Compartir

第647話

Autor: 北野 艾
あろうことか、私は彼を……本気で愛してしまっていたのに。

数多の男たちと浮名を流してきた私が、唯一心を許したのが賀来柊也だった。

だからこそ、「好きだったことなどない」という宣告は、死刑判決よりも重い絶望をもたらした。

愛憎が反転し、狂気が鎌首をもたげる。志帆は狂乱したように面会室の柵に掴みかかり、悲鳴に近い声で叫んだ。

「じゃあ、江崎詩織は!?あの女のことは愛してるの!?」

その名が出た瞬間、柊也の瞳に渦巻いていた殺気がふっと和らいだ。

声色すら、無意識のうちに優しさを帯びる。

「ああ、愛している」

迷いのない、確固たる答え。

それこそが、志帆にとって最大の致命傷だった。

鉄柵を握りしめていた指から、力が抜けていく。

志帆は糸の切れた人形のように椅子へと崩れ落ち、瞳から完全に光が消え失せた。

「そう……」

そうか。最初から最後まで、賀来柊也にとって私は、ただの道具に過ぎなかったのだ。

柊也の残酷さは、志帆の想像を遥かに超えていた。彼女が口にするのを躊躇った最悪の推測を、彼は平然と肯定してみせたのだ。

「俺はお前を利用したんだよ。詩織を正しい軌道に乗せ、彼
Continúa leyendo este libro gratis
Escanea el código para descargar la App
Capítulo bloqueado
Comentarios (1)
goodnovel comment avatar
utano33
やっぱり柊也の中には詩織しかいなかった そこかしこに愛情表現が見え隠れしてたもんね 柊也に最初に抱かれた時詩織が素直に柊也に気持ちを伝えていたら違う未来になったのかな?
VER TODOS LOS COMENTARIOS

Último capítulo

  • 七年の恋の終わりに、冷酷な彼は豹変した   第928話

    誰かが困惑したように声を上げる。「え、何で急に答えが間違いだって気づいたんだ?」その問いを機に、個室の中は異様な静寂に包まれた。少しでも勘のいい者なら、すぐに事の核心に辿り着く。一同の視線が、詩織、柊也、そして京介の三人の間を激しく行き来した。剥き出しの好奇心、真相を暴こうとするいやらしい眼差し、そして野次馬特有の、下世話な興奮。沈黙の中で、かつての誤解と、今さら明らかになった真実が音を立ててぶつかり合っていた。見世物にされるのは真っ平だった。詩織は自分の手を取り戻そうとする。だが、柊也の指は鉄の枷のように食い込み、微塵も解ける気配がない。「悪いが、少し個人的な話がある。お先に失礼するよ。みんな、楽しんでくれ」最後に太一へ向かって、「誕生日おめでとう」と言い添えた。それだけ言い残すと、柊也は詩織の手を引いて外へと歩き出す。その足取りは、かつてないほど迷いがなかった。詩織は半ば強制的に連れ出される羽目になった。握られた手首が熱い。彼の体温が伝わり、手のひらにはじっとりと汗がにじむ。振り払おうとしても、力ずくで引き抜こうとしても、びくともしなかった。「……ちょっと、一体何を考えてるのよ」詩織は眉をひそめ、苛立ちをぶつけた。柊也はそのまま、誰にも邪魔されない静かな場所まで彼女を連れて行くと、ようやく足を止めた。そして、射抜くような鋭い視線を彼女に浴びせる。「お前と京介は……一度も付き合ってなんていなかった。そうなんだな?」詩織は心底呆れ果てた。何を今更、そんな分かりきったことを聞くのか。さっき個室であれだけはっきりと否定したはずだ。二度も三度も繰り返すつもりはない。強引に腕を振り抜き、その場を去ろうとした。だが柊也は、逃がすまいと彼女を抱き寄せ、上から覗き込むように顔を近づけた。「詩織、答えろ!」どんな時でも冷静沈着、不測の事態にも動じない詩織だが、柊也を相手にするといつもペースを乱される。赤く跡がついた自分の手首を見て、ついに怒りが沸点に達した。「なんで私が、そんなわけのわからない質問に答えなきゃいけないのよ!」「ただ知りたいんだ。お前とあいつが、本当に付き合っていたのかどうかを」柊也は執拗に答えを求めてくる。詩織が強引にすり抜けようとした瞬間、彼は彼女を壁に押し込んだ。

