The Captive Luna

The Captive Luna

last updateLast Updated : 2023-08-10
By:  AI_GoldOngoing
Language: English
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"Words, Natalia. Use your words. Do you agree to be my pretend mistress to lure out the traitors, yes?" "Yes. Yes Vitale, I agree." ___ Natalia Popov, once the Sanguinari wolf pack's beta and future Luna, lost everything when she was caught betraying her mate and Alpha. She was banished from the pack, becoming a fugitive rogue. Five years later, her past caught up with her when her secret triplet went missing. And the key to finding them lies with the very Alpha that wanted her dead. Would Natalia risk her life for her kid's safety and seek help from Vitale? What if he found out she had been hiding his kids all along?

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Chapter 1

1.

水泳の練習中、幼なじみの桐谷莉央(きりたに りお)が足をつったふりをした途端、恋人の黒瀬直哉(くろせ なおや)は私の手を放し、彼女のもとへ泳いでいった。

私――宮原琴葉(みやはら ことは)は、水深2メートルのプールにたった一人で取り残された。

直哉は莉央を抱えるようにしてプールサイドへ上げると、水の中でもがく私を笑顔で見つめた。

「莉央がさ、琴葉は俺に頼りすぎだって。少しくらい追い込まれないと泳げるようにならないって言うから。自分でここまで泳いでおいで」

水を飲んだ私は、そのまま沈みかけた。

莉央は必死にもがく私を見て、お腹を抱えて大笑いしていた。

直哉はそんな彼女に何か言い、呆れたようにバスタオルを肩へ掛けてやった。

何を言ったのかは聞こえなかった。

けれど、きっとこう言ったのだと思う。

「もう気が済んだだろ。次からはやめろよ。ただでさえ琴葉は水が怖くてかわいそうなんだから」

私は昔から水が怖かった。

二人と知り合って7年。二人はいつも「水への恐怖を克服させるため」と言って、私を苦しめてきた。

大学時代、海へ遊びに行ったときは、莉央がわざと私をモーターボートから突き落とした。

直哉は海へ飛び込むなり莉央をかばい、私は波にもまれながら、腹いっぱいに海水を飲んだ。

卒業旅行でラフティングをしたときは、莉央が突然ラフトを転覆させた。

直哉は真っ先に彼女のもとへ泳いでいき、岩に脚をぶつけて血が止まらなくなった私を、そのまま放っておいた。

去年ウォーターパークへ行ったときは、莉央がウォータースライダーの滑り口から私を突き落とした。

あとから滑り降りてきた直哉は莉央を受け止め、私はプールの中に取り残され、息ができなくなるほど怯えた。

私が恐怖と絶望に襲われるたびに、莉央は声を上げて笑った。

そして、その後ろに立つ直哉は、決まってこう言った。

「次からはやめろよ」

けれど、彼の言う「次」は、いつも莉央が私をからかうための新しい遊びに変わった。

水が口と鼻から流れ込み、息苦しさで頭が破裂しそうになった。

けれどそのとき、ふと思った。

一人でも、浮かぶことくらいはできるのかもしれない。

私はコースロープにしがみつき、どうにかプールサイドへ這い上がった。

二人が同時に手を伸ばしてきた。

私は、その手を振り払った。

「もういい。二度と、私のためなんて言ってこんなことしないで」

直哉はきょとんとしたあと、笑って私の髪をくしゃりとなでた。

「琴葉、怖すぎておかしくなったのか?何言ってるんだよ」

莉央もすぐに口を挟み、いたずらっぽく私にウインクした。

「そうだよ。私だって琴葉のためを思ってやったんだから。もうしないってば」

私が何も答えずにいると、莉央は傷ついたように唇を尖らせた。

それから何かいいことを思いついたように、ぱっと表情を明るくした。

「じゃあ公平に、今度は私が深いほうに飛び込む。琴葉に、怖がるようなものじゃないって見せてあげる」

