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第95話

Penulis: またり鈴春
last update Terakhir Diperbarui: 2025-06-19 08:17:16

【 短編:溺愛に隠れた嫉妬のホワイトデー 】

*皇羽*

「そういや皇羽。雑誌は買い占めたの?」

「は? なんで雑誌?」

「え」と驚いた顔をした玲央。

 一緒にいた他のメンバーも、

「まさかの知らされてないんだってー」

「か、かわいそうですね、コウ……!」

「本当に婚約してんのかよ」

「……ぷ」

 全員で俺を哀れんだ目で見てくる。

 ってか、今笑った奴いただろ。後で覚えとけよ。

「知らないなら、これあげるから読んでみて」

「女性誌なんて興味が、」

「嫌でも興味出てくるから。ほら」

 渋々、玲央から雑誌を受け取った俺。

 せかされて中身をめくる。

 すると、そこには……

「は? ……はあ!?」

 俺は「今日一日は休みにする」と一言残して、スタジオを出る。

 そして急いでマンションに帰った。

 バタン

「おい萌々! 何だよこれ! どういう事だよ!」

「……あ。見つかっちゃいました?」

「見つかっちゃいました? じゃねーよ!」

 俺がワナワナと震える手で持っている物。

 それは――萌々がモデルとして載っている雑誌。

「なんだよ、この”期待の新人モデル”って!」

「わ、私の事です……」

「なんでこんなに可愛い恰好して雑誌に載ってるんだよ!」

「期待の新人モデルだからです……!」

 俺がここまで怒っている理由――

 それは、萌々が夢乃萌(ゆめのもえ)として、女性向け雑誌にモデルとして掲載されていたからだ。しかも「期待の新人モデル。ついにデビュー!」となっている。

「”ついに”ってなんだよ! 俺は始まってた事も知らないっての!」

 萌々は「言おう言おうとは思っていたのですが……」と怒る俺から目を逸らした。

「だって皇羽さん、忙しかったじゃないですか。コンサートが終わってもテレビ出演とかあったりして。すれ違う生活が続きましたし」

「だから今日は久しぶりの休みをとって、」

「今日、言おうと思ってたんです。

 ちょうど雑誌の発売日だったし……」

 明らかに「しゅん」としている萌々を見て、俺の頭も徐々に冷えて来た。

 俺が、俺自身に「冷静に考えろ」と念を送る。

「(何がどうして、そうなったんだ……。

 確かに、最近の萌々は一段と可愛くなったと思ってはいたが……)」

 萌々の言う「すれ違う生活」というのは本当で……。

 俺は萌々の寝顔だけを見る日々。

 萌々にいたっては、自分が寝ている間
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