ、これギリギリでも避けちゃう? 残念無念そんな怨念はどこにおんねん……いやぁ寒いねぇ。もう冬かな?」「風香ちゃん、痛み飛ばすから!」「これくらいなら大丈夫だよ朱莉、安心して」「聞こえてないってか、せめて反応してほしいねぇ!!」「聞こえてないわけじゃないけど、つまんないから反応してないだけだ」「素直なのは良いことだなっ!」この女はさらに魔法を畳み掛けてきた。この女の魔法、速度自体は避けられないわけではない。そこが唯一救いなのだが、威力の高さもさることながら接触箇所が捩じ切られてしまうのがさらに拍車をかけて女の強さを納得せざるおえなかった。「さあさあこれならどうかなぁ~?」女の魔法が次々と僕の身体を捩じ切る中、ある準備を進めていた。それは甘い魔法の開発だ。普段は失う恐怖を使用して魔法を作り発動させるが、今回は朱莉への抗えない魅力という名の恐怖を利用するのだ。新しい試みというものも今後は必要となってくる。そのためには朱莉への欲望を吐け出し利用する。あぁ、ダメかも顔のニヤケが止まらない。「おい、何ニヤケてんだよ。お前の状況分かってんのか?」「分かっているとも、だからこそ笑ってるだよ! 僕には希望が存在し続けているとその証明のためにだ!!」『風香ちゃん、カッコつけて恥ずかしいこと言ってない? 嬉しいけどなんか嫌だ』『そ
第八十八話僕はアルバムを置いた場所を思い出していると、全く別のことを思い出してしまった。『引っ越しても絶対に風香ちゃんのこと忘れないからね! 絶対……絶対にまた遊ぼうね!』『うん、絶対に遊ぼうね! 〇〇ちゃん!!』 思い出したはいいものの、顔や名前に軽いモヤがかかっているのが分かる。彼女の乗っている車に反射している私を見るに幼少期の思い出なんだろうけど、今はまだ分からないのがもどかしい。幼少期の思い出を少し思い出したというのは大きな進歩だということに違いない。引っ越した友人がいたというのなら、アルバムにもしかしたら載っている可能性もある。僕自身を知ることが咎にも……母さんにも繋がるのだから、妥協している暇はない。「朱莉、僕が物を触っている記憶を読めないかな?」「了解、私に任せてよ風香ちゃん!!」神妙な面持ちで僕の記憶を辿っている朱莉にトキメキを感じていた。「見つけたよ!! あのタンスの二段目の…………わっ、私の写真の下にあるよ。風香ちゃん、そんなに私の写真印刷してたんだね。恥ずかしくなっちゃうよ」「どこにいても朱莉を感じてたかったからっていうのもあるけど、魔法を使う時に役に立てようと思ってね。ごめん、こんな使い方して」朱莉は疑問符を浮かべながら僕に質問してきた。「あのさ風香ちゃん、今更になるんだけど私たちの使ってる感情って愛と恐怖だよね。ものすごくふわっとしてないかな?」「急にどうしたの?」「いやね、風香ちゃんの記憶見てて思ったんだけど、愛にしても恐怖にしても感じ方で強くなるんじゃないかなって」「たとえば、どんな感じ?」「私は基本的に風香ちゃんへの愛なのは知ってるでしょ、風香ちゃんは私を失う恐怖を基本的に使ってる。恐怖を使う風香ちゃんでもお義母さんの時は私を落としちゃうぐらい動揺して魔法すら使えなかった」確かにそうだ、あまり疑問に思っていなかったけど、感情の種類……というか感じ方で魔法は変わるのかもしれない。恐怖にしても、母さんに朱莉を紹介出来ないと感じた時や母さんを失うと感じた時は発動すらしなかった。朱莉を失った時は普段以上に魔法を発動することが出来た。だけど、一般人となるとそこまでの威力にはなっていない。けれど魔法を発動する材料として……今もこの録音を残している。「だよね、風香ちゃん。風香ちゃんが自分を知ること
