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第109話

Author: るるね
last update publish date: 2026-04-25 22:34:33

 立花は「いい知らせかもしれない」とは言っていたが、その声音はどこか歯切れが悪く、とても楽観できるものには聞こえなかった。

 そのせいで、陽菜の胸には拭いきれない不安が残る。

 その後、何度も父に電話をかけてみたものの、ついに一度も繋がることはなかった。

 焦燥は消えるどころか、じわじわと胸の奥に広がっていく。

 夜になり、一条がいつものように笑顔で食事に誘いに来た時も、陽菜の眉間には深い皺が寄ったままだった。

 ――それでも。

 彼の姿を見た瞬間、陽菜はすぐに表情を整え、無理やり笑みを浮かべる。

「一条くん、こんばんは」

「おー、藤野。お前……」

 その言葉の途中で、一条はわずかに言葉を切った。

 今日は朝から一日中、工場を回っていた。

 これまで長く取引していた工場が原材料不足で出荷停止となり、新商品の発売は目前に迫っている。しかも予約数はかなりの規模だ。

 短期間で、品質も安定し、かつ大量出荷に対応できる工場を見つけなければならなかった。

 ここ数日探し続けても、納得のいくところは見つかっていない。

 もともと一条は、長年積み上げてきた信頼関係を重んじるタイプだ。

 だからこそ
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