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お持ち帰りした異世界の皇子を返品したい
お持ち帰りした異世界の皇子を返品したい
ผู้แต่ง: 専業プウタ

1.人生最良の日に異世界へ

ผู้เขียน: 専業プウタ
last update ปรับปรุงล่าสุด: 2025-05-09 15:56:55

「お嬢様、起きてくださいませ。お嬢様」

目が覚めると見慣れない天井だった。

天井?いや、天蓋だ!私は勢いよく目覚める。

「今日は皇太子殿下とお食事のお約束ですよね。準備を始めましょう」

全く、理解できない。皇太子?どういうことだろう。

私は日本の高校生で、今日は東大の合格発表で合格を確認した帰り道だった。

私は親に合格を報告しようとカバンからスマホを出していたら車に轢かれそうになったんだ。

「え! どういこと?」

「どうしました? お嬢様そろそろご準備をはじめませんと」

周りを見渡すと西洋風の煌びやかな家具に囲まれていた。

洋館? そうだ帰りにこの合格の余韻に浸りながら浅草の芋羊羹でも買って帰ろう。

それから、美容院で髪の毛を染めて、ピアスも開けたりして。

オシャレな服も買いたい。

長い受験勉強生活から解放されたんだ。

そんなことを考えているうちに私は美しいドレスに着替えさせられていた。

鏡台の前の椅子に座らせられ、長い髪を結い上げられている?

え! 長い髪? 長い髪であるはずはない。

私はヘアケアなど受験の邪魔だと思い、ばっさりショートカットにしていたはずだ。

それとも急激に髪が伸びたのか? いやいや、それはない。

艶々の金色のウェーブヘアーにルビーのような赤い瞳。

かなりの美人なんだけど、これが私?

ビフォーアフターが別人なんですが。

メイクの力ってコレくらいなのだろうか?

メイクなどしたことがないから分からない。

特殊メイクに近い気もするが。

えっと、大学デビューを目指して金髪にしてカラコン入れたんだっけ。そんなわけはない。

「夢か⋯⋯」

思わず、私は呟いていた。

「そうです。お嬢様は、全ての女性の夢でございます。お美しく、聡明で、未来の皇后陛下でございます」

このメイド服のお嬢さんは何を言っているんだろう。

新手のサービスかしら。

私、合格に興奮しすぎて無意識に秋葉原まで歩いて貴族お嬢様なりきりサービスを受けてる?