閑話その26「そんじゃあ、自己紹介からだな。私は三浦華だ。まあゆっくり教えていくから……だらけて聞いてくれ」これでも私は魔女会で講師を務めている。教えているのは第二条件だ。感情を増やす方法の増築を教えるのが、私のここでの仕事だ。「えーまず第一に、なんでもいいから趣味を増やせ」「あの先生、流石にそれは雑すぎませんか。魔法には私たちの命だって関わっているのですよ」「知ってるよ、だから趣味増やせって言ってんの。例えば食べることが趣味の少女がいたとしようじゃないか、食べ続けて運動をしなければどうなるかぐらいは想像出来るな」「はい、それは当然出来ますが……」「それで散歩が趣味として加わるとしよう、そうすれば運動でもストレスを発散することができるだろ」「ええ、それはまあ……ですが、運動の趣味に目覚めたとして食への関心が減ることも想定出来るのではないですか?」「そりゃあそうだ、その可能性だって当然ある。だが生きている以上私は美味しいものはいくらでも食べたいに決まってる」「私はって……本当にこの人が講師でいいのかな」生徒たちがすんごい不安がってんなぁ、まあ良いか最初だらけて聞けって言ってんだし。「それに幸せが一つあるだけでも人生を豊かにはするだろ、単純に考えれば増やせばより豊かになる……まあ増やしすぎて手が回らないなんてこともザラにあるがな」この顔、すんげぇ引いてんな。「みんな帰ろう、こんな人から聞いても良いことないよ」「帰るのは待て」私は教室を隔離の異空間へ転移させ生徒たちの逃げ場をなくした。「先生何をするのですか!!」「ここで帰して死なれても寝覚めが悪いんだよこっちだってな。それにお前らだって漫画やらなんやら色々読むんだろ」「……えぇ、それは読みますが、今関係ありますかそれ?」「あるに決まってんだろ。お前は何を読むんだ今すぐ教えろ」「何故ですか」「これは第二条件にも関係があるからだ。今から一方的に話すからだらけてろ。漫画の読むジャンルを増やすこと、それもすなわち感情を増やす方法の増築になる。ギャグ漫画とバトル漫画で得る感情が違うだろ。特にシリアスバトル漫画とかだと顕著だな。たとえばシリアスバトル漫画でギャグ漫画展開をするとしよう。前提として面白ければ私は構わないんだぞ。シリアスバトル漫画で突然ギャグをされてもいやこ
第八十七話まず探すことにしたのは、僕の部屋だ。「風香ちゃんはどこにアルバム置いたとか覚えたりする? 私はねぇ、アルバムとかって結構置いた場所忘れるんだよね、あはは」「それならその時は僕も一緒に探そうかな?」顔をものすごく近づけながら喜ぶ朱莉に多少の戸惑いを出しつつ僕たちはアルバムを探し始めた。「見てみて風香ちゃん、私の名前が書いてあるノート見つけたよ!」セミを捕まえて親に見せる子供みたいな無邪気な笑顔で持ってきたものを見て僕は思わずむせた。「……あっ、朱莉ななななんでそれを見つけたの!?」そうそれは、僕が朱莉への想いを書き殴ったポエムみたいなものであり、欲望がダダ漏れのノートだ。正直言って黒歴史にしたいレベルに書いてるから……本人にだけは見られたくなかった代物なんだ!!「あっ、朱莉~そのノートを今すぐに渡してほしいなぁ……というか渡して!!」「そんなに言われたら中身が、気になっちゃうな~」「というか心を読んだんだから分かってるでしょ!! 恥ずかしいから返して!」「えっ、やだ。だって風香ちゃんの全部知りたいもん、私」即答する朱莉を見て……かっこいいと思ってしまった僕がいるんだ。「朱莉、読んで良いよ」真剣な顔で滑らせている朱莉の瞳に、引かれないか不安になりながら気持ちを紛らわすためにアルバム探しを再開させた。心を読まれるのと本音を見られるのは、僕にとって似て非なるものなんだ。パタンとノートを閉じる音に身体が反応してしまった。「言いづらいのは分かるけどこういうのはやっぱり伝えてほしいな。なんか私が応えないって思われてそうでちょっと悲しいよ」あれだけ信じてくれてないと感じるのが悲しいとか朱莉にのたまった僕が、朱莉を信じきれていないなんて悪い冗談にもほどがあるだろうが。「ねえ風香ちゃん、この『僕には朱莉がいればいい朱莉さえいてくれれば元の生活になんて戻れなくてもいい。朱莉に触れたい朱莉に会いたい…………』これって本気?」これ……やっぱり引かれるやつだ。書くんじゃなかった、朱莉に嫌われるぐらいなら死んだ方がマシだ。「私は本気かどうか聞いてるの、答えて」「本気だよ。引くでしょこんな……気持ち悪いこと書いてる僕なんて」「引くわけないでしょ、触れたいならいつでも触れて良いし会いたいなら今すぐにでも一緒に住めばいい。だから死んだ方が