Nasty Games: Playing With The Ruthless Mafia

Nasty Games: Playing With The Ruthless Mafia

last updateLast Updated : 2023-11-15
By:  ChikitaLoreOngoing
Language: English
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Synopsis

Money and power. That is where Bora Huassefa Mafianni's world revolves. But as she explores the mafia world more, she meets Connor Zulueta, who will make her feel different emotions she hasn't felt before. Can Connor change Bora for the better? Can the two powerful mafias collide? Or they will be the end of each other's bloodline? Watch Bora as she plays the Nasty Games made by the Ruthless Mafia.

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Chapter 1

CHAPTER 1

小栗柚希(おぐり ゆずき)が再び産科医として働き始めてから、最初に担当することになった胎児エコーは、自分の夫とその昔の恋人の子どもだった。

彼女は妊婦のデータを凝視し、震える声を必死に抑える。「前田看護師、この妊婦の旦那さんって……三上重人ですか。システムの不具合じゃありませんか」

看護師がそっと顔を寄せ、小声でささやいた。「その三上家の御曹司ですよ。ここは三上家のプライベート病院で、院長ですら大城菜月のことを丁寧に奥様と呼んでます。間違えるはずありません」

そして看護師がスマホを差し出しながら、頬をほんのり染めて言った。「ほら、めっちゃ甘くないですか」

三上重人(みかみ しげと)が大城菜月(おおしろ なつき)のふくらんだお腹に耳を当て、胎動を楽しむ写真を見た瞬間、柚希の瞳孔はすっと縮む。

産科主任がからかうように笑った。「大城さんは妊娠四カ月だけど、三上社長は健診に一度も遅れたことがないんです。奥さん命ってこういう人のことですね」

柚希の耳の奥がじんじんと鳴り続け、頭の中が真っ白になる。

「大城さんって本当に幸せですよね。旦那さんはイケメンでお金持ちで、家庭円満。いいなあ」羨ましそうな看護師が言った。「ね、小栗先生もそう思いますよね」

柚希はぼんやりと返事をし、白衣を握りしめる指先が震えた。

自分の夫が、昔の恋人と結婚して、しかももう子どもまでいる。

生まれて初めて、三上夫人という自分の立場に疑いが芽生える。

結婚して五年、柚希はようやく子どもを亡くした悲しみから立ち上がれた。

なのに重人は一年間の海外赴任に出てしまい、柚希は距離を縮めるため、こっそりM国の病院に応募してやって来た。

けれど、今の状況を見る限り、自分の存在は完全に余計だ。

菜月がなかなか現れず、柚希は落ち着かない息を何度も吐いた。

彼女が重人に確認の電話をしようとした瞬間、ドアノブが回り、ボディーガードたちが一列に並ぶ。

大勢に守られた菜月が、申し訳なさそうに微笑みながらお腹を優しくなでた。

「夫が急に会議で、付き添えなくて。駄々をこねられて二時間も遅れちゃいました。皆さんのお時間、取らせてしまって」

目が合った瞬間、柚希の全身の血が凍りつく。

柚希は一目で分かった。菜月が重人の財布に入っていた写真の女性だ。

健診が始まり、柚希は震える手を必死で押さえ込む。

しかし冷たいプローブがお腹に触れた瞬間、菜月が鋭く息を吸い込み、尖った爪が柚希の手首を掴み、赤い痕がくっきり残る。

「ごめんなさい。今までの健診はいつも夫が一緒で、今日はちょっと慣れなくて」

柚希は胸の奥の苦みを飲み込み、無理に笑顔をつくった。「旦那さんとは、とても仲が良いんですね」

その言葉に、菜月の耳がふっと赤く染まる。「私と重人は幼なじみなんです。子どもの頃から、いつか私をお嫁さんにすると指切りしてくれて。

大学の頃、私がレースにはまっていた時は、告白のために国際大会で優勝して、表彰台の上から九十九回、私に愛してるって叫んだんですよ。

