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第110話

مؤلف: るるね
last update تاريخ النشر: 2026-04-26 21:03:05

 陽菜は一瞬、言葉を失った。何度か口を開きかけたものの、結局何も言えず、しばらくの沈黙のあと、小さく首を振って微笑んだ。

「私は大丈夫です。一条くん」

 一条の視線がぴたりと陽菜の顔に張りつく。ほんのわずかな違和感さえ見逃すまいとするかのように、じっと見つめていた。

 本当は、言いたいことはいくらでもあった。けれど、少し考えた末に、結局は陽菜と同じように、ただ優しく微笑むだけにとどめる。

「……そう。藤野が話したくないなら、それでいいよ。でもな、藤野。本当に困ったことがあったら、ちゃんと俺に相談しろよ。いいな?」

「……はい」

 おそらく叶うことのない約束を、一条と交わす。そうして二人は並んで、会社のビルを出た。

 それからの数日間。

 陽菜にできることは、ただ父か母からの連絡を待つことだけだった。今の自分の立場では、他にできることなど何ひとつない。

 もともと、この件について陽菜は詳しく知らされていなかった。

 もし両親が現実から目を背けずに向き合っていたなら、自分がわざわざ立花に依頼して弁護を頼むこともなかっただろう。

 立花が何度も口にしていたのは、「お父さんと直接話す必要があ
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