  • 七年の恋の終わりに、冷酷な彼は豹変した   第927話

    昔、京介本人に問い詰めた時、彼は「志帆と交際したことなど一度もない」とはっきり断言していたのだ。あれは志帆が国内の社交界で勝手に流したただのデマだった。そもそも留学中、彼らは滞在している大陸すら違っていたのだから。だとしても、「誰とも付き合ったことがない」だと?太一は怪訝な顔になり、思わず横の柊也へと視線を送った。柊也の目は鋭く光り、京介の顔を射抜くように見つめていた。「それは『真実』か?」「ああ」京介はきっぱりとうなずく。「こんな時に、わざわざ嘘を吐く必要なんてない」「十二年前、江ノ本第一高校の校門前にある売店だったよな。お前と詩織、付き合ってるって周囲に公言してたじゃないか」柊也は当時の時間や場所までも明確に口にした。まるで紛れもない事実であるかのような、断定的な物言いだ。当事者である京介ですら、一瞬呆気に取られていた。彼は柊也を一瞥し、次いで詩織を見る。ずっと他人事で通していた詩織も、これには驚きを隠せなかった。十二年前?江ノ本第一高校?彼が言っているのは……あの、付き合っているふりをしていた一件のことだろうか。詩織がふと視線を上げると、あの真っ向から見据える黒い瞳とぶつかった。柊也の顎のラインは硬く強張り、その眼窩の奥には激しい嵐の予兆が渦巻いている。京介もようやく思い出したようで、苦笑混じりに口を開いた。「……ああ、あれは誤解だよ。当時、第一高校の周りは治安があんまり良くなくてね。下心を持って近づいてくる連中を追い払うために、しばらく彼氏のふりをして詩織の下校に付き合ってただけだ」「なんだ、偽装カップルだったのかよ?」太一が素っ頓狂な声を上げた。あまりにも大きな、そして長すぎる勘違いだった。京介は深く頷く。「ああ。あくまでフリだ。高村先生に頼まれてね」当時、高村教授は詩織を弟子に取ったばかりで、末っ子の弟子をそれはもう可愛がっていた。彼女が不良絡みのトラブルに巻き込まれそうになったと知るや、京介をナイト役に指名したのだ。『もしあの子に何かあれば、お前の責任だぞ』とまで脅されて。だから京介はしばらくの間、彼女の用心棒を務めていたに過ぎない。長年、柊也を縛り続けてきたはずの因縁が、あまりにもあっけなく、淡々と解き明かされていく。柊也は、胸を焼かれるような熱い

  • 七年の恋の終わりに、冷酷な彼は豹変した   第926話

    その質問に、詩織は思わずピクリと眉を動かした。彼女は、彼がどう答えるか知っている。――『好きな女の恋路に割り込んで略奪すること』だ。五年前、彼にプロポーズしようと決意したあの夜。太一が彼に同じ質問をしたのを、詩織はこの耳ではっきりと聞いていた。そして、今でも鮮明に覚えている。あれは、彼女が七年間抱き続けた夢が、木っ端微塵に砕け散った瞬間だったのだから。柊也はすぐには答えなかった。その熱を帯びた深い瞳が、ゆっくりと詩織へと向けられる。だが、詩織は目を逸らし、彼の視線を完全に無視した。その表情はどこまでも淡泊で、傍目には二人の間に親密さなど微塵も感じられない。やがて、柊也は焦る様子もなく口を開いた。その答えは、五年前と一言一句違わなかった。「――好きな女の恋路に割り込んで、略奪することだ」詩織の口角がわずかに上がり、声のない冷ややかな笑みがこぼれた。柊也はソファに深く背を預けている。間接照明の曖昧な光が彼の瞳の奥に落ちるが、まるでブラックホールに吸い込まれたかのように、そこにはただ底知れぬ漆黒だけが広がっていた。「お前がそこまでなりふり構わず惚れ込むなんて、一体どんな女なんだよ?」太一の反応は、五年前と同じように激しかった。周りの人間も興味津々で身を乗り出してくる。だが、柊也はあっさりとそれをかわした。「ゲームのルールだろ。質問は一回につき一個までだ」「よっしゃ、もう一回だ!今夜絶対に吐かせてやるからな!」太一が闘志を燃やして腕まくりをする。「やれるもんならやってみろ」柊也はどこ吹く風と余裕を見せた。続く第二回戦。ターゲットになったのは太一の友人だった。質問者は彼に、「自分の妻を愛しているか」と尋ねた。男は鼻で笑って答える。「政略結婚だぜ?愛だの恋だの、あるわけないだろ」太一が納得いかない顔で反論した。「政略結婚だって、相手を好きになることくらいあるだろ」男は薄笑いを浮かべたまま肩をすくめる。「もっと視野を広く持てよ。結婚してから、ゆっくり自分の好きな相手を外で探せばいいんだ。表沙汰にさえならなきゃ、誰も文句は言わねえよ」これが、世の政略結婚のリアルな実態だった。財界の荒波に揉まれてきたこの数年間、詩織はこんな話を腐るほど耳にしてきた。もはや驚きすらない。人間の本性なんて

