Toying Alpha

Toying Alpha

By:  Mari HockettCompleted
Language: English
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Jamie Westbrook had been waiting all her life to have her Shifter Ceremony and finally experience what it's like to run free. However, in a single moment, everything goes wrong leaving her life irrevocably changed. Now, forced to leave her pack for a new one, she's not exactly happy to be there. Even worse, she can't allow herself to be when there's suddenly danger at every corner. The dark truth she's discovered needs to come to light, but how is she going to make that happen when her new pack isn't just going to take her word for it? Well, Jamie's always been stubborn, and she refuses to let these people get away with it. Toying Alpha is created by Mari Hockett, an eGlobal Creative Publishing Signed Author.

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Chapter 1

Chapter 1: Feral Energy

一ノ瀬明咲(いちのせ あき)と芦屋時也(あしや ときや)は、三度も結婚式を挙げたけど、そのたびに、みんなの笑い者になった。

一度目の式。誓いの言葉を交わしている途中で、朝比奈若菜(あさひな わかな)が鉄のハンマーを持って乱入してきた。

血走った目で祭壇の花を叩き落とし、ガラスが割れる音と悲鳴。あっという間に、幸せの場は修羅場に変わった。

時也はすぐに警察を呼び、若菜はあっけなく連行された。

二度目の式。司会が「新郎新婦、ご入場です」と明るく宣言した直後、会場のスクリーン一面に、時也と若菜のツーショットが次々と映し出された。

どの写真も直視できないほど生々しい。明咲は、その場に立ち尽くすしかなかった。

時也は何も言わず、スタッフに目配せして電源を落とすと「明咲、俺が全部片付ける。待ってて」とだけ告げて会場を出ていった。彼女とゲストを置き去りにして。

後から聞いた噂では、時也は若菜を郊外の更生施設に突っ込んで「生き地獄を見せてやる」と言い放ったらしい。

三度目の式。バージンロードを歩き出す寸前、時也のスマホに若菜からビデオ通話が入る。

画面の向こうで、若菜は海を背に微笑んだ。「時也、私ここから飛び降りる。これで借りをチャラにしてよ?」

時也は鼻で笑う。「飛びたいなら早くしろ。俺の結婚の邪魔をするな」

でもその直後、会場の誰かが叫ぶ。「若菜さんが本当に飛び込んだ!」

SNSのトレンドには【#朝比奈若菜、海へ身を投げ捨てる】

時也は「誓います」と言いかけたけれど、そのまま明咲を見つめて「どうあれ、一人の命だ。明咲、式は延期しよう」と静かに告げた。

それきり、彼は会場から消えた。

明咲は崩れ落ちた。

まわりのざわめきと、好奇の視線が肌に刺さる。

「三度目だよ?やっぱり時也さんは若菜さんに未練があるんだろうね」

「明咲さんも運が悪い……」

父の一ノ瀬和正(いちのせ かずまさ)は慣れたようにゲストへ頭を下げ、母の由紀子(ゆきこ)は駆け寄ってきて明咲を抱きしめる。「明咲、もうやめよう?時也さんは、信用できない」

胸の奥が強く締めつけられて、息が詰まる。

悔しさがこみ上げてきて、スマホを握りしめた指が震える。今すぐ時也に電話したい。帰ってきてほしい。その思いだけが胸を満たす。私って、いったい何者なんだろう。あなたにとって私は、何なんだろう――

けれど、そのとき。画面の上にニュース速報の通知が表示され、指先が空中で止まった。

【朝比奈若菜、海に飛び込み、芦屋時也が救出。元恋人たちの因縁?】

手の震えがさらにひどくなる。無意識のまま通知をタップした瞬間、ニュース動画が自動で再生された。

ニュース動画には、ずぶ濡れの若菜を抱きしめる時也。その声は憎しみを隠しながら、でもどこかに情けが滲む。

「若菜、君はまだ償いが終わってない。死ぬなんて許さない」

若菜はそっと彼の顔に触れる。

「時也、私、こんなに恨まれているんだから、私が死んだら本当は嬉しいはずじゃないの?」

「……いや」

時也は力いっぱい若菜を抱きしめる。

「死んでほしくないのは、まだ愛してるからでしょ?」

その問いに、時也は何も返さなかった。

額を寄せて、静かに涙を流す。

明咲の心は、そこで音を立てて崩れた。

いまさら、全部わかった。時也が若菜を憎んだふりをしていたのは、結局「愛」があるから。

中途半端な愛と憎しみは、誰も救わない。

五年前の記憶がよみがえる。

あの頃、時也と若菜は「完璧なカップル」だった。明咲も、きっとふたりは一生一緒だと思っていた。

その頃の明咲と時也の接点は、たった一度だけ。

通学路で不良に絡まれていた明咲を、時也が助けてくれた日。

白いシャツの時也が逆光の中に立っていて、まるで月みたいに遠くて。でも、その瞬間、明咲は一目で恋に落ちた。

けど、自分は釣り合わないってわかっていた。だからその気持ちは、心の奥底にしまったまま。

その後、芦屋家には突然の不幸が降りかかった。両親は心労で自殺して亡くなり、時也はすべてを失った。

朝比奈家はすぐに縁談を白紙に戻し、若菜は家族の命令で他の家へ嫁いでいった。

傷心の時也は、若菜に詰め寄ったけど、逆に突き飛ばされ門前払い。

愛は憎しみに変わった。

明咲は、そんな時也の転落を見ていられなかった。昔の恩と秘めた想いから、両親に頼んで時也を助けた。

見返りなんて考えず、もう一度彼が立ち上がってくれればそれでよかった。

やがて時也は、五年かけて芦屋家を再興し、再び一族の頂点へ返り咲いた。

そして彼が最初にしたのは――明咲へのプロポーズ。

その求婚は華やかで、ネットでも配信されたほど。

白いバラを手にした時也は、カメラ越しでも伝わるほどまっすぐに言った。

「明咲、どんなときもそばにいてくれてありがとう。これからは俺が、君を幸せにする。結婚してほしい」

明咲は泣きながら何度もうなずいた。

そして時也は、二つ目の復讐に手を染めた。朝比奈家を破滅させ、若菜の夫の家も容赦なく潰した。

やり方は徹底していて、若菜を何もかも失わせた。

「今でも若菜さんのこと、好きなの?」

明咲が問い詰めると、時也は手を握り返して答えた。「もう彼女には何も感じていない。あの日見捨てられた瞬間、すべて終わった」

その言葉を明咲は信じてしまった。

唇を震わせて笑おうとしたけど、涙の方が早く溢れた。

「……お母さん、私、やめる」

母は驚き、でもすぐに明咲を抱きしめる。「うん、やめよう。絶対もっといい人がいるよ。自分を大事にしよう」

母の腕の中で、明咲は昔言われた言葉を思い出していた。

「時也と若菜は、どうやったって離れられない。そんな相手を選んだら、傷つくだけだよ」

その言葉が、現実になっただけ。

明咲は連絡先リストから、ある番号を選び、通話ボタンを押す。

「……ねえ、前に言ってた、私をお嫁さんにするって話……まだ有効?」
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