不器用な言葉たちへ

不器用な言葉たちへ

last updateZuletzt aktualisiert : 24.06.2026
Von:  青芭伊鶴Gerade aktualisiert
Sprache: Japanese
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Zusammenfassung

純愛

一人称

憂鬱

ツンデレ

おとなしい子

逆転

失恋

久しぶりに付き合った彼氏が、突然消えてしまう。SNSだけでなく、存在ごと消えてしまった。連絡先はネット上のみ。遠距離恋愛をしていた理桜(りお)と彼氏の伊都(いと)の間にはいったい何があったのか。 そのことをひたすら小説として書いていく。頭を整理したくて、今までの行動や言動を振り返っていく。散々迷惑をかけておいて彼氏を見つけるとか……あまりにも自分勝手なんじゃないか、と考えてしまうが、もう既に書く手は止まらない。

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Kapitel 1

プロローグ

 とある春の日、私はパソコンの前でひたすら文章を打ち込んでいた。仕事だからというのもあるけど、好きな小説を書き続けるために向き合っている。

 すると、私がいる喫茶店に同じ小説家仲間の先輩、雪菜ゆきなが入ってきた。私を見つけるなり、カウンターにいる店員に「あの子と同じもの、頼むよ」と言った。その声がある程度まで大きいことは、何となく察してもらうこととして……

理桜りおちゃん、今日もやってんねえ」

 私の向かい側の椅子に座ると、雪菜は嫌にニヤついている。雪菜のウザ絡みにため息をつきながら、文章を打ち込む手は止めない。

「そりゃあ、仕事ですもの。書かないと生活ができないんですよ?」

「それはそうか。ふふ、頑張ってね、先生」

「先生って……恥ずかしいなぁ。まだ違うから。頼むからその呼び方やめて?」

「はいはい」

 ニヤニヤしている雪菜を置いておいて、私は気にしないふりを続けた。

 私が小説を書くようになったのは、彼氏である伊都が消えてしまったことがきっかけだった。その話をひたすら書いている最中である。

 当時は悲しかったけど、今は吹っ切れた……と思いたい。こうして小説にして、言葉にしないとどうにかなりそうな気持ちを発散してる。

「理桜ちゃん」

 雪菜の声に、私は顔を上げた。途端に雪菜は、指で涙をぬぐってくれた。

「泣いてると、私、心配になっちゃうよ」

「ごめん。いつもお世話になっちゃってるね」

「そんなことないよ。深くは聞かないけど、今書いてる物語でどうにか発散しようとしてるんだよね?」

……うん」

「分かるよ、読めば。苦労してるんだなってわかる」

 雪菜らしくない真剣な表情に、私の喉がヒュッとなった。緊張が走ったという表現が正しいのかもしれない。

 そういえば最近、雪菜が私専用の編集者になると、上に掛け合っているらしい。その事情も、私が今書いている小説の内容に直結しているのだ。あまりにも一人で作業をさせていると可哀想だというのだ。

 ──そんなことないのに。大袈裟だなぁ。

 私は周りの人たちに迷惑をかけまいと生きてきた。でも、それは不可能で。気が付いたら私を応援する人がいたり、非難する人がいたり。その言葉たちに喜んだり、泣いたりして忙しい。

