INICIAR SESIÓN「女性は結婚して幸せに生きていきたいなら、自分自身が強くあるか、それかとても頼りになる実家の家族がいるかね。私には娘ができたけど、まだ一人しかいないから、将来芽衣が結婚して遠くに行っちゃうってなったら、絶対耐えられないよ。蒼真に関しては言うまでもないわね。彼は芽衣のことを目に入れても痛くないくらいに可愛がっているから。瀧と、それに久保家の子供もいて、蒼真ったらすごく警戒してるのよ」唯花は思わず笑いがこみあげてきた。「瀧君だってまだ三歳でしょ、何もわからないじゃない。優奈さんのお子さんとあなた達の双子ちゃんは同い年だけど、今は食べるか寝るかしか知らない年齢じゃない」「蒼真はそれでも警戒してるのよ。彼ったら、せっかく女の子が生まれたのに、しっかり守らないといけないって。どこの馬の骨とも知らない男が芽衣に近寄ってきたら、すぐに追い払うんだって。よその家の息子にはそんな考えを持たせないって気張ってるわよ」蒼真が今最も警戒しているのは、養子として迎えた瀧だった。瀧は非常に頭が良い。あの名医まで彼は才能があると認めている。しかし、瀧は血にまみれた憎しみの運命を背負っている。それに、彼の本当の出身はA市からはとても遠い場所にある。蒼真は瀧が大切な娘を奪うのではないかと考えるだけで、食欲もなくなり眠れなくなる。そのせいで極度の不眠症になってしまい、遥はもはや苦笑いするしかなく、彼に考えすぎだと諭していた。瀧のほうは芽衣を本当の妹のように思っている。それはまだ彼が毛も生えていない小さな子供だからだ。蒼真は本当に変な考えまでして、おかしな方向へいってしまっている。「わかる、それは本当にわかるわ」唯花は笑って言った。「うちの理仁さんなら、ははは、きっとお宅の旦那さんよりももっとすごいわよ。夫だけじゃなくて、結城家全員が女の子の周りに警戒するでしょうね」結城家には何代にもわたって、女の子が生まれていないからだ。もし、唯花が本当に娘を生んだら、結城一族はこぞって、唯花の娘をお姫様のように大事に大事に家に閉じ込めてしまうだろう。結城家の令嬢に手を出そうと思うのは、自殺行為と同じだ!「私たちが結婚した相手の家はだいたい似ているわね」桐生家は結城家のように全く娘が生まれないという家系ではない。しかし、蒼真たちの世代には女の子はいない、悠の
遥は慰めるように言った。「唯花ちゃん、そんなに心配しなくていいよ。依茉さんなら絶対に咲さんの目を治療できるはずだわ。彼女の先生は名医と呼ばれる方で、諺でも『青は藍より出でて藍より青し』って言うでしょう?」唯花は言った。「ええ、私たちも酒見先生のことを信じてる」依茉も、辰巳には治療ができるようになったらすぐに星城に赴いて、咲の治療をすると約束していた。「善君と姫華さんはどんな感じ?彼ったら私たちにはあまり自分の事を話さないから。それで私たちから聞いてもあんな感じなのよね。お義父さんとお義母さんは早く彼と姫華さんが結婚したらいいのにって思っているのよ」遥は善の結婚について話題を変えた。「二人も何度も星城に行きたいって言っているのに、善君が許さないのよ。彼は、まだ親の顔合わせをするような段階じゃないって言うの。それに彼もまだ姫華のお母さんから認められていないから、私たちもただ、まだかまだかと焦って待つしかなくて、何も手助けできないのよね」善と姫華の事になると、唯花もどうしようもないという顔をして、遥に言った。「桐生さんと姫華はとても仲が良いんだけど、伯母様がどうしてもこだわり続けているのよね。確かにまだ両家の親の顔合わせには早いと思う。今、桐生さんには手強いライバルもいるし」「え、恋のライバル?」「伯母様が姫華を遠くに行かせたくなくて、星城にいる好青年を何人か選んでいたの、姫華とその中から誰かをくっつけようとしたわけ。で、桐生さんがこの件ですごく切羽詰まってしまって、だから彼と姫華はもう暫くもがき続けないとゴールインできないかも。伯母様はすごく寛容な考えを持った方なんだけど、ただ姫華の事となると、こだわりが強くて大変。私たちだって呆れてるの。何度も説得してみたんだけど、どうしても聞き入れてくれなくて」唯花はため息をついた。「もしかしたら、将来私に娘が生まれて、その子が結婚して遠くに離れちゃうってなった時に、やっと伯母様がここまで固執するのが理解できるのかも」姫華が善と結婚したとしても、実際は変わらず星城で暮らすことになる。それに、神崎家は善の購入した屋敷のお隣だから、姫華は誰よりもすぐに実家に帰れるのだ。しかし、詩乃にとっては、善がA市出身で、姫華が彼と結婚してしまうと、頻繁に彼とともにA市に行くことになるのが心配なのだ
