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7人の彼女

Penulis: 松坂 美枝
last update Terakhir Diperbarui: 2025-07-11 20:06:31

辰巳は藤原家の影響を受けない町に来た。 そこで身分を変え、人の大勢いる場所、大学に足を踏み入れた。 幼少期からずるがしこく、演技力に長けていた辰巳は、おのれの目的のためなら相手に低姿勢で接することもできる。 おとなしくて従順そうで、名前に数字がついている女学生を調べ、さりげなく近づいて行った。

一美(ひとみ)

二葉(ふたば)

三枝(みえ)

四つ葉(よつは)

五実(いつみ)

六子(むつこ)

七湖(ななこ)

それぞれに接触し、デートを重ね、告白し、恋人になった。

器用なことに、辰巳は彼女たちの前に出るときは変装し、間違えることはなかった。 何しろ彼女たちのことを数字で覚えていて、一番にはカジュアル、二番には黒縁眼鏡のインテリと役割も決めていたので、手下たちにも情報を共有し、デート前の服装チェック、言葉遣い、何を話したのかまで記録させ、会う前には簡単なおさらいをして彼女の前に立った。 彼女たちは純粋無垢で、多少の戸惑いは見られたが、すぐに辰巳の告白を受け入れて恋人になった。

辰巳は身分を明かさなかったため、彼女たちは辰巳が大金持ちであることも知らない。 なので質素なデートにも何も文句は言わず、ただおとなしく辰巳に従っていた。

7人もいるというのに、彼女たちは似たような性格であり、辰巳のことを知らないはずなのに、口数も少なく、ただただ辰巳の言うことを従順に聞くだけなので、辰巳は満足するとともに退屈を感じた。 辰巳が女たちを手荒く扱うときは、大抵女側が何かをねだったり、わがままを言ったり、気に入らないことをするときなのだが、7人いる彼女たちにはそれが全くない。 一週間、毎日違う女と会っているのに、あまりにも彼女たちは無個性だった。 血のつながりがあるのではと邪推して、部下に調べさせるほどであった。 だが彼女たちは学部も違うし、顔も全く違う。 いつも辰巳の言うことに、 「うん、わかった」 と答えて辰巳の言葉通りに動いた。

誕生日にもらったと嬉しそうに話す一美の手から「うっかり」それを奪って「うっかり」床に叩きつけても怒ることはせず、悲しげに見つめるだけ。 「ごめん」と謝れば、こくんとうなずいた。 「うん、わかった」

二葉と美術館へデートへ行ったとき、二葉は好きな画家のグッズが売られている販売所へ行き、ポストカードを買った。 帰り道、辰巳はそれを見せてと頼んで手にした途端「うっかり」引き裂いてしまった。 「ごめん」と謝った。二葉は言った。 「うん、わかった」

三枝と学校の帰り道、「うっかり」体が傾いて、「うっかり」三枝を突き飛ばし、車道に転ばせ、車に轢かせる寸前までになった。 「ごめん」 「うん、わかった」 膝小僧から血が出ているにも関わらず、三枝はそれだけを言って、足を引きずりながら帰っていった。

四つ葉とコンビニへ行ったとき、「うっかり」商品を万引きし、店を出たところで店員に追いかけられた。 「うっかり」辰巳は四つ葉に罪を着せた。 「うん、わかった」 四つ葉は素直にそれを被り、交番へ連れていかれた。 辰巳は含み笑いを噛み殺しながら、それを見送った。

五実については、顔を合わせるたびに「ゴミ」と呼んでからかった。 人目のある場所だったため、同級生たちが彼を叱った。 「ごめん」とそのたびに謝った。 「うん、わかった」 五実はただそう言った。

