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第649話

Author: 魚ちゃん
胸の奥が激しく高鳴った。

明里はバッグの金具の飾りを指先で手持ち無沙汰にいじりながら、空いた手で自分の髪をそっとかきあげた。「せっかく約束したんだもの、すっぽかすわけにはいかないわ。それに、午後なんてあっという間に過ぎちゃうし」

潤も、自分がひどく器の小さい男になっていることは自覚していた。「わかった。じゃあ、飯を食っている間に店の場所を教えてくれ。終わったら、一言でいいから連絡を」

明里の胸の奥が、じんわりと温かくなった。「わかったわ」

大輔とは、大学近くにある静かなレストランで待ち合わせた。通された個室に入ると、大輔はすでに席について待っていた。

「早かったのね」明里は部屋を軽く見回しながら彼を見た。「少し痩せた?」

大輔は姿勢を崩さず、そのまま視線だけを上げて明里を捉えた。「俺も今来たとこ。お前こそ、少しふっくらしたんじゃないか?顔色もいいし」

明里は思わず自分の頬に両手を当て、彼の向かいの席に腰を下ろした。「太った?」

「悪い意味じゃない」大輔は自然な動作で、温かいフルーツティーを彼女のカップに注いでやった。「頬に赤みがあって、幸せそうな顔をしてるってことだ」

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