Share

第627話

Auteur: 北野 艾
志帆は糸が切れたようにソファへ崩れ落ちた。全身の震えが止まらない。骨の髄まで凍りつくような寒気が彼女を襲っていた。

「どうしよう……どうすればいいの……?」

歯の根も合わないほど怯える娘に、佳乃は険しい顔で告げる。「今、手を回せる人間に片っ端から連絡を取ってるわ。……でも、最悪の事態も想定しておかないと」

佳乃もまた、苦渋の選択を迫られていた。彼女は意を決して、残酷な現実を突きつけた。

「志帆、江崎詩織に頭を下げなさい。『この件は不問にしてください』と泣きついてでも懇願するのよ。あなたが被害者本人を黙らせれば、あとは私が裏から手を回して、事態を『示談』という形で収束させてみせるわ」

「無理よ!」志帆は悲鳴に近い声で否定した。「あの女が私の頼みなんて聞くわけないじゃない!」

「それでも、やるしかないのよ」佳乃とて、それが茨の道であることは重々承知だ。

だが、もし詩織が口をつぐまなければ、学歴詐称の事実は白日の下に晒される。

そうなれば……今度こそ、柏木志帆という人間は完全に終わる。

事業の失敗どころではない。

唯一残された「高学歴のエリート」という看板すら偽物だとバレ
Continuez à lire ce livre gratuitement
Scanner le code pour télécharger l'application
Chapitre verrouillé
Commentaires (1)
goodnovel comment avatar
utano33
雉も鳴かずば撃たれまい 自分が上手くいっていた時に詩織の手柄を横取りしまくって、散々挑発しまくったんだから自業自得でしょ
VOIR TOUS LES COMMENTAIRES

Latest chapter

  • 七年の恋の終わりに、冷酷な彼は豹変した   第922話

    それは単に、二度と志帆を入り込ませないためだった。当時は最も緊迫した局面に差し掛かっていた。何年にもわたり、血の滲むような思いで繋ぎ合わせてきた証拠の包囲網が、あと少しで完成しようとしていたのだ。ここでほんのわずかでも躊躇や弱みを見せれば、長年の苦労がすべて水の泡になる。だからこそ、彼は心を鬼にして、あの家を徹底的に破壊するしかなかったのだ。志帆を納得させる口実も十分だった。「ここにあるものはすべて詩織が整えたものだ。君に嫌な思いをさせたくないから、更地にして建て直すことにした」そう告げると、彼女は疑うどころか、自分のためにそこまでしてくれるのかと感激すらしていた。自分はこれほどまでに愛されているのだと、彼女は信じて疑わなかった。だが、真実は彼だけが知っている。建物が崩れ去るその瞬間、彼の心もまた、音を立てて瓦礫の山へと崩れ落ちていた。思えば、あの家の装飾を詩織に一任したときから、彼には下心があった。自分の好みなど一切気にせず、彼女の好きなように、彼女の理想を形にしてほしかったのだ。遠慮させないよう、あえて無関心を装い、「寝られればどこでもいい」などとそっけない態度をとった。ただ、彼女が思い描く「温かな家庭」がどんなものか、見てみたかったのだ。もし運が良ければ、三、五年ほど刑務所で服役したあと、彼女が作り上げたあの家で余生を静かに過ごせるかもしれない。運が悪ければ――その時は、それまでの運命だと諦めるつもりだった。......車がホテルのエントランスに滑り込んだ。詩織は、再び眠りに落ちかけた柊也を揺り起こした。回ってきたアルコールのせいで、彼の意識はさっきよりも混濁している。運転手が手を貸そうとしても、彼はそれが誰かも判別できないのか、ひたすらその手を拒絶し、振り払おうとする。見かねた詩織が、代わりに彼の身体を支えた。すると、彼は先ほどまでの抵抗が嘘のように大人しくなったが、代わりにその体重のすべてが彼女にのしかかってきた。詩織はドレスにハイヒールという格好だ。成人男性の重みを支えきる体力など、どこにもない。「……お願い、少しは自分で歩いてよ」詩織の声に、余裕がなくなっていく。「ここにも、泊まらない……」柊也は頑なにホテルに入ろうとしない。いい加減、詩織の堪忍袋の