「お嬢様では参りましょう」

ノックとともに黒髪に翡翠色の瞳をもった真っ白な騎士服の男性が入ってきた。なかなか良い生地を使っている。

「本格的ね」

思わず呟くと。騎士は不思議そうな顔を一瞬したが、すぐに真顔に戻った。

エスコートをされて馬車に乗る。

外の風景は立派な庭園が広がっている。もしかして、VRの仮想空間かしら。

馬車が揺れに揺れる。気持ち悪い、寝てしまった方がよいかもしれない。

三半規管がそんな弱い方ではないと思っていたのに馬車の揺れは苦手だったようで吐きそうだ。

「到着いたしました。」

騎士にエスコートされ、馬車を降りる。足元がふらつく。

目の前に銀髪にアメジストのような美しい紫色の瞳を持った少年が現れた。

小学校高学年くらいかしら?可愛らしい子ね。ハーフ? 劇団の子かしら。

「も、もうだめ、うげー!!」

馬車から降りて気が抜けたのだろうか、私は、思いっきり嘔吐してしまった。

少年は表情一つ変えず、私を見ている。

固まっていると言っても良いかもしれない。

「侯爵令嬢、皇太子殿下にご挨拶もせずなんたる失礼を」

彼の後ろに控えている御付きの人みたいな男性が慌てたように言う。

「構わない。エレナは体調が悪いようだ。すぐに風呂と部屋の用意を」

少年がそういうと、私はお風呂に連行された。えっと、VR空間で脱ぐのかしら。

ちょっと待って、それは待って。

「侯爵令嬢、整いました」

私は風呂に連れて行かれて、メイド服のお姉さん二人に隅々まで洗われた。

お風呂に浮かぶ薔薇の花びらが綺麗だったが、恥ずかしさに人としての尊厳を失ってしまった気がした。

無になろう。現実逃避しよう。

死ぬこと以外はかすり傷だ。

宇宙に比べれば私はちっぽけな存在だ。

人工衛星から見れば今のこの光景もちっぽけなものに違いない。

様々な五感がこれは現実なのではないかと私に問いかけ続けていた。

部屋で呆然としつつ、現実逃避したい気持ちを抑えながら現状把握をするよう自分を鼓舞し続けた。

認めざるを得ない、私は異世界に転生したのだ。

異世界転生もののアニメやライトノベルが流行しているのは知っていたが現実に本当にあるなんて。

もしかして、私、人生最良の時に死んで転生したの?

将来を考えるなら勉強をするよりもライトノベルを読み漁るべきだったの?

