Executive Seduction

Executive Seduction

last updateLast Updated : 2025-01-05
By:  Robyn Blue Ongoing
Language: English
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Two best friends. Two love stories. One unforgettable ride. Rain’s running from heartbreak. Harper’s running headfirst into it. One’s swearing off love, the other’s daring it to try her. Every five chapters, the spotlight shifts—first Rain’s messy, laugh-out-loud journey, then Harper’s fiery, no-nonsense approach to romance. Two arcs, two wildly different paths… but somehow, fate keeps pulling them (and the irresistible men they should avoid) right back in. 💖 Who will fall first? 💖 Who will fall harder? Grab your seat – this is one love story that plays out in stereo. Harper didn’t sign up to play Cupid— but for ten times her salary? She’ll find her boss, Eros Lancaster, a bride in sixty days. The problem? Eros doesn’t do love. Wealth, charm, and a lineup of flings—he has it all. But with his company’s future on the line, his sister’s demanding he settle down. Just as Harper starts scheming, Eros flips the script—offering her the role of his contract wife. Now, Harper’s stuck between his sister’s deal and his tempting proposal. What could possibly go wrong? ~~~ One night turns into a morning-after she can’t stop thinking about. And when fate throws him back in her path—again and again—Rain starts to wonder if this wasn’t just some random hookup. Maybe, just maybe, the universe isn’t done with them yet. Love wasn’t on Rain’s to-do list… but it might have just RSVP’d anyway.

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Chapter 1

1. The Offer

私、南沢枝里(みなみさわ えり)は、昔から何かあると誰かに話したくてたまらなくなる人間だった。

道端に咲いていた花。

口に合わなかったコーヒー。

仕事帰りに見上げた夕焼け。

ふとした拍子に婚約者の神崎照也(かんざき てるや)のことを思い出したことさえ、私にとっては誰かに話したい些細な出来事だった。

私はいつも、つい彼にメッセージを送ってしまっていた。

照也の返事は、いつだって短くてそっけなかった。

それでも必ず返ってくる。

その事実だけを頼りに、この半年、結婚準備も、ウェディングドレスの試着も、式場選びも、ほとんどひとりで進めてきた。

そうして、結婚式の直前までたどり着いた。

彼のパソコンの中に、あのAIプログラムを見つけるまでは。

結婚式の五日前だった。

そのプログラムは、私が送った文章を分類し、キーワードを拾い、もっとも無難で、もっとも面倒の起きない返事を自動で作るものだった。

会いたい、には「うん」

つらい、には「わかった」

けんか、には「騒ぐな」

この半年、私の話したがりな気持ちを受け止めてくれていたのは、照也ではなかった。

その隣に開かれていた別のトーク画面には、彼と別の女のやり取りがびっしりと並んでいた。

おはようから、おやすみまで。

今日何を食べたかから、いつか一緒に海へ行きたいという話まで。

そのとき、ようやくわかった。

照也の愛は、決して無口でわかりにくいものではなかった。

ただ、その愛が私に向けられたことが、一度もなかっただけだ。

誰にも応えてもらえないまま待ち続けることをやめる決心をした。

……

照也が帰ってきたのは、夜十時を過ぎてからだった。

彼は玄関のドアを開け、靴を脱ぎながら言った。

「まだ寝てなかったのか?」

私はリビングのソファに座ったまま、彼を見つめた。

「待ってたの」

照也は眉をひそめた。

「用があるならLINEで言えばいいだろ。わざわざ帰りを待つ必要あるか?」

私は彼に尋ねた。

「照也、私って、そんなに話が多い?」

彼の動きが一瞬止まった。

「急に何だよ」

「本当のことを言って」

照也は上着を椅子の背に掛け、少し面倒くさそうに息を吐いた。

「まあ、そう思うときはある」

私はうなずいた。

「どんなとき?」

「俺が仕事してるときに、どうでもいいことをいくつも送ってくるときとか」

「たとえば?」

「今日の昼なら、会社の近くに新しいスイーツの店ができたから週末に行かないかって言ってきただろ。午後には、披露宴のテーブル装花を白いトルコキキョウに変えたいって。夜には、街灯が切れててひとりで歩くのが少し怖いとか何とか」

そこまで言って、彼は小さく笑った。

「枝里、自分で気づいてるか?お前、何でも俺に話そうとするよな」

私は彼を見つめた。

「恋人同士って、そういうものじゃないの?」

「でも俺には、そこまで付き合う余裕はない」

彼は私の向かいに座り、少しだけ声をやわらげた。

まるで、聞き分けのない子どもに言い聞かせるように。

「毎日仕事で疲れてるんだ。帰ってきてまで、お前の気分に付き合うのはきつい。もう少し大人になれないのか?」

もう少し大人になれ。

この五年、彼が私にいちばんよく言った言葉だった。

記念日を一緒に過ごしたいと言えば、そんな形式にこだわらず大人になれと言われた。

ウェディングドレスの試着に来てほしいと言えば、ドレスなんてどれも似たようなものだ、大人になれと言われた。

仕事でつらかったことを聞いてほしいと言えば、働いていれば誰だってつらい、大人になれと言われた。

けれど今日、私は彼と園田美優(そのだ みゆ)のトーク履歴を見てしまった。

履歴は長すぎて、午後いっぱいかけても半年前までしかさかのぼれなかった。

そこにいたのは、私の知らない照也だった。

頼まれれば何でも応え、時には呆れるほど子どもっぽく、やさしかった。

美優がぶどうを食べて酸っぱそうにしただけで、彼は三十分もかけて、根気よくやわらかな言葉でなだめていた。

私は照也を見つめ、とうとうこらえきれずに聞いた。

「じゃあ、どうして美優は大人にならなくていいの?」

照也の眉間に、はっきりとしわが寄った。

「枝里、お前が今日わざわざ俺を待ってたのは、けんかするためだったのか?」

話をすり替えて、いつの間にかこちらを悪者にする。

照也の得意なやり方だった。

美優の話になるたび、最後にはいつも、私が嫉妬深くて物わかりの悪い女にされていた。

でも、今回はもう引き下がらなかった。

「わかった。美優の話はしない」

私は彼の目を見たまま、一語ずつはっきりと言った。

「私の話が多いと思うなら、そう言えばよかった。どうしてAIなんかに返事をさせたの?」

照也の顔色が、ようやく変わった。

苛立ちの奥に、ほんのわずかな後ろめたさがにじむ。

「なんでそれを知ってる。俺のパソコン、勝手に見たのか?」

私は何も言わず、ただ彼を見つめた。

しばらくして、照也は観念したようにため息をついた。

「お前、いつも俺が美優にばかり何か作ってやって、お前には何も作らないって言ってただろ。このAIプログラムは、俺からお前へのプレゼントのつもりだったんだ」

私は少し笑いたくなった。

照也は、業界でも名の知れた天才プログラマーだった。

美優の誕生日には、彼女専用のサイトを作った。

開くと雪が降り、花火が上がり、画面の真ん中に言葉が浮かぶ。

【美優、ずっと笑っていて。俺はずっとそばにいる】

美優が眠れないと言えば、寝かしつけ用のアプリを作った。

その日の気分に合わせてホワイトノイズを流し、寝る前に白湯を飲むよう知らせてくれるものだった。

美優が仕事中に退屈していると言えば、小さなゲームを作った。

画面の中のキャラクターが彼女を追いかけながら応援し、「美優は最高」と言ってくれる。

そして私の番になると、それは彼の代わりに私をあしらうためのAIプログラムになった。

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