  • 七年の恋の終わりに、冷酷な彼は豹変した   第921話

    せり上がってくる苦いきしみから逃れるように、詩織は窓から顔を背けた。眉間を寄せ、冷徹なまでに淡々とした声で言い放つ。「何を今さら感傷に浸ってるの?自分で壊したくせに」柊也は気怠げに腕を上げ、自分の両目を覆い隠した。そして、重苦しい車内の空気よりもさらに沈んだ声で、ひと言だけこぼした。「ああ……俺が、この手で台無しにしたんだ」その瞬間、詩織の胸には訊きたいことが山ほど込み上げてきた。なぜ、あの家を壊したのか。志帆を愛したことなど一度もないと言うなら、なぜあの時、私を捨てて彼女を選んだのか。けれど、言葉が喉まで出かかっては、そのまま飲み込むことを繰り返した。今さら訊いてどうなる。未練があると思わせるだけではないか。彼女の心には、燻り続ける怒りと、どうしても拭えない不信感があった。一度私を捨てた男だ。二度目も、三度目も、きっと同じことを繰り返すに違いない。......「柊也くん、家が火事になっちゃって……しばらくの間、あなたのところに置いてもらえないかな?」そう訴える志帆の瞳は、悲劇のヒロインのように潤んでいた。柊也が、長期滞在用のホテルを手配しようと口を開きかけた、その時だ。佳乃が、まるで示し合わせたようなタイミングで助け舟を出した。「志帆は昔からデリケートでしょ?ホテルだとなかなか寝付けないのよ。一日二日ならまだしも、長期となると……家を直すのに一ヶ月はかかるっていうし」佳乃はわざとらしく自分を責めるような仕草を見せた。「ごめんなさいね。私の不注意なの。料理中に電話に出ちゃって、つい火の粉を……」当時、帰国したばかりの志帆を伴って現れた佳乃の言葉は、明らかに柊也を試すためのものだった。「ホテルには泊まれない」などというのは単なる口実で、彼がどこまで志帆を特別扱いするのかを見極めようとしていたのだ。柊也は仕方なく、志帆を自分の家に住まわせることを承諾した。本当は、適当なマンションの一室を自分の家だと偽って貸し出すつもりだった。詩織が心を込めて整えたあの家を、志帆に汚されたくなかったからだ。だが、志帆はすでに調べ上げていた。職場であるエイジアに近く、都会の喧騒を忘れさせるあの閑静な邸宅が、彼の一番の拠点であることを。あの日、柊也は車を走らせながら、同じ場所を何度も何度も回った。

  • 七年の恋の終わりに、冷酷な彼は豹変した   第920話

    太一は、背筋に氷を押し当てられたような戦慄を覚えた。振り返るまでもない。この得体の知れない気配の主を、彼は嫌というほど知っていた。「太一くん、来てたなら挨拶くらいしてくれてもいいじゃない」ニーナが前に回り込んできた。顔中にべったりと笑みを湛えている。「……いやあ、今日のニーナさんがあまりに綺麗なんで、見惚れて誰だかわからなかったんですよ」太一は引きつりそうになる顔を必死で抑え、精一杯の営業スマイルを絞り出した。「もう、相変わらず口が上手いんだから。そういうところが大好きなのよねえ」ニーナは上機嫌で浮かれているが、太一の方はすでに表情筋が限界だった。今の太一が味わっている地獄とは対照的に、会場の反対側で「完璧なアシスタント」を演じている男は、まさに我が世の春を謳歌しているようだった。今夜、詩織に注がれる酒はすべて、柊也が鮮やかな手際で引き受けていた。宴も中盤に差し掛かっているが、詩織はまだ一滴もアルコールに触れていない。最初は、彼のアレルギーを心配して止めたのだ。だが柊也は「来る前に薬を飲んできたから大丈夫だ」と事もなげに言った。その言葉に、詩織の思考がふと止まる。――その手慣れた準備の良さは、かつて志帆の傍らで彼女を庇い、酒を代わりに飲み続けてきた経験からきているものだろう。そう気づいた瞬間、詩織の心は鉛を飲まされたように重く沈んでいった。結局、お開きになる頃には、柊也はすっかり出来上がっていた。詩織は彼を支えて車に押し込み、ひとまず送り届けようとして、ふと足が止まった。自分は今の柊也の住所を知らない。隣のシートに沈み込んでいる男に目を向ける。かなりの酔いようだ。二、三度名前を呼んでみたが、反応がない。詩織はためらいながらも、彼の頬を軽く叩いて促した。「柊也、起きて。家はどこ?住所を教えてくれないと送れないでしょう」「……ん……」柊也は何かをくぐもった声で呟いた。聞き取れず、詩織が耳をその口元へ寄せた。「どこだって?」しかし、彼はそれきり黙り込んでしまった。耳たぶにかかる熱い吐息に、詩織は思わず身をすくめる。彼女は小さくため息をつくと、運転席へ指示を出した。「……ひとまず、賀来の本宅へ向かってください」賀来家の本宅は帰り道からだいぶ外れていたが、詩織は構わず運転手にハンド