私には年の離れた優秀な兄がいた。

自慢の兄で人間的にも尊敬できた。

父は病院の院長で兄は父の病院を継ぐことを両親から期待されていた。

私は兄と比較されるわけでもなく、すでに優秀な兄で満足している親からすれば関心を持たれない存在だった。

あるきっかけから自分が父の病院を継ぎたいと思っていたが、両親の期待は常に兄にあった。

兄が東大に行ったため、兄より有能であることをアピールするには最低でも東大を目指さなければならなかった。

生まれつきの天才である兄と違い、凡人であった私は中学受験にも失敗した。

凡人でも人の10倍努力をすればいつか天才と戦えると信じ、恋愛も、娯楽、友人も全てを捨てて勉強に時間を割いた。

ライトノベルの世界に転生するようなことがあっても原作など知る由もない。

そうこう思いを巡らせているうちに、ノックとともに先ほどの少年が入ってきた。

「先程はありがとうございました」

私は立ち上がりその少年にお礼を言った。

「そなたは誰だ? 目的はなんだ? 」

「すみません。どうやら、私、この体に憑依してしまったみたいなんです。私は誰なんでしょうか?そなたと私を呼ぶということはあなたはやんごとなき身分の方ですか? 」

私の言葉に少年の表情が少し歪み、紫色の瞳が曇る。

「確かに、完璧令嬢と名高いエレナが、あのような失態をするというよりは、そなたの虚言ともとれる言動を信じた方が良いかもしれないな」

驚いた、こんな現実離れした話を少年は受け入れてくれている。

「え、信じてくれるんですか? あなた神ですか? 」

私は拝むようなポーズを少年に取ると、少年は少し呆れたような顔をして私に言った。

「神ではない。アラン・レオハード。この帝国の皇太子だ。そして、そなたはエレナ・アーデン侯爵令嬢。私の婚約者だ」

「婚約者? 年の差は? あなた、いや皇太子殿下は10歳くらい、私は17歳くらいですよね? あと、同じ名前です。私の本当の名前えれなです。松井えれな」

アランは、少しムッとしたような顔になり、一言返してきた。

「し、失礼な私は12歳だ。そなたは17歳であっている。名前が同じか、エレナの中にはいるだけに縁があるようだが、思慮深いエレナとは性格は違うようだ」

エレナはしっかりした子らしい。

「失礼致しました。皇太子殿下。でも、殿下、精神年齢はとても高そうですね。私が嘔吐した時も非難するでもなく迅速に対処してくださった」

私は、彼に感動し感謝した。

ここまで対応能力のある小学生はなかなかいない。

「それは当たり前だろう」

アランは本当にしっかりしている。

「当たり前ではないですよ。今もこうしてありえないような私の話を真剣に聞いてくださっているではないですか」

少年は少し頰を赤くして照れたように押し黙った。

「私、これからこの世界のエレナとしての生を送るのか、また元の世界に戻るのかわかりません」

彼の表情が一瞬曇り、彼を安心させたくて私は続けた。

「でも、これだけは言えます。エレナがこの体に戻るようなことがあった時、彼女が困るようなことはしたくないんです」

彼は私の言葉に紫色の瞳を輝かせると、しばらく人払いをするように外の護衛に伝えた。

「皇太子殿下のエレナが戻るまで私がエレナを演じようと思います」

アランはエレナを大切にしているようだし、皇太子という地位もある。

味方にして助けてもらうのが得策だと思った。

「ありがとう。私もエレナにはよく助けられた。未来の夫としてエレナにできることは何でもしてやりたい」

彼の真剣な表情を見て気が付いた。彼はエレナのことが好きなんだと。

だからこそ、私が本当のエレナではないとすぐに気が付いたのだ。

「エレナが戻ってきた際に困らないよう、そなた自身がこの世界で生活できるように私も取り計らう」

彼が少し寂しそうな顔をのぞかせた。

彼も彼のエレナが戻らない可能性に気が付いているのだろう。

「私、努力の天才なんですよ。任せてください」

彼を少しでも元気づけたくて私は胸を張って言った。

「ありがとう。では、これからそなたに新しい家庭教師をつける。彼女にだけはそなたの事情を話そう」

「こちらこそ、ありがとうございます。お任せください。このエレナもなかなかだと殿下に言わせてみせます」

こうして、私の秘密特訓の日々がはじまったのであった。

アランが紹介してくれたのは彼の乳母だったスカーレット伯爵夫人だった。

私をなんとかしようと、必死になり厳しくしてくる彼女がありがたかった。

たまに、私にあまり関心のなかった自分の母の姿と比べ寂しくなったが、

期待をしてくれているスカーレットやアランに応えたくて寝る間もおしみ努力をした。

日々、窓の外を見るしか息抜きのない時間の中で私はどうしても気になることがあった。

アーデン侯爵邸の護衛騎士たちの勤務態度だ。

しょっちゅう休憩をとっているし、お昼時には誰もいない時もある。

お昼になると、なかなか戻ってこない。

日本でも地方公務員がたまにやると言われる中抜けってやつだろう。

侯爵と侯爵夫人が領地の方に行っていて留守だからなのか、それにしても目に余る。

これだけ、豪華な邸宅だしっかり守ってもらわないと。

強盗でも入ったらどうするのだろうか。