善は唯花の話に続いた。「唯花さんが出張に行くとしても、姫華さんも一緒について行ったことでしょう。彼女は今仕事を一番にしているんですから」「従姉妹同士、同じですね。俺が無理にでも前もって唯花を連れてこなければ、きっと彼女も双子の百日祝い当日にしか来なかったでしょう」理仁が善の後に続いた。遥は笑って言った。「まずは音濱岳邸にまいりましょう。ここは風が強いですから神崎さんはいずれ桐生家と親戚になるんですから、いつでも会えるようになりますしね」善は少し顔を赤くしていたが、とても満足げな様子だった。善と姫華はあと少しでゴール地点が見えるといったところだ。あとは詩乃がもうA市が遠いということにこだわらず、善に恋敵を仕向けてこなくなるのを待つだけだから、そう時間がかからず、ゴールインできるはずだ。この時、そのようにお気楽に考えていた善だったが、まさか近い未来に、両親や兄、そして遥に助けを求め、星城に来てもらってやっと姫華との結婚に光が見えるようになることなど、思ってもいなかった。遥は唯花の腕を組んで、妻同士仲良く前方に歩いていった。「酒見先生は、もう産後の休みを終わった?」唯花は遥に尋ねた。「咲さんが少し前にちょっとトラブルに巻き込まれそうになって、辰巳君がその件を処理したらしいんだけど、彼、やっぱりすごく焦ってるみたい。早く咲さんの目の治療ができればいいと期待してるの」咲がいくら聡明で、できる女性だったとしても、目が見えないことが弱点となってしまい、良からぬことを考える連中のターゲットとなり、少しでも気を抜いていると被害を受けてしまう。前回、咲を誘拐しようとした人物はやはりあの二人のおばが仕組んだことだったのだ。今、尾崎家と黒川家はおそらく悲痛に叫んでいるはずだ。辰巳は証拠を探し出し、咲に代わって尾崎家と黒川家に一切の情けをかけず、容赦ない復讐をしたのだ。咲に手を出す者は辰巳を、結城家を敵に回すことになる!尾崎家と黒川家は咲にとっては親戚関係だが、そんなものなど考慮せず、辰巳は手ひどく相手を打ちのめした。咲が手加減するように言わない限り、辰巳は情けをかけはしない。そして尾崎家も黒川家も、咲はどうであれ、おばと姪という関係があるから、ひどい真似はしてこないだろうと高を括っていたのだ。そして何度か様子をうかがいなが
二日後。A市の音濱岳邸。あるプライベートジェットが、音濱岳にある個人所有の飛行場に降りた。遥と蒼真夫妻はそこで待っていた。理仁と唯花が降りてきたのを見て、二人は笑顔で迎えた。彼らと一緒に善も戻ってきた。本来、善はもっと早く帰ってくる予定だったが、どうしても姫華と離れたくなかったのだ。彼女はここ二日また出張するので、百日祝いの当日にしか来られないと言っていた。そして、理仁夫妻がお祝いの数日前に行く予定であることを知り、理仁のプライベートジェットに便乗させてもらって、一緒に来たのだ。「唯花ちゃん」遥は笑顔で唯花を呼んだ。そしてまた理仁の方へ会釈した。「結城社長、ご無沙汰しております」理仁は微笑んで返事した。「ええ、お久しぶりですね」理仁は蒼真と握手を交わした。最後に降りてきた善はその様子を見て、わざと愚痴をこぼした。「兄さん、お義姉さん、結城社長と奥さんのことしか目に入っていないの?僕も帰ってきてるんだけど」蒼真は笑顔で善のところへ行き、軽く弟の腕を小突いて、プライベートジェットのほうをちらりと見た。姫華の姿がなかったので、彼は弟に尋ねた。「神崎さんは?一緒に来るって言ってなかったか?」善はどうしようもなさそうに言った。「姫華さんなら急に出張が入って、できるだけお祝いの当日には間に合うようにするって言ってたよ。もし、間に合わなったら、彼女の分まで祝っておいてくれって。姫華さんが双子ちゃんにプレゼントを持ってきたよ。僕が一緒に持ってきたから」毎回彼が姫華と音濱岳の邸宅に帰ろうと約束すると、姫華はいつも急用が入る。現在の姫華は、できるキャリアウーマンといった感じで、事業のほうに重点を置いている。それで善はどうすることもできなかった。仕事で何かトラブルが発生すれば、唯花がそれを処理すると言っても、姫華も一緒に行ってしまう。唯花に時間がないならなおさらだ。明凛も出張したがってはいるが、それは無理な話だ。彼女のお腹には悟の子供がいて、悟から出張禁止令が出されている。姫華と唯花も彼女が出張で動き回るのには反対だった。唯花は申し訳なさそうに言った。「姫華は私の代わりに出張に行ってくれたので、私が先にこっちに来てしまって」姫華は唯花が遥の双子をとても気に入っているのを知っているので、どうしても理