  • 七年の恋の終わりに、冷酷な彼は豹変した   第925話

    さらには詩織が入ってくるのを見計らって、わざ見せつけるように京介に擦り寄っていく。京介はさりげなくそれをかわし、「少しタバコを吸ってくる」と席を立った。霜花はすかさずその後を追う。一目散に元夫の機嫌を取りに行く気満々だ。「あの二人、結局のところ本当に離婚したわけ?それともただの喧嘩?」誰かが野次馬根性で尋ねた。すると、霜花に金魚のフンのようについてきた取り巻きの一人が、鼻高々に答えた。「あれは夫婦のちょっとしたスパイスみたいなものよ。わからないかしら?敬語で静かに過ごす夫婦もいれば、ああやって喧嘩しながら愛を深める夫婦もいるの」そこで彼女はわざとらしく言葉を区切り、ちらりと詩織を見下しながら口の端を吊り上げた。「だから、変な噂を流さないでよね。あの二人の絆は本物なんだから。どこかの誰かさんが、変な期待をして勘違いすると困るでしょ?」あまりにも露骨な当て擦りに、詩織は思わず眉をひそめた。その瞬間、太一の足がテーブルの下で誰かに蹴られた。彼は慌てて咳払いし、喋っていた女に向かって唐突に口を開いた。「いや、ちょっとごめん。俺、あんたを誕生会に呼んだ記憶はないんだけど? もしかして会場間違えてない?」女の顔が引きつった。這うように出た気まずい笑みを浮かべ、必死に取り繕う。「えっと、私は霜花ちゃんと一緒に……」「別に霜花さんのことも呼んでないけど」ここまで言われると、さすがの女も愛想笑いすら作れなくなった。しかし、彼女も面の皮の厚さには自信があるらしい。「……まあまあ、もう来ちゃったんだからいいじゃない。お祝いの席は賑やかな方が楽しいでしょ?まさか太一さん、席から追い出すような野暮な真似はしないわよね?」自分たちは常識のある大人なのだ。いくらなんでも太一がここで本気で追い払うような真面はしないだろう。女はそうタカをくくっていた。だが、残念ながらそれは大きな勘違いだった。もし先ほどのあの当て擦りがなければ、太一だって大人の対応でその「常識」とやらを保っていただろう。だが、相手はよりにもよって詩織に噛み付いたのだ。ならば、情け容赦などする必要はない。「あ、大正解。出口はあっちだから、気をつけて帰れよ」女の顔は真っ赤に染まった。怒りと屈辱で震えながら、彼女は逃げるようにその場を去っていった。「江崎、