六子は一番顔が好みだった。 だから辰巳はよく「可愛いね、好きだよ」と言ってあげていた。 「うん、わかった」 六子はわずかに微笑んでそう答えた。

七湖は一番感情的な子だった。 辰巳がからかったり、辰巳の「うっかり」に怒る気配を見せた。 辰巳はわくわくしながら七湖の怒りを待った。 しかし彼女は固くこぶしを握り締め、屈辱に耐えた。 「ごめん、悪かったって!」 軽薄な口調で謝ってみた。 「……うん、わかった……」 押し殺したように、彼女はそう言った。

辰巳はこれらをすべて録音し、ある時いつものメンバーに聞かせた。 音声だけなので、何が起こったかを説明しながら、本人にとっては面白おかしく話した。 正直何が面白いのか彼らにはわからなかったが、笑ってみせた。

「受ける! さすが辰巳様!」

「だよな、だよな!」 辰巳は大いに気をよくした。

周囲にとっては音声だけで、辰巳の下手な状況説明も相まって全く価値のないものを延々と聞かされるだけの苦痛の時間だったが、何か言おうものなら死と隣り合わせになるので、無理をして笑うしかなかった。ただただ、終わることを望んでいた。 辰巳はありとあらゆる気に入らない人間を排除しながら生きてきたので、彼の周囲にはひたすら処世術に長けている者か、辰巳に合わせることのできる忍耐力を持つ者しかいない。 しかし彼らの根底は辰巳ほど悪ではなく、何もしていない同年代の女性が意味もなくいたぶられていく様を見たくもないし聞きたくもない一般人だった。

辰巳は大勢に囲まれているものの、尊敬もされていないし、好かれてもいない、まさに井の中の蛙だった。

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  • 「うん、わかった」   7人の彼女

    辰巳は藤原家の影響を受けない町に来た。 そこで身分を変え、人の大勢いる場所、大学に足を踏み入れた。 幼少期からずるがしこく、演技力に長けていた辰巳は、おのれの目的のためなら相手に低姿勢で接することもできる。 おとなしくて従順そうで、名前に数字がついている女学生を調べ、さりげなく近づいて行った。 一美(ひとみ) 二葉(ふたば) 三枝(みえ) 四つ葉(よつは) 五実(いつみ) 六子(むつこ) 七湖(ななこ) それぞれに接触し、デートを重ね、告白し、恋人になった。 器用なことに、辰巳は彼女たちの前に出るときは変装し、間違えることはなかった。 何しろ彼女たちのことを数字で覚えていて、一番にはカジュアル、二番には黒縁眼鏡のインテリと役割も決めていたので、手下たちにも情報を共有し、デート前の服装チェック、言葉遣い、何を話したのかまで記録させ、会う前には簡単なおさらいをして彼女の前に立った。 彼女たちは純粋無垢で、多少の戸惑いは見られたが、すぐに辰巳の告白を受け入れて恋人になった。 辰巳は身分を明かさなかったため、彼女たちは辰巳が大金持ちであることも知らない。 なので質素なデートにも何も文句は言わず、ただおとなしく辰巳に従っていた。 7人もいるというのに、彼女たちは似たような性格であり、辰巳のことを知らないはずなのに、口数も少なく、ただただ辰巳の言うことを従順に聞くだけなので、辰巳は満足するとともに退屈を感じた。 辰巳が女たちを手荒く扱うときは、大抵女側が何かをねだったり、わがままを言ったり、気に入らないことをするときなのだが、7人いる彼女たちにはそれが全くない。 一週間、毎日違う女と会っているのに、あまりにも彼女たちは無個性だった。 血のつながりがあるのではと邪推して、部下に調べさせるほどであった。 だが彼女たちは学部も違うし、顔も全く違う。 いつも辰巳の言うことに、 「うん、わかった」 と答えて辰巳の言葉通りに動いた。 誕生日にもらったと嬉しそうに話す一美の手から「うっかり」それを奪って「うっかり」床に叩きつけても怒ることはせず、悲しげに見つめるだけ。 「ごめん」と謝れば、こくんとうなずいた。 「うん、わかった」 二葉と美術館へデートへ行ったとき、二葉は好きな画家のグッズが売られている販売所へ行き、ポストカードを買った。

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