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第299話

Penulis: 魚ちゃん
振り返ると、明里は出産の時でさえ泣かなかった。

実は、彼女はずっと感謝していた。

宥希を妊娠している間、この小さな命は驚くほど親孝行で、つわりもなく、目立った不調もほとんどなかった。

以前、胡桃が海外まで来て体調を案じてくれたが、杞憂に終わった。

妊娠後期の腰痛、むくみ、こむら返り……

そういった苦しみとも無縁だった。

この子はまるで、恩返しに来た天使のようだった。

出産も驚くほど安産だった。

だから彼女は、産まれたばかりの我が子を胸に抱いた瞬間だけ、感極まって涙を流した。

それ以降は、一度も泣いていない。

女手一つでの子育ては、決して楽なものではない?

明里に経済的な不安がないとしても、正直に言えば、女手一つでの子育ては決して楽ではない。

子供の教育、しつけ、健康管理、全てを一人で背負わなければならない。

常に子供の心のケアに気を配り、父親不在の影響を案じなければならない。

外出先で悪気のない他人から「パパは?」と訊かれる場面にも、笑顔で対処しなければならない。

両親が揃っている家庭には、父親がいて、母親がいて、子供がいる。

だが彼女たちの家庭には、父
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