 いったいどうすれば迷惑をかけずに生きれるのかを考えるけど、死ぬことしか解決しないんじゃないかと思うこともしばしば。

 思わず涙がホロホロと流れて出てくる。雪菜は私の頭を優しく撫でてくれる。

「ごめんね。ちゃんと力になるから」

「謝らないでください。私がその、悪いんですから」

「そんなことないって」

 言い合って、泣いて、私たちは親友となった。

 だから今、好きなだけ甘えられるんだと思う。歳は関係ないんだなって思った。

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7 Kapitel
プロローグ
 とある春の日、私はパソコンの前でひたすら文章を打ち込んでいた。仕事だからというのもあるけど、好きな小説を書き続けるために向き合っている。 すると、私がいる喫茶店に同じ小説家仲間の先輩、雪菜が入ってきた。私を見つけるなり、カウンターにいる店員に「あの子と同じもの、頼むよ」と言った。その声がある程度まで大きいことは、何となく察してもらうこととして……。「理桜ちゃん、今日もやってんねえ」 私の向かい側の椅子に座ると、雪菜は嫌にニヤついている。雪菜のウザ絡みにため息をつきながら、文章を打ち込む手は止めない。「そりゃあ、仕事ですもの。書かないと生活ができないんですよ?」「それはそうか。ふふ、頑張ってね、先生」「先生って……恥ずかしいなぁ。まだ違うから。頼むからその呼び方やめて?」「はいはい」 ニヤニヤしている雪菜を置いておいて、私は気にしないふりを続けた。 私が小説を書くようになったのは、彼氏である伊都が消えてしまったことがきっかけだった。その話をひたすら書いている最中である。 当時は悲しかったけど、今は吹っ切れた……と思いたい。こうして小説にして、言葉にしないとどうにかなりそうな気持ちを発散してる。「理桜ちゃん」 雪菜の声に、私は顔を上げた。途端に雪菜は、指で涙をぬぐってくれた。「泣いてると、私、心配になっちゃうよ」「ごめん。いつもお世話になっちゃってるね」「そんなことないよ。深くは聞かないけど、今書いてる物語でどうにか発散しようとしてるんだよね?」「……うん」「分かるよ、読めば。苦労してるんだなってわかる」 雪菜らしくない真剣な表情に、私の喉がヒュッとなった。緊張が走ったという表現が正しいのかもしれない。 そういえば最近、雪菜が私専用の編集者になると、上に掛け合っているらしい。その事情も、私が今書いている小説の内容に直結しているのだ。あまりにも一人で作業をさせていると可哀想だというのだ。 ──そんなことないのに。大袈裟だなぁ。 私は周りの人たちに迷惑をかけまいと生きてきた。でも、それは不可能で。気が付いたら私を応援する人がいたり、非難する人がいたり。その言葉たちに喜んだり、泣いたりして忙しい。 いったいどうすれば迷惑をかけずに生きれるのかを考えるけど、死ぬことしか解決しないんじゃないかと思うこともしばし
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第1話-① 陽だまりの彼
「俺の事、どう思ってる?」 最初に聞かれた質問は、伊都《いと》自身のことだった。  付き合い始めて、まだ半年。お互いに社会人だからか、会える時間は限られている。数時間だけ、ちょっとだけっていうのもある。  電車で何時間もかけて会うことは、いつもの日課だった。  そんな時、彼からの突然の質問に、私は少し首を傾げて、えーっとねと一言加えながら返事をする。「大好きだよ」 「そうじゃなくて」 「え?」 真剣な眼差しを向けられると、伊都になんていう言葉をかければいいか分からなくなった。「俺の事、本当の意味でどう思ってる?」 「本当の意味で?」 「うん」 難しい質問をするなぁ。うーん、どうだろ。  考え込むのも変だけど、ちゃんとした答えを出したくて、首を傾げて考え込んだ。「別に考え込むほどじゃないのに」 「だって、不真面目な返事はしたくないじゃん」 「そりゃそうだけど」 伊都は少しだけ眉間にしわを寄せながらも、私の話を聞こうと体を向けた。  その姿を見た私も、体を伊都のほうへ向ける。「私はね、伊都のね、真剣に物事に取り組む姿が好き。上手くいかない時、私に話を聞いてってしてくるとこも好き。元気になったらニコニコしてピースするのも好き。