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第3話

Penulis: ロータス
朝の陽射しがキッチンへ差し込む中、私は北ベルディアの小唄を口ずさみながら、のんびりとベーコンを焼き、片面焼きの目玉焼きを作っていた。

これは、自分のために用意した別れの朝食だった。

椅子を引いて腰を下ろし、フォークの先を半熟の黄身に入れようとした、そのときだった。

「カチャリ」

玄関のドアが開いた。

ロレンツォが、キアラの香水の匂いを全身にまとって入ってきた。手には花束まで抱えている。

目が痛くなるほど派手な、ストレリチアの大きな花束だった。鮮やかな黄色とオレンジ色が入り交じり、太い茎がまっすぐ伸びている。

私はこの花が嫌いだった。無理やり着飾らされ、これから食卓に並べられる七面鳥の群れのように見えて、野暮ったくて悪趣味だと思っていた。

けれどキアラは大好きだった。生命力が強く、自分もいつかこんなふうになりたいのだと言っていた。

「おはよう、ヴィッキー」

徹夜明けらしい少し掠れた声だったが、機嫌は悪くなさそうだった。ロレンツォは目障りな花束を何気なくテーブルの端へ置くと、私の向かいの椅子を引いて座った。

「キアラが昨夜また騒いでさ」愚痴とも言い訳ともつかない調子で話し始める。「替えたばかりの鎮痛剤が合わないだの、効き目が悪いだの言い出して。あいつの体は本当に……ちょっとしたことですぐ体調を崩すんだから困ったもんだ」

そう言いながら、ごく自然に私のパンへ手を伸ばしてきた。

私は皿ごと持ち上げ、その手を避けた。

ロレンツォは一瞬きょとんとして、そこでようやくテーブルの上に朝食が一人分しかないことに気づいた。

「俺の分は?」彼は眉を上げ、甘やかされることに慣れきった人間特有の、当然とでも言いたげな口調で続けた。「ヴィッキー、自分と子供のことばかり考えて、婚約者を腹ぺこにしておくつもりか?」

私の冷めた表情を見て、ようやく何かを思い出したらしい。

「昨日の……教会でのことは悪かった」ロレンツォは私の手を握った。「でも、あのときキアラは本当に具合が悪かったんだ。マルコが残したのは、あいつ一人だけで……」

また、その話。

「この花」

私が何の反応も示さないのを見ると、彼はすぐさま話題を変え、あの目障りな花束をつかんで私の腕に押しつけてきた。「君のために買ってきたんだ。大好きな花だろ?中にちょっとしたプレゼントも仕込んである。見てみないか?」

意味ありげに笑うと、背後から私を抱きしめ、私の手を取って花束の中央に隠してあった小箱を取り出させた。「この中だ」

言われるまま小箱を開けてみた。

中に入っていたのは、一対のピアスだった。

私の視線が止まった。

透明度そのものは悪くない。だが光にかざせば、内部にはっきりと糸状のインクルージョンが見える。

この品質、このカット……

あまりの馬鹿馬鹿しさに、全身からすっと熱が引いていった。

「気に入った?」ロレンツォの声には、褒めてもらうのを待っているような得意げな響きさえあった。

あまりの怒りに、全身が震え始めた。

私はそのピアスを食い入るように見つめた。

私に似合って当然だ。

使われているのは、もともと私が持参金としてルッソ家へ持ち込んだ、一揃いのピジョンブラッド・ルビーなのだから。

半年前、ロレンツォはこの宝石をジュエリーに仕立てるため職人に預けたと言っていた。私はずっと、完成した品を受け取る日を楽しみにしていた。

そして今、ようやく分かった。

その中でも最も大粒で質のいい石を使ったジュエリーは、今頃キアラのドレッサーに飾られている。

私に渡されたのは、残った小粒の石で作られたピアスにすぎなかった。

こんなもので私をごまかそうとしたの?

もともと私のものなのに、それを私への贈り物にしたつもり?

「ヴィッキー?」

いつまで経っても私が口を開かないので、ロレンツォがそっと肩に触れた。

私は箱を閉じ、そのままテーブルの上へ放り出した。

「パタン」と乾いた音が響く。

「気に入らないのか?」ロレンツォは眉をひそめた。今日の私がひどく理不尽な態度を取っているとでも思っているようだった。

彼は、わざとらしく浮かべていた優しげな表情を消し、代わりに苛立ちを滲ませた。

そして軽く咳払いをすると、ようやく今日ここへ来た本当の用件を思い出したかのように口を開いた。「ヴィッキー、もう一つ話がある。来月の豊穣祭なんだけど……キアラから相談されてさ。今年は豊穣の女神をやりたいらしい」