  • 七年の恋の終わりに、冷酷な彼は豹変した   第919話

    履歴書の備考欄には、密が書き加えた「独身」という二文字がある。受け答えの内容も申し分なく、一通りの質問を終えると、密が彼女に外で待機するよう告げた。愛梨が退室すると、密が隣の詩織に声を落として訊ねる。「詩織さん、あの子いいと思うんですが。どうですか?」しかし、詩織の手元では、愛梨の名前に大きなバツ印がつけられていた。まさか、詩織さん……賀来社長の件で焼きもちを?密がそんな不敬な邪推をしているとは露知らず、詩織は淡々とした口調で言った。「彼女、右の中指に指輪の跡があったわ。面接に来る直前に慌てて外したんでしょうね」この界隈の習慣では、右の中指に指輪をはめるのは「婚約中」や「真剣交際中」を意味することが多い。愛梨は、採用に不利になるのを恐れてか、その事実を隠して「独身」と嘘をついたのだ。もちろん、採用されたい一心での隠し事だろう。だが、詩織が求めているのは、公私にわたって密接に自分を支え、時には機密事項にも触れることになるアシスタントだ。仕事の入り口でこうした不誠実さを見せる人間を身近に置くのは、ビジネス上のリスクを伴う。詩織が彼女を落とした理由は、嫉妬などではなく、あくまで冷徹なリスク管理の結果だった。密は自分の考えの浅さを恥じ、背筋を正した。その後も何人かの面接を行ったが、誰もが優秀ではあった。しかし、性別の壁を除けば、柊也の積み上げてきた圧倒的なキャリアを打ち負かせる者など、一人もいなかった。詩織は手元に残った四枚の履歴書を眺め、一分ほどの沈黙のあと。迷いなく、賀来柊也の名前にチェックを入れた。彼女はペンを置くと、密に言い渡した。「規約通り、試用期間は一ヶ月。合格ラインに達して初めて本採用とするわ」そして、会議室を出る間際に、短くこう付け加えた。「今夜の会食、さっそく彼を同行させて」......太一は朝から頭痛が止まらなかった。原因はわかっている。今日またしても、あのニーナと顔を合わせる羽目になったからだ。本当に勘弁してほしかった。前回、あの女にねっとりとセクハラまがいのボディタッチをされて以来、三日連続で悪夢にうなされたのだ。ようやくトラウマから立ち直りかけていたというのに、今夜のレセプションパーティーに彼女が参加すると知らされ、本気で泣きたい気分だった。