でも、なんやかんやで私との時間も大事にしてくれるとこも好き」 「当たり前だろ。俺は理桜の彼氏だぞ」 「ふふ、そうね」 ふんすっと得意げにする伊都が可愛くて、思わず微笑んでしまう。  不安だったのかな。たまにそういうとこもあるよね。不安がって質問攻めしてくるとこもある。でも、悪い気はしない。だってそれが必要な事だと分かっているから。  すると、伊都はなにも言わずに手を広げてきた。何をしてるんだろうと考えていると、不機嫌になって「ぎゅーってしねえの?」って聞いてきた。  か、可愛い……。いいんですかぁ、私で?  なんて思いながら、私は「し、失礼しまぁす」と言いながら、彼の腕の中に包まれた。「捕まえたっ」 「ズルくない? 伊都からおいでってしたじゃん」 「引っかかるほうが悪いじゃん?」 「うわぁ、性格わるぅ」 そう言いながら、二人で「わははっ」と笑いあった。  ある程度、笑いあうと、目が合って、軽く触れるだけのキスを交わす。「人がいるかもしれないから、これで終わり」 「うん、そうだね」
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第1話‐② 陽だまりの彼
 ──半年前。「今日もカラオケ行かねぇ?」 「ええ? またぁ?」 キャッキャッと騒いでいる若者をかき分けるように、私はとある人を探していた。  ネットで知り合った人の──伊都だ。彼とは同じ界隈の、オタ活アカウントで知り合った。話していくうちに打ち解けていって、どこかで会いませんかという話まで飛躍したのだ。  そんなこんなで、伊都が『一緒に夏祭りで花火が見たい』と言ってくれた。嬉しかったので、即了解を出した。  別に付き合っていない。付き合う予定もない。なのに、周りからは『お似合い』の言葉が飛び交ってしまった。特に親とか友達とか。  とても迷惑だと言ったけど、私はなぜか悪い気はしなかった。その意味は分かっていなかった。だって今は、伊都に夢中だから。「あの、伊都さん、ですよね?」 「は、はいっ」 聞き慣れた低い声。敬語が取れない感じ。伊都本人だと直感した。「えっと、理桜さん、ですよね。俺の我儘を聞いてくれて、ありがとうございます」 「もう、堅苦しいなぁ。大丈夫だよ、タメ口で」 「悪いです。俺はこのままでいいので……」 「うん、そっか。君がそれでいいなら、いいよ。行こっか」 私は伊都の手を引くような形で、夏祭りへ飛び入り参加をした。  こうやって誰かと遊びに行くなんて、私の人生の中では全くなかったから、嬉しかった。その分、自分なんかで楽しいのかなって考えちゃうこともあった。  ちらりと後ろを見ると、伊都は申し訳なさそうに手を引っ張られながら、顔を赤くしていた。(なんだ、可愛いとこもあるじゃん?) ふふっと笑みがこぼれてしまった私は、調子に乗って、いろんな出店《でみせ》をまわった。  これはどう?とか、美味しい?とか聞いてみた。そしたら、緊張が解れてきたのか、少しずつ笑顔が増えていった伊都。  じゃがバターを買った私たちは、近くにあったベンチに並んで座る。箸で簡単にほぐれてしまうジャガイモと熱さで少し溶けているバターに、見るだけでおいしさが伝わってきた。  ジャガイモに箸を通すと、ほろほろと零れていく。そのタイミングで口に運ぶと、優しいバターの味とジャガイモの柔らかさに、頬が簡単に緩んでしまった。  視線を感じて伊都のほうを見ると、すぐに顔を逸らした。耳まで赤い。「やっぱり理桜さんは、凄いです。人を楽しませる天才です」 「な
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第2話-① 慣れない感情