  • 七年の恋の終わりに、冷酷な彼は豹変した   第924話

    詩織という女は、そういう人間だった。貸し借りの境界線をきっちりと引き、少しでも不釣り合いな贈り物は絶対に受け取らない。相手にばかり負担をかけることを極端に嫌がった。高価なプレゼントをもらえば必ずそのことを覚えておき、後から自分なりのもっと心のこもった贈り物で返してくる。彼女は決して好意を無下にしているわけではない。人間関係における「バランス」の重要性を、誰よりも熟知していたのだ。一方的に甘えて、相手を利用していると思われるのを酷く恐れていた。かつて、彼女が恩師である高村教授に詫びを入れるため、彼が欲しがっていた書画をオークションで競り落とそうとした時のことだ。その時、横から強引に横取りしていったのが志帆だった。志帆は別にその掛け軸が欲しかったわけではなく、ただ詩織のものを奪いたかっただけだ。手に入れた途端に興味を失い、その後、柊也が裏で手を回したことなど微塵も気づいていなかった。彼が父の海雲の名前を借りて、それをこっそり詩織の手に渡したことなど。だがその後すぐ、詩織は自ら骨董屋で別の絵画を見つけ出し、海雲への「お礼」として贈ってきたのだ。自立しすぎていて、あまりにも潔い。だからこそ、彼が彼女に贈るプレゼントは、常に彼女が気負わずに受け取れる負担のないものばかりになった。――「五ヶ月と八日」。その正確すぎる数字の響きに、詩織は胸の奥がぎゅっと締め付けられるのを感じた。急にこの狭い部屋が、ひどく息苦しい場所に思えてくる。彼女はふいと顔をそむけ、無意識に指をきつく握り込んだ。完全に塞いでいたはずの心の奥底に、また小さな波紋が広がっていくのがわかる。じわじわと込み上げてくる胸の痛みをどうにか押し殺すと、彼女は冷たい声を作って振り返った。「……どうして、そんな無意味なことをするの? 私が情にほだされて、よりを戻すとでも思ってるわけ?」「そんなこと、一度も考えたことはない」柊也は酔った瞳の奥に真剣な光を宿して答えた。もし今夜、酒に酔って正気を失っていなければ、こんな場所を詩織に見せるつもりなど到底なかった。彼はただ、彼女のかつての痛みを疑似体験したかっただけなのだ。彼女が歩んできた苦難の道を、自分も同じように歩いてみたかっただけ。これは、彼自身が背負った過去の罪に対する身勝手な精算だ。彼女にひけらかすための

  • 七年の恋の終わりに、冷酷な彼は豹変した   第923話

    だが、まさか柊也が今そこに住んでいるなんて。実際に部屋へ足を踏み入れた瞬間、詩織の胸は激しく揺さぶられた。部屋のレイアウトは五年前と全く同じで、何一つ変わっていない。かつて彼女が大切にしていたトロフィーすら、元の場所に飾られていた。ピカピカに磨き上げられた表面を見れば、頻繁に手入れされているのは明らかだ。でも、あのトロフィーは間違いなくゴミ箱に捨てたはずなのに。手に取って確かめてみる。欠けた部分の傷跡まで、記憶と完全に一致した。間違いない、私が捨てたあのトロフィーだ。リビングの壁際には相変わらずデスクが置かれ、壁には色とりどりの付箋が貼られている。しかし、そこに書かれているのは彼女の文字ではない。柊也の筆跡だった。以前彼が落とした手帳と同じように、書かれていることの九割九分は彼女に関するものだった。部屋の至る所に、確かな生活の匂いがあった。テーブルには飲みかけのグラス。キッチンにはずらりと並んだ調味料に、オープンラックに収納された様々な鍋。冷蔵庫には新鮮な食材がたっぷりと詰まっており、今朝彼女が食べたばかりのオレンジまで入っている……それらを目の当たりにし、詩織の冷ややかな表情に複雑な色が滲んだ。彼女は深く探るような視線を柊也に向ける。「……どうして?」いくらエイジアが破産したとはいえ、彼は賀来グループの唯一の跡取りだ。豪華な別荘にだって、五つ星ホテルや高級マンションにだって住める。最悪、実家に戻ることだってできる。帰る場所に困るような人間ではない。それなのに、どうしてこんな狭いアパートに?あんなにこの場所を嫌っていたじゃないか。私が住んでいたあの七年間で、彼がここに来た回数なんて両手で数えるほどしかなかったのに。今になって、なぜ彼がここに住んでいるの?柊也はペットボトルの水を一本飲み干し、ようやく少しだけ正気を取り戻した。だが、まだ頭は重いのか、ひどく辛そうな顔をしている。彼はゆっくりと息を吐き出すと、さきほどの問いに答えた。「ただ……君が昔どんなふうに過ごしていたのか、俺も同じように感じてみたかったんだ」ここは本当に狭い。彼の実家のバスルームにすら及ばない。住人の層もバラバラで、セキュリティなど無いに等しい。環境も酷いものだ。訳ありの住人も多く、モラルなんて期