私は一瞬、言葉を失った。

豊穣祭は、南ベルディアで最も重要な祝祭の一つだ。

ロレンツォは構わず話し続けた。「君も知ってるだろ、キアラの体のことは……最近ずっと気分が落ち込んでるんだ。本人にも2回頼まれたんだ。昔から一度でいいから豊穣の女神をやってみたかったって」

伝統では、祝祭で大地の豊穣と一族の繁栄を象徴する女神役は、代々ドンの妻が務めることになっている。ドンが未婚の場合に限り、その姉妹、あるいは一族の長老会が認めた未婚女性が代役を務める。

そして私、ヴィクトリア・デ・ルカは、ロレンツォ・ルッソの子供を身ごもっていながら、いまだ正式な結婚式を一度も挙げられていない。

長老会に認められれば、キアラにもその役を務める資格があるということになる。

「分かるだろ?」

ロレンツォは私の顔色を窺いながら、少し苛立った口調で続けた。「あいつは体も弱いし、せっかく楽しみにできることが見つかったんだ。それに子供の頃からずっと、一度でいいから女神役をやりたかったらしい。マルコが生きてた頃も……」

彼は、私がいちばん嫌いな花を私に贈った。

私が持参金として持ってきた宝石の端石で安っぽいジュエリーを作って私をごまかし、最も価値のある部分は別の女に贈った。

そして今度は、一族の栄誉と正統な継承を象徴するこの祝祭で、本来なら私に与えられるはずだった名誉と立場まで奪おうとしている。

ただ、別の女を「喜ばせる」ためだけに。

その瞬間、不思議なほど心が軽くなった。

私はもともと、そんな肩書きや役目に執着していたわけではない。

けれど今、はっきりと理解した。

ロレンツォの心の天秤が、私とキアラのどちらへ大きく傾いているのかを。

「いいわ。私も賛成よ」

私は顔を上げ、穏やかな笑みを浮かべた。

あまりにもあっさり承諾したせいか、ロレンツォには予想外だったらしく、一瞬固まった。「君……いいのか?」

「ええ」私はナプキンで口元を拭い、立ち上がった。「ただの役でしょう。彼女がやりたいなら、譲ってあげればいいわ」

ロレンツォの顔がぱっと明るくなり、それまで浮かんでいた苛立ちは一瞬で消え去った。

私を抱きしめようと手を伸ばす。「やっぱりな!ヴィッキーなら分かってくれると思ってた!君はいつだって聞き分けがいい。さすがドンの妻にふさわしい度量と――」

言い終える前に、

「ブブッ――!」

彼のポケットの中で、またスマートフォンが鳴った。

専用の着信音。

キアラ自身がピアノで弾き、録音した『愛しきルッソへ』という曲だった。

ロレンツォの顔には邪魔されたことへの苛立ちが一瞬浮かんだものの、それ以上に強かったのは、「必要とされているんだから仕方がない」とでも言いたげな表情だった。

「悪い、ヴィッキー」

彼は「分かるだろ?」と言いたげな顔を私に向け、電話に出ながら玄関へ歩いていった。「もしもし、キアラ?今度はどうした?……分かった、すぐ行く」

電話を切ると、慌ただしく車のキーを手に取った。

玄関まで行ったところで、わざわざ戻ってきて念を押す。「これで絶対に最後だ!ヴィッキー、約束する!明日こそ結婚式をやり直そう。子供が生まれたら、俺の時間は全部、君と子供のために使うから!」

断言するような口調。

真剣そのものの眼差し。

まるで、その約束が本当に果たされるものであるかのように。

私は慌ただしく出ていく彼の背中を、無表情で見送った。

最後?

もう次なんてないわ、ロレンツォ。

……

翌日、サンタ・マリア教会。

教会の中は昨日以上に豪華に飾りつけられていた。

純白のバラとスズランが入り口から祭壇まで途切れることなく飾られ、空気には高級な香水を思わせる香りが漂っていた。

招待客たちは声を潜めて話しながら、時折、新婦の控室のほうへ視線を送っていた。

完璧に仕立てられた黒の礼服を身につけたロレンツォは祭壇の前に立ち、余裕のある様子で袖口を整えていた。

機嫌はよかった。

昨夜のキアラは少し機嫌を損ねていただけで、しばらく話し相手になってやればすぐに落ち着いた。

ヴィクトリアもとても「聞き分けがよく」、癇癪を起こすこともなかった。

今日こそ、すべてが丸く収まる。

ただ一つ――花嫁がいつまで経っても姿を現さないことを除けば。

そのときだった。

ロレンツォの腹心であるアントニオが、真っ青な顔で招待客の間を縫うように進み、足早に彼のもとへ駆け寄った。

そして声を潜め、切羽詰まった様子で告げる。「ドン!デ・ルカ様が……屋敷にいません!部屋は空っぽで、荷物も全部なくなっています!」

「何だと?」

「捜しに出した者からの報告では……デ・ルカ様は、中絶手術を扱っている病院へ向かわれたようです」

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