  • 七年の恋の終わりに、冷酷な彼は豹変した   第918話

    お昼時、ミキから詩織の元にメッセージが届いた。夜は大事な接待が入ったから夕食は作れない、適当に済ませてほしいという内容だ。詩織が「最近、仕事入れすぎじゃない?」と返すと、ミキは「それだけ私が売れっ子になる予兆ってこと!」と、自信満々の絵文字を送ってきた。「『人生の三大錯覚』って知ってる?」詩織が冗談半分に訊ねる。「何それ?」「海外株が暴落する、日経平均が爆上がりする、そして――『私はもうすぐ有名になる』」するとミキは、首を横に振るスタンプと共にこう返してきた。「残念、今は『四大錯覚』に更新されてるよ」「あと一つは?」「『彼はまだ私を愛している』、それから『今回は今までとは違う』」「……」これ以上の返信は無理だ。完全に会話を強制終了させられた気分だった。そんな「会話ブレイカー」のミキだが、最後の一押しは忘れなかった。「アシスタントのこと、忘れないでよ!」「わかってる。ちょうど今、密が面接してるはずだから」ミキからOKの手元スタンプが届き、やり取りは終わった。スマホを置いたタイミングで、密がノックをして部屋に入ってきた。その表情はどこか言いようのない、奇妙な陰を帯びている。詩織は怪訝そうに顔を上げた。「面接、この時間じゃなかった?」密は困ったように頭をかいた。「そうなんですけど……ちょっと判断に迷いまして。詩織さん、お忙しいところ申し訳ないんですが、一度直接会っていただけませんか?」密が詩織の下について五年になる。実務能力に疑いの余地はない彼女が、ここまで歯切れを悪くするというのは、よほどの事情があるに違いない。「候補者の履歴書を見せて」密は心得たもので、最終選考に残した五人の履歴書をすぐに差し出し、手短に報告した。「最終に残ったのは五名。女性が四名、男性が一名です」「男性?アシスタントは女性限定って言っておいたはずだけど」「はい、承知しています。ただ……この最後の一人だけは、あまりに経歴が優秀すぎて……」詩織の訝しむような視線を受け、密はもう腹をくくったという様子で言った。「とにかく、まずは彼のプロフィールをご覧になってから、判断していただけますか」一番下にあった履歴書を目にした瞬間、詩織は密があんなに歯切れが悪かった理由を完全に理解した。彼女は眉間にしわを寄せ、その履歴書

  • 七年の恋の終わりに、冷酷な彼は豹変した   第917話

    あの日、横断歩道で死んだように立ち尽くしていた自分を、鬼気迫る顔で引き戻してくれたミキの怯えた目を、詩織は一生忘れることはないだろう。氷のように冷え切った自分の手を、泣きそうな顔で何度も何度も温めようと擦ってくれた、あの痛切な姿を。その一言が、柊也の胸の内で燃え上がっていた燻りを、冷水のように完全に鎮火させた。ぐうの音も出ない。これ以上、彼に反論する資格など何一つ残されていなかったからだ。詩織はあえて彼の方を振り返らず、冷たい窓ガラスを向いたまま淡々と言った。「もしあなたがこういう関係を我慢できないなら、今この瞬間に諦めてくれて構わないわよ」――選択権は、最初からずっとあなたの側にある。対する柊也の答えは、絡めていた指にさらに力を込め、彼女の手を力強く握りしめることだった。「俺は構わない」迷いのない、絶対的な響き。「たとえ一生、公にできない日陰の身だったとしても……俺は構わない」その言葉に、詩織の胸の奥が、熱い火の粉を落とされたようにチリッと焼けた。彼女は残された最後の理性を総動員して、彼に強く握り込まれた手を振り払った。「……もう帰るわ」「なら……今夜は、俺のことを思い出してくれるか?」ほんの少しの甘い余韻でもいい、すがりつくように彼が問う。詩織は振り返ることなく、短い言葉を投げ返した。「……いいえ」それでも柊也は怒るどころか、静かな夜の雨音の中で、自嘲するように柔らかく笑った。「……俺は、ずっと君のことを考えているよ」......ミキはまだ起きていた。リビングのソファに寝転がり、中身のない恋愛リアリティ番組を見ながら、推しのカップリングの展開にきゃあきゃあと騒いでいる。詩織が玄関のドアを開けると、ミキは一瞬だけテレビから視線を移した。「おかえりー」「ただいま」詩織はうつむき加減で靴を脱いだ。「鍋にスープ作ってあるから飲んでおきなよ。お酒抜けるし、胃も休まるから」「うん、ありがとう」詩織はキッチンでスープを器によそい、ダイニングテーブルについた。温かいスープを、少しずつ胃の腑に流し込んでいく。「毎日そんな接待ばっかりで大丈夫なの?あんたもうすぐ三十路なんだよ。二十代半ばの頃とは違うんだから、絶対に体がもたないって。密に言って、もう一人アシスタントを探してもらいなよ」テレビ画面を眺め

