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第289話

Penulis: 冷凍梨
どれくらい立っていたのかも分からない。手足の感覚はすでに麻痺し、周囲は鋭く叩きつける雨音以外、驚くほど静まり返っている。頭上の照明もいつの間にか消え、ぽつりと一、二灯だけが不自然に明るく灯っている。

ふいに、少し離れた場所から強い光が差し込み、制服姿の警備員が二人、勢いよく駆け寄ってきて、私の両側に立った。

「こいつだ」警備員の一人が険しい声で言った。「しっかり見張れ。車の持ち主が来るまで」

「ずっとコソコソして帰らないなんて、どうせロクでもないことを考えてるに決まってる……」

一瞬呆然とした後、私は自分が不審者と勘違いされたことにようやく気づいた。慌てて説明しようとした。「ちょっと……誤解です……わ、私……」

まさか寒さで、うまく言葉さえ出てこないなんて。

そのとき、少し離れたところから声がした。「車の所有者が来た。本人に処理させよう」

顔を上げると、案の定、眉をひそめながら歩いてくる八雲の姿が見えた。

視線がぶつかった瞬間、彼の眉間がさらに深く寄った。私は慌てて言った。「紀戸先生、私……誤解を解いてください……」

八雲は苛立った様子で私を一瞥し、「なんでまだここにいる?」と問うた。

私はすぐに警備員へ説明した。「わ、私たち……知り合いなんです。誤解なんです」

警備員は私をきつく睨みながら、今度は八雲に向き直った。「紀戸さん、この……この女性をご存じですか?」

八雲は私を見据え、視線を私の顔に固く固定したまま、何も言わない。

私はさらに自分を弁護した。「彼は私の上司なんです。用事があって来ただけで、本当に」

警備員は私の言葉が嘘には聞こえなかったのか、それ以上は責めてこなかったが、八雲の返答を待ち続けていた。

だが八雲は、ただ黙って少し離れた場所に立ち、態度を示そうとしない。

その沈黙が長く続いた。

私はもともと胸の中に鬱憤を抱えていたのに、このときまた八雲がまるで面白い見物でもしているような態度を取っていたせいで、一気に怒りが込み上げ、思わず一歩踏み出して言った。「八雲、あんた……何か言いなさいよ。私たちが知り合いだって……認めるのか、それとも……」

言い終わらぬうち、急に視界が暗転し、意識がふっと途切れた。

……

温かい水流が首筋を伝って滑り落ちる。ゆっくりと目を開けると、蒸気の中、八雲の手にあるシャワーヘッドは、まるで
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