 付き合って三日目。  不安が一気に押し寄せてきた。私なんかでいいのかと頭の中が支配されてしまって、どうしようもない。  伊都、伊都、伊都。と、頭の中が好きな人のことばかりになっていた。  声聞きたいという口実で、自分の寂しさを他人で埋めようとしていたのかもしれない。  今思えば、ここから全てが始まっていたのかもしれない。「ごめんね、時間を作らせちゃって」 『うん、いいよ。俺もちょうど声聞きたいなって思ってたから』 「よかった」 こんな些細な会話。私たちの会話は小さなもので終わってしまう。  会話を広げる努力すらしてこなかったから、どうすればいいかわからなくて。伊都が本当に私なんかを好きでいてくれているのかも分からない。  こうなってくると、とてつもなく面倒になってくる。自分でも自覚ありだ。「今日は何してたの?」 『今日? うーん、仕事して家帰ってきたばかりだから、ご飯食べてたとこだよ』 「ご飯……食べてたんだね。なんか、タイミング悪かった?」 『ううん、全然。大丈夫』 伊都は優しいから、私を否定する言葉を言わない。気を使っているだけかもしれないけれど、私にとっては嬉しかった。なのに、実際のところは言葉に詰まりがちだった。  伊都から『言いたいことがあるなら、これからも言ってね』って伝えてくれて、私も同じようなことを返そうとしたけど、ただのオーム返しになるんじゃないかと思ってやめた。こういうの、結構よくあるんだよね。  悶々と考えていたら、伊都から声をかけてくれた。『俺との会話、つまらない?』 「え?」 『いや、理桜ってよく黙るから……。俺の話、つまらないのかなぁって』 「そんなことないよ! 楽しいよ!」 『本当かな』 疑いの言葉を投げられて、思わず息苦しさを感じた。喉の奥が閉まる感じ。気持ち悪くて仕方がない。  三日目でこんな感じだと、これからどんな感じになっていくんだろう。私自身が我慢すればいい話なのに、何もできない人間で申し訳ない。  伊都から告白を受けてからというもの、私の心臓は暴れてばかりだ。「本当だって」 『理桜は我慢しすぎてると思うから、だから、我慢してほしくなくて』 「ごめん」 『謝らないで。俺のほうこそ、なんかごめんね』 こうなってくると悪循環だ。ごめんねの連続が続いてしまう。  友人関
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第2話-② 慣れない感情
 遠距離恋愛を覚悟してからというもの、通話できない日はひたすら我慢することが増えた。  何もできない自分が嫌になることもある。でも、甘えられるほど伊都だって暇じゃない。それも承知の上で付き合っている。  そんな私は仕事から帰ると、とにかく問題視している『寂しさ』に視点を置くことにした。寂しいっていう感情は、非常に面倒なものだ。相手にとっても、自分にとっても、悪影響しか与えない。  だから私は、我慢をすることにした。泣きたくても泣かないでやろう。そんな風に考えた。どうせ、遠距離なんだから、誰も見ていないんだから、と思った。  自分勝手だなぁ……と何度も思う。  それでも真面目に生きていかなきゃいけない。現実逃避をしたって何も変わらない。私自身が変わらなければ、意味がない。「そんなことを考えても、相手には伝わらないんだよなぁ」 相変わらずの私は、部屋のベッドの上で、ぼんやりと考え事をしている。  日常的には、特別な変化はない。遠距離恋愛での変化っていうのは、通話か実際に会った時くらいなんじゃないかと思ってる。実際にそうだと思うし、私自身が先に行動したとしても変化なんかはない。  だからって私自身に何があるかっていうのも、何もない。会ってみないと変化がないっていうのはどうかと思うが。やれることが少ないっていうのは事実である。  まぁ、いい。私は私なりの生活をしていればいいのだから。  伊都と再会する時なんて、もう少し先になるから、私は私なりの努力をしていくしかない。考え事しかできないのも苦しい一面だ。「でもなぁ、また再会した時に笑って会いたいよなぁ」 そんなことも考えている時間がもったいない。いや、本当に勿体ないというか、伊都の気持ちが分からなくなっていく自分も嫌だというか。  なんだか複雑だなぁ……と感じてしまう。  笑って会いたいっていう自分と、どうして通話してくれないの?と言ってしまいそうになる自分もいるから面倒なのだ。好きな人とできるだけ近くでいたいというのは、年齢関係なく抱いてしまう感情なのではないか、とも考えてしまう。「ああ、嫌だなぁ……」 布団の中に潜り込んで、寝たふりをする  目をつむっても脳裏に映るのは、夏祭りで告白してくれた時の伊都だ。嬉しそうに微笑んで、かっこいい男になるからと言ってくれた。それが嬉しくて、私も頑張
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第2話-③ 慣れない感情