「この侯爵邸の勤務表を見せて頂けるかしら?」

侯爵邸は騎士団を持っていて有事には出動もしたり、時には私の護衛をするらしい。

黒髪に翡翠色の瞳を持ったエアマッスル副団長が全騎士のスケジューリングをしていると聞き私は彼を呼びつけた。

騎士たちは2交代の12時間勤務で、4日働いて1日休むという形をとっていた。

昼と夜の担当の人は基本的に固定らしい。

午前と午後の8時に交代をする。

お昼や休憩はできる限り重ならないように、随時とるようにしているということだった。

「勤務の仕方、こんな感じに変えてくれる?」

私の考えた勤務は8時間の3交代勤務、

午前5時から午後1時、午後1時から午後9時、午後9時から翌朝5時だ。

これらをA勤務、B勤務、C勤務とし、

全騎士がA、B、C、休、A、B、C、休、休

という順番で勤務するのだ。

A勤務、B勤務、C勤務から始まる騎士にわけ、必ず誰かが出勤し全ての時間の勤務を経験できるようにした。

「食事休憩などの休憩は必ず勤務時間外にとってね。勤務時間は仕事に専念すること。それから夜間勤務は手当もつけるから」

優しい微笑みを浮かべるよう意識しながら、新しいシフト表を出しながら説明する。

「夜間勤務に手当がある上に、2連休があるんですか?」

エアマッスル副団長は、飛び上がりそうに喜んだ。

「そうよ、2連休もあれば家族に会いに行ったり、剣術の訓練をしたりブラッシュアップもできるでしょ」

自主的に訓練はして欲しいものだ、侯爵邸の騎士団は見るからに頼りない。

「自分はもちろん副団長として訓練に励みます」

エアマッスル副団長が得意げにいう、有言実行を願うのみだ。

「じゃあ、今日からこのシフトで勤務してくれる?」

もちろん受け入れてくれるものだと思っていた。

「あ、でも、新しい勤務でよいか侯爵夫人にお伺いして侯爵様に裁可して頂かないと」

夫人にお伺いをたてるだなんて、かかあ天下なお宅なのかしら。

「侯爵の留守時として緊急に私が裁可することはできないの?」

3人家族のようだから、当然、侯爵家の人間として家に残っている私が裁可できるものだと思っていた。

「一応、軍に関わる裁可は命に関わるものですので成人してからとの決まりなんです」

帝国では18歳で成人らしい、エレナは再来月には18歳になるとのことだった。

「じゃあ、これはあなたが考えたってことで、試しに今日からこのシフトでやってみて、お父様たちが戻り次第そのお試し期間の成果とともに提案するのはどうかしら?」

エアマッスル副団長に恩を売っとくことにした。

「え、いいんですか?」

彼は、ほくそ笑みながら言った。

まあ、脳筋には思いつかないだろうし、知恵を分けてあげよう。

「君の手柄にすると良いってやつよ」

彼の肩を叩きながら言ってやると副団長は上機嫌で他の騎士たちの元への去っていった。

「超ブラック企業へようこそ。脳筋は扱いやすくていいわ」

部屋で1人呟きながら考える。 

8時間休憩なしの勤務なんてとんでもないけれど、

実際、私を護衛することになったら、それくらい集中力を続かせられるようにして欲しい。

朝、昼、夜注意するべきことは違うのだから全員が全ての時間帯を経験してもらった方が、

突然の離職などにも対応しやすいだろう。

成人してから裁可できるものなど、帝国法には独特のきまりがあるらしい。

しっかり、頭に叩き込んでおく必要がある。

新しい勤務のプランも副団長が考えたことにして結果的に良かっただろう。

侯爵や侯爵夫人が自分の娘に他人が憑依していると気が付いた時どういう反応をするか分からない以上、

気が付かせないように注意した方が安全だ。

これまで、エレナがしなかったような事には手を出さない方が無難だろう。

1ヶ月が経った時、私の完璧令嬢育成計画の発表の舞台が訪れた。

第一皇子の凱旋を祝う宴会だ。

「いざ、新生エレナ・アーデンの初陣じゃ!」

朝から入浴をしたり準備をして、夕方やっとドレスという戦闘服を着た私は秘密アイテムを持って馬車に乗った。

ナンテンである。乗り物酔いには生葉を噛むとよいらしい。

日本でも民間薬としてよく用いられ、果実には鎮咳作用があり、生の根は頭痛に効くらしい。

私がなぜこのようなことを知っているかというと、勉強の息抜きに雑学を極めていたからだ。

東大に入学したら東大生タレントとしてクイズにでも出る可能性があるかもしれないと思ったのだ。

高校生クイズにも出ようかと思ったが、一匹狼だった私には一緒に出る仲間がいなかった。

青春は大学入ってから、謳歌すれば良い。

私は、自分にそう言い聞かせながら努力を重ねてきた。

日本の薬局で売っている酔い止めとまではいかないが、

私の秘密アイテムも効果を示し、私はそこまで酔うことなく初めての戦場に到着したのだ。

「皇太子殿下にエレナ・アーデンがお目にかかります」

「今日は体調が良さそうだ。」

アランが安心したような表情で私に手を差し出した。

1ヶ月の私の成果を見たら、きっと彼を安心させられるはずだ。

礼節を身につけたくさんの知識を得てきた。

さあ、いざ本番だ。

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