言い終わる前に、直哉が莉央の腕をつかんだ。

眉をひそめ、きつい口調で言った。

「前に水を飲んで病院へ運ばれただろ。無理するな。琴葉だって怒ってないよ」

私はその場に立ち尽くした。

全身から、まだぽたぽたと水が落ちていた。

さっき、私が水深2メートルのプールに沈みかけたとき、直哉はまばたきひとつしなかった。

それなのに、莉央が飛び込むと言っただけで、直哉は血相を変えた。

「ほら、スパに行こう。少し温まれば、さっきの埋め合わせにもなるだろ」

直哉はなだめるように、また私の頭を優しくなでた。

「いつまでも俺に頼ってばかりじゃ駄目だぞ、琴葉」

私はぼんやりしたまま二人についていった。

到着して初めて、そこが水深のあるジャグジーだと気づいた。

入り口には、こう書かれていた。

【カップル専用。2人で入るとジェットバスが作動します】

直哉はプールと私を見比べ、わずかに迷った。

「琴葉はさっき怖い思いをしたばかりだし、入らないほうがいいな。俺は莉央に付き合うよ。こいつ、腰が悪くて水中マッサージが必要なんだ」

莉央は口元をほころばせ、首をかしげて直哉の肩にもたれた。

「ありがとう、直哉」

私は二人が肩を並べてプールへ入っていくのを見つめた。

楽しそうに笑い合っていた。

7年間。

彼らが悪ふざけをしている間、私は怖がることさえ許されなかった。

それなのに今は、怖がってもいいのだろうか。

「直哉」

ちょうど莉央の髪をまとめてやっていた直哉が、私の声に振り返った。

「来週の婚約パーティー、中止にしよう」

直哉の手が宙で止まった。彼はすぐに顔色を変え、私のほうへ泳いできた。

「琴葉、落ち着け!俺が上がってから話そう!」

私は待たなかった。

タクシーを拾い、自宅のマンションへ戻った。

母はちょうどエントランス前の植え込みで、近所の人たちに来週のパーティーの準備を自慢していた。

「ホテルももう押さえたのよ。席も料理も28卓分用意して、直哉さんのご家族は琴葉に婚約指輪や記念品まで準備してくださって……」

ずぶ濡れの私がタクシーから降りてくるのを見るなり、母の顔が険しくなった。

いつ追ってきたのか、莉央が母の腕に絡みついた。

甘く、いかにも傷ついたような声を出した。

「おばさん、琴葉が私にいじめられたって……それで婚約をやめるって言うんです」

次の瞬間、母は近所の人たちが見ている前で、私の腕をつかんだ。

「あんたに婚約を取りやめる資格なんてあるの?自分がどんな女か分かってるでしょう。男に散々遊ばれたような女が……」

「お母さん!」

声が震え、泣きそうになった。

「私はそんなことしてない!ずっと真面目に生きてきたのに、どうして子どもの頃から、いつも私のことをそんなふうに言うの?」

「私が嘘をついてるっていうの?」

母は腕を振り上げ、そのまま私の頬を叩こうとした。

そのとき、直哉の車が道端に止まった。

直哉は駆け寄ると、私の前に立った。

「おばさん、落ち着いてください。琴葉はさっき怖い思いをして、気が動転しているだけです」

母はさらに腹を立てた。

「そんな臆病者で、直哉さんに捨てられたら何が残るの?父親と同じよ。水を見ただけで何もできなくなる、役立たず!」

母は私を家の中へ押し込んだ。

背後で、扉が激しい音を立てて閉まった。

私は床にしゃがみ込んだ。

頭の中に、5歳の頃の光景がよみがえった。

父は私の目の前でゆっくりと水の中へ沈んでいった。

私は岸に立ち、声が枯れるまで泣き続けた。

それから母は、取り憑かれたように私へ水泳を習わせた。

泳げなければ、浴槽の中へ頭を押し込まれた。

鼻の奥に水が入り込むあの感覚を、私は5歳のときから、25歳になった今まで忘れたことがない。

母は言った。

「お父さんは水を怖がったから溺れ死んだの。あんたまで水を怖がっていたら、いつか同じ目に遭うわよ」

私は顔についた水を拭った。

プールの水なのか、それ以外のものなのか、自分でも分からなかった。

スマホを手に取り、大学時代のルームメイトだった小松寧々(こまつ ねね)に電話をかけた。

「この前言ってた、離島の学習支援ボランティアって、まだ人を募集してる?」

「え?本気?ここから船で3時間もかかる島だよ。暮らしだって、かなり不便だし」

「本気だよ」

私は乱暴に閉められた扉へ目を向けた。

「ここから離れたいの」

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Friday Mercy
Friday Mercy
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2023-07-29 03:30:57
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