  • 七年の恋の終わりに、冷酷な彼は豹変した   第397話

    詩織はしばらくスマホで仕事のメールを処理していたが、次第に路面の揺れが大きくなってきたことに気づき、ふと顔を上げた。窓の外には、すでに市街地の華やかさはなく、寂れた景色が広がっている。「まだ着かないの」不審に思った詩織が尋ねると、運転手はバックミラー越しに応えた。「会場は山手の閑静なヴィラですので、少々距離がございます」詩織はそれ以上何も言わなかったが、胸の中で警報が鳴り響いた。彼女はこっそりと百合子にメッセージを送り、会場の位置情報を求めた。すぐに返信が来る。【運転手がそちらに着いたけど、あなたの姿がないそうよ。別の車で向かったの?】詩織は瞬時に悟った。この車は、

  • 七年の恋の終わりに、冷酷な彼は豹変した   第398話

    男は飢えた獣のように詩織の顔へ食らいつこうとした。だが、幾重にも巻かれた粘着テープが邪魔をして、その柔肌に触れることができない。興ざめした男はターゲットを変え、詩織の首筋に顔を埋め、執拗に吸いつき始めた。ぞわり、と全身の産毛が逆立つ。詩織はあまりの嫌悪感に吐き気を催した。口を塞がれているせいで呼吸もままならず、窒息寸前の恐怖が襲う。叫ぶことも、逃げることもできない。これほどの絶望を感じたのは、人生で初めてだった。男の手が腰を這い上がり、ドレスの胸元を引き裂こうとした――その時だ。外から突然、激しい物音と怒号が聞こえてきた。「なんだテメェ!」誰かが叫んだ。だが

  • 七年の恋の終わりに、冷酷な彼は豹変した   第355話

    「いくら上がったの!?」ミキの食いつきようは予想通りだった。詩織が具体的な金額を告げる。その瞬間、鼓膜が破れそうな歓声が響いた。「キャーッ!詩織愛してる!一生あんたの犬になる!」「どう?まだ怒ってる?」クスクスと笑う詩織に、ミキは能天気な声を上げた。「怒る?何それ美味しいの?怒るなんて暇人のすることよ!やっぱ金よ金!札束はすべての傷を癒やすのよ!」確かにその通りだ。男を追いかけるより、金を追いかける方がよっぽど楽しくて実りがある。ミキは今ようやく、詩織が男なんかに興味を示さなくなった理由を心から理解したのだった。……『ドリーム・クラウド』の正式リリースを目前に控

  • 七年の恋の終わりに、冷酷な彼は豹変した   第417話

    志帆は同意を求めて振り返ったが、隣にいるはずの柊也もまた、詩織を凝視していた。その表情は相変わらず冷ややかだが、明らかに集中している。志帆の視線にすら気づかず、形の良い眉をわずかに上げ、何かを期待するかのように詩織を見つめているのだ。志帆の胸が、どすんと重く沈んだ。柊也に声をかけようとした、その瞬間。詩織がペンを置き、涼やかな声で言った。「できました。高村先生、確認をお願いします」「……もう終わったのか?」権田が素っ頓狂な声を上げた。書き始めてから、ものの五分と経っていない。志帆も流石に目を剥いた。高村教授は詩織から用紙を受け取ると、鼻眼鏡の位置を直し、食い入る

Más capítulos
Explora y lee buenas novelas gratis
Acceso gratuito a una gran cantidad de buenas novelas en la app GoodNovel. Descarga los libros que te gusten y léelos donde y cuando quieras.
Lee libros gratis en la app
ESCANEA EL CÓDIGO PARA LEER EN LA APP
DMCA.com Protection Status