 目が覚めて、一度鏡を見る。目の下には隈ができていて、髪はボサボサ。人前に見せられるようなものではないことは確かである。  仕方なく化粧用品を広げて、メイクをする。できるだけナチュラルに、隈がバレないように。その為にも、人気なメイク動画はよく見るし、参考にするようにしている。  まあ、実際に参考にできているかは、さておいて。  メイクが終わると、今度は朝食の準備。一人暮らしだから誰かに作ってもらうこともなければ、誰かが待ってることもない。だからか、適当なものになる。今日は目玉焼きとベーコンで十分か、と思い、朝食を完成させる。「いいねぇ、十分美味しそう」 誰にも届かない言葉。ニコニコして作って、盛り付けをして、席について食べていたはずなのに、不意に箸が止まった。  目の前には自分だけに向けられたご飯しかない。誰かと一緒に食べることはない。  私だけの空間。悲しきかな……。  箸を置いて、ため息をつく。私はいったい何をしてるんだろう。「虚無感って、どうやって解消されるんだろう」 疑問ですら誰も受け取ってはくれない。一人暮らしだからというのもある。  さりげなくスマホにあるメッセージ欄の『伊都』という文字を見つめる。彼は今、いったい何をしてるんだろう。ふと考えてしまう。  迷惑な女だと思われないように気を付けているけど、私にとっての伊都の存在が大きすぎて、もっと傍にいたいって思ってしまう。  彼は、どう思ってくれてるんだろう。  涙がほろほろと流れてくる。私の勝手な感情で、体が勝手に泣いてしまう。私の感情は、本当の意味で自分勝手である。「うん、もうやめよう。今度、伊都の声を聴ければ、多分だけど、安心するかも」 そう考えるように、口に出して言う。  私は今日も、自分勝手に生きてしまっている気がします。
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第3話-① 会えるまで
 会う約束をしようと思い、自分から連絡を入れる。 連絡してねと言っても、彼から連絡が来ることは殆どないからだ。 忙しいからっていう理由もあるんだろうけど、少しくらいは連絡をよこしたっていいじゃん、なんて考えてしまう。 すると、彼から連絡が入った。今度、会う予定のものだ。『ごめん、その日は忙しくて』 ワクワクしていた気持ちが一気に崩れた音がした。『じゃあ、休みの日は? 合わせるよ』『それは分からなくて……ごめん』『大丈夫だよ。分からないなら、しょうがないね』 どういう事なのかと、考え込んだ。 私が悪いことでもしたのかなって思った。それとも浮気? 早くない? だってねぇ、伊都から告白しておいて、浮気しちゃうっていうことは無くない? 黙ってスマホの画面を見つめながら、うーんと考え込む。『なにかあったら話してって言ったのは、伊都じゃないの?』 思わず、文字にして送信していた。 伊都が読む前に、送信取消を押そうとした瞬間、ぽつ、と既読が付いた。『ごめん』 それだけが返ってきた。『ごめんってなに?』 イラッとして、感情的に返信したけど、既読だけがついて返事が返ってくることはなかった。 最後に連絡をしてから、もう既に数日経つ。 何も連絡をしてこようとしない伊都に、いい加減ないら立ちが膨れ上がった。『返事して。怒ってないから』『会いたいだけなの。ごめんなさい』『私の事、きらいになった?』 連投はよくないとは聞くけど、こればかりは心配で仕方がない。 そしたら、また、ぽつ、と伊都から返事が返ってきた。『嫌いじゃない。今も好きだよ』 その言葉が、なぜか心の奥をザワつかせた。どうしてだろうか。信じてないわけじゃないのに。不安が一気に押し寄せてくる。『じゃあ、なんで』『既読無視なんかするの?』 面倒? だったら、もう私から連絡しない。 そう思いながら、今日もベッドの上で返事を待つ。しかし、今回も既読無視をされて、終わった。返事は返ってくることは無かった──。 ほかにも変だなって思ったことはあった。 私たちは遠距離恋愛だからっていう理由もあるから、会える頻度も少ない。それも分かっている。承知の上のはずだ。なのに──。 既読無視をされるようになってから、だいぶ心の距離が開いたと感じた。伊都からすれば全然そんなことなかったかも
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