プロポーズの年は、ヴェルサイユ宮殿をまるごと貸し切って、庭園で片膝をついて、ウィンストンのブルーダイヤを私に嵌めてくれて。

妊娠してからは、国内の仕事を全部放り出して、毎日マッサージしてくれるし、ご飯も全部食べさせてくれて」

自分が知らないところで積み上げられてきた甘い思い出が、柚希の胸に細かい痛みとなって染み込んでいく。

あの誠実で優しくて、自分だけを見てくれていたはずの重人が、同じ温もりを別の女性にも注いでいた。

彼との結婚は、すでに形だけになっていた。

柚希が何か言おうとした瞬間、重人が菜月に電話をかけてきた。

「菜月、健診は終わったかな。フレンチを予約したよ。君の好きなチェリーのフォアグラがある。今から迎えに行く」

その声を聞いた菜月は、目尻を柔らかく上げ、唇を隠しながら微笑む。

「それと、結菜はどうしてる。君を困らせたりしてないだろうね」重人が聞いた。

途端に、菜月の表情が凍りつき、その冷たい視線が部屋の隅へ突き刺さった。

柚希はその時ようやく気づいた。そこに、やせ細った小さな女の子が立っていた。

女の子はおずおずと影から出てくる。顔立ちが自分と驚くほど似ていて、柚希の呼吸が止まりそうになる。

結菜(ゆいな)は震える指でスマホを受け取り、小さく言った。「重人さん、私、いい子にしてるよ」

電話が切れた途端、菜月は彼女の耳を思い切りつねりあげた。「親に捨てられた野良の子のくせに、哀れっぽい顔で同情でももらいたいの」

そして菜月は結菜を乱暴にボディーガードへ押しつけ、冷えた声で言った。「隔離室へ。今日は夕食抜き」

泣き腫らした目で、それでも声を殺して耐えようとする女の子の姿が、柚希の胸を鋭く締めつける。

柚希が手を伸ばしたが、指先は女の子の髪に触れただけだ。

その時、ぼんやりした意識を断ち切るようにスマホが震える。重人からのメッセージだ。

【柚希、ご飯はちゃんと食べた。会いたいよ】

彼はすぐに位置情報が送られてきた。

【君が気に入ると思う店だよ。今度一緒に来ようね】

添えられた写真には、綺麗に盛りつけられたフォアグラ。そしてワイングラスに映り込んだドレスの裾は、菜月が着ていたものだ。

柚希は唇を噛みしめ、休暇を取ってレストランへ急いだ。

走りながら、二人の出会いが脳裏に鮮やかによみがえる。

当時、彼女は南国で医療交換プログラムに参加していて、飛行機の中で臨月の妊婦を救った。

その姿をファーストクラスから見ていた重人は、一目で彼女に心を奪われ、激しいアプローチを始めた。

彼は柚希の名義で現地に巨額の寄付をし、ただ彼女の生活環境を良くしたいという理由だけで行動した。

マラリア感染の危険を冒しながら、彼女のそばを片時も離れず、疫病地域の子どもたちを救う活動にも同行した。

草原で動物の大移動を見に行き、毒蛇に噛まれた彼女の傷口から、彼は迷わず毒を吸い出してくれた。

結婚してからの彼は、さらに行動で愛を示してくれた。

彼は夜ごと、耳元で甘くささやいた。「柚希、愛してるよ。俺に子どもを授けてほしい」

だが出産の日、柚希は激痛の中で気を失い、目が覚めた時には子どもが死んだと告げられた。それ以来、彼女は重人の優しさを受け止められなくなった。

そして四カ月前、二人は別居状態になっていた。

レストランに着いた頃、重人は席を立って電話を受けていた。柚希はそっと柱の陰に身を隠す。

「おめでとう、重人さん。菜月さん、妊娠したよね。でもさ、当時君が、結菜は死んだって小栗に嘘ついて、実際は菜月さんに預けたんだろ。今さらどうする気なんすか」

「そのまま育てればいい。三上家は金に困らない」重人の声は淡々としていた。「菜月は昔、祖母を助けるために体を張って、その結果もう妊娠しづらい。だから柚希に産ませた。菜月に子どもを返すために必要だっただけだ」

「でも、なんでよりによって小栗なんだ。医者だよ。気づかれたらどうする」

重人は笑ったように見えた。だが、その次の言葉は柚希を氷の底に沈める。

「彼女は産科医だ。胎児の扱いをよく知っている。最高の器なら、菜月に健康な子どもを渡せるだろう。

それに、俺たちの婚姻は偽物だ。もし気づいたところで、彼女に何ができる」

ひとつひとつの言葉が、刻みつけるように柚希の心を深く刺し貫く。

重人にとって、彼女はただの出産装置だ。

そして彼女の大切な実の子は、菜月に虐げられ続けていた。

震える指で録音を停止した瞬間、画面に世界保健機関からの通知が飛び込んでくる。

【小栗柚希様、国境なき医師団の一員として、ぜひ参加していただきたい】

柚希は迷わずに、すぐに返信した。

【参加します。一週間後、日陽国本部でお会いしましょう】
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