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第47話

Penulis: またり鈴春
last update Terakhir Diperbarui: 2025-04-24 17:39:56
部屋に入ってビックリ。なんとココは一面ガラス張り!しかも部屋に入った途端、何の音もしなくなった。静かすぎて怖いくらいだ。

「まるで防音室みたい」

病院で聴力検査をした時、こういう部屋に通された。重たくて頑丈な扉、中に入った途端に包まれる静寂――この部屋と瓜二つだ。

試しに音楽をかけてみようか?もしココが防音室なら、いくら爆音で曲を流しても外からは聞こえないはずだから。

「ミュージックスタート……わ、うるさ!」

スマホを最大音量にして曲を流す。爆音に耐えきれなくて、スマホを置いて部屋の外へ出た。するとやっぱり何も聞こえない。少しでも重たい扉を開けると、とんでもない音で曲が流れているというのに。

ということは、やっぱりココは防音室なんだ。

「そういえば皇羽さんが学校に休みの連絡をしてくれた時、全く声が聞こえなかったなぁ」

――連絡しといたからな

――早!皇羽さんと私の学校、二校へ電話をしたんですよね?話し声が全く聞こえませんでしたよ⁉

――ちゃんとしたっての。それに、この部屋の中の音が聞こえるわけないだろ。この部屋は……

あの時ははぐらかされたけど、きっと「この部屋は防音だから中の声が聞こえるわけない」って言いたかったんだ。

あの時の私は、皇羽さんがレオをしていると知らなかった。それなのに部屋が防音室だと知ったら、私が怪しむに決まっている。

だから皇羽さんは内緒にしていたんだ。部屋に入らせないようにしていた。自分がレオをしていると、少しでも私に悟られないため。

「この部屋は練習部屋ってことか」

机上にはタブレットが一つ置いてある。パスコードは設定されていないらしく、手が当たっただけで画面が開いた。

慌てて閉じようとすると、曲が流れ始める。歌いながら踊る Ign:s が、画面いっぱいに写った。

「ずっと練習していたんだ。何も知らなかった」

部屋が防音なのは歌の練習のため。一面鏡張りなのはダンスの練習のため。そこまでして玲央さんの代わりを務めているなんて……。

皇羽さんが健気すぎて切ない。ここまでして相手に尽くす理由は、玲央さんが双子の兄弟だから?だけど、もし私に妹か姉がいたとして……ここまで身を粉にして動ける?うぅーん、自信が無いよ。

「ん?机に紙が散らばっている。書かれているのは Ign:s が出演した番組名?箇条書きだ。うわ、長いレシートみたい。一体いくつあるんだ
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