  • 七年の恋の終わりに、冷酷な彼は豹変した   第652話

    詩織は不快げに眉をひそめた。今さら、何の用だというのか。彼の意図を推し測るのも億劫だった。三秒ほどの短い沈黙の後、彼女は躊躇なく着信拒否のボタンをタップした。もう、関わる必要のない相手だ。何より、今夜の完璧な成功と高揚感を、彼との会話ごときで台無しにされたくなかった。再び吹き抜けたビル風が、ドレスの裾を寒々しく翻す。今年の冬は、例年になく骨身に染みる。詩織はジャケットの襟をかき合わせながら、湊の車が早く目の前に滑り込んでくることを願った。家に帰って、泥のように眠りたい――ただそれだけだった。一方、その頃。雨音に包まれた路上で、峰岸が差し出す黒い傘の下、柊也は立ち

  • 七年の恋の終わりに、冷酷な彼は豹変した   第641話

    立て続けの衝撃に精神の瓦解をきたしたのか、志帆は唐突に笑い出した。「あ……ははっ、アハハハ!」涙を垂れ流しながら、狂ったように哄笑する。刑務官が再び警棒で扉を叩いて警告するが、今の彼女の耳にはもう届かない。その笑い声は、極限まで張り詰められ、ついに断ち切られた弦の音色のようだった。耳障りで、悲痛で、どこまでも不協和音。ついに刑務官が踏み込み、錯乱する彼女をその場から引きずり出した。娘の断末魔のような笑い声を背に受けながら、長昭は静かに席を立った。だが、彼はこれで終わりにはしなかった。その足で、今度は妻の佳乃との面会に向かったのだ。佳乃もまた、獄中で指折り数え

  • 七年の恋の終わりに、冷酷な彼は豹変した   第612話

    小春をようやく寝かしつけた詩織は、ふとスマホの画面に目を落とした。ミキからメッセージが届いている。【ねえ詩織、私また資産増えちゃった?】【へっへっへ、私もいよいよ小金持ちの仲間入りね!】【ていうかさ!ゲス帆の会社、上場審査落ちたってマジ!?】その後に続くのは、六十秒いっぱいに吹き込まれたボイスメッセージが三連発。再生する勇気はなかった。うっかり押せば、苦労して寝かしつけた小春が起きてしまう。それに聞かずとも、内容は想像がつく。ミキのふざけたアカウント名『六十秒の美少女戦士』は伊達じゃない。彼女のエネルギーは今日も健在だ。詩織は慣れた手つきで文字を打った。【あんた

  • 七年の恋の終わりに、冷酷な彼は豹変した   第676話

    三月半ば。詩織は江ノ本大学のMBA課程を修了し、無事に卒業の日を迎えた。これで心置きなく、七月末から始まるWTビジネススクールへの留学準備に取り掛かれる。とはいえ、残された時間は少ない。渡航までに「華栄キャピタル」の組織体制を盤石なものにせよと、やるべきことは山積みだ。有能な幹部候補の引き抜きや、管理職の育成に奔走する日々が続いた。そんな多忙を極める中、北里市から衝撃的なニュースが飛び込んできた。中央政界を揺るがす大粛正が始まったのだ。澪士が内部告発文書のコピーを送ってくれた。そこには、汚職の摘発リストと共に、事件の主犯格である大物政治家の罪状が記されていた。【重大な職

Plus de chapitres
Découvrez et lisez de bons romans gratuitement
Accédez gratuitement à un grand nombre de bons romans sur GoodNovel. Téléchargez les livres que vous aimez et lisez où et quand vous voulez.
Lisez des livres gratuitement sur l'APP
Scanner le code pour lire sur l'application
DMCA.com Protection Status