理仁は自分にとても優しく、一生でも使いきれないお金を稼いでいたとしても、唯花はやはり、自分で稼いだお金を使うと譲らない。自分で稼いだお金を使うのはとても気分がよく、心理的な負担がないと言うのだ。理仁は自分の財産全てを彼女に差し出したが、唯花がそれを使うことはほとんどなかった。「私は大丈夫、まだ若いんだからとっても健康で元気満々よ。昨日の夜とても早く寝たから、今はすっごく調子がいいの」そう言いながら、唯花は座って笑った。「そういえば暫くあなたに愛のこもった朝食を作っていなかったわね。今日は早く起きたことだし、あなたに作るわ」理仁も笑った。「俺たちがまだ結婚したばかりの頃の普通の夫婦生活が懐かしく突然思ったよ。君は毎日朝起きると、家で朝食を作ったり、外で何か買ってきてくれたりしたよね。俺は初めて外で買ったのを朝食として食べたぞ」「私も懐かしいな。ねえ、だったら、今日はフラワーガーデンのほうに帰って暫くあっちで過ごさない?」「君が決めていいよ」理仁は見事な溺愛っぷりでそう返事をした。二人の家庭では全て唯花に決定権がある。「先にお風呂に入って、ちょっとしたら下に行って朝食を作るわね」理仁は言った。「もうキッチンのほうが朝食を用意しているから、週末にしようか。週末はどちらも休みだから、愛のこもった朝食を作ってくれ」「週末は過ぎたなかりで、また数日しないと週末は来ないでしょ。いえ、二日後にはA市に行かなくちゃ。二日早めに行ってその分長く滞在しよう、芽衣ちゃんに会いたいわ」理仁は少し考えて言った。「それもいいよ」そして唯花はお風呂に行った。彼女が浴室から出てきた時には、理仁はすでに着替えを済ませ、ドレッサーの椅子に座って唯花を待っていた。唯花が髪も洗ったのを見て、彼はすぐにドライヤーを持ってきて注意した。「朝から髪を洗うなんて」「さっきうっかり髪が濡れちゃったから、いっそ洗っちゃおうと思ったの」理仁は唯花に近づいて引っ張り、ドレッサーの前に座らせて髪を乾かしてあげた。唯花は鏡越しに理仁を見つめた。「理仁」「うん」「あなた自ら私の髪を乾かしてくれるってみんなが知ったら、驚くかしら?あなたって世間の目では偉そうに上に君臨する結城家の御曹司よ」理仁は笑って言った。「誰にどう思われても構わないさ。俺は
唯花が目を覚ました時にはすでに翌日の朝になっていた。彼女は目を開けて、自分がベッドに横になっているのを見て、ぼんやりとしていた。車の中にいたのではないかと考えていた。一体どれだけ寝ていたのだろう?横を向くと、隣に見慣れた人の姿があった。彼女は横向きに姿勢を変えて、静かに理仁を見つめていた。見ているうちに、思わず手を伸ばして彼の顔を触った。こんなに素敵な男性が自分の夫なのだ。その考えが唯花の心を甘く満たした。近寄って彼の顔にキスをしようとした時、理仁が目を開けた。目の前に彼女が迫っているのに気づき、何をされるのか予想して、すぐにまた目を閉じた。唯花は小さな声で笑った。「起きてるでしょ」「いいや、まだ夢を見ている。夢の中で妻が俺にキスをしようとしているんだ。キスをもらってから起きるとしよう」その言葉に唯花はぶはっと笑った。「話しているのに、まだ寝てるって言い張る気?」「これは寝言だ」仲良い夫婦である今は、キスをするのが彼らにとって一番好きな日常のスキンシップだった。唯花も恥ずかしがることはなく、彼の体に覆いかぶさり、彼の唇に口づけをした。理仁は唯花の頭を押さえてもっと深いキスをしようとしたが、彼女のほうが唇の位置をずらして、理仁の顔に細かくキスの雨を降らせた。「そろそろ起きていいわよ」理仁は目を開けて、少し不満そうにしていた。彼は唯花の赤い唇をツンツンと突っつき、言った。「キスをされるとわかっていれば、もっと寝ていたのにな。君に服をはぎ取られてから起きればよかった」唯花は彼の体から離れ、手を伸ばして優しく彼の顔をつねった。「寝ている時に、服を脱がしたりしないわよ。あなたみたいに、私が寝ているのに……」理仁は唯花を懐に抱きしめ、小さな声で笑った。「俺だってたまにしかしないよ」「今何時?私何時間寝てたの?」理仁は携帯を手にとり、時間を確認して言った。「まだ早いよ、七時にもなってない」「外はもう明るいわね」「今の時期は、朝六時過ぎでももう明るくなってるよ。あと一、二か月したら、日が短くなるね。ここ暫くの間、あまりいろいろ走り回ったらダメだぞ。しっかり休まないと。あんなに小さな陽君だって、君がいつも眠そうだって言っていたぞ。つまりちゃんと休んでいないからだ。睡眠時間が減ってるんだ。昨日の
陽は相変わらずご飯粒だらけの顔になっていた。テーブルの上にもたくさん粒が落ちている。詩乃と姫華はそんな陽のやりたいようにさせていた。詩乃は、小さな子供は自分のことは自分でやらせたほうがいいという考え方だったのだ。最初うまくいかなくても、何度も何度も繰り返し練習することで、だんだんコツを掴んでいき、できるようになっていくものだからである。あと数カ月すれば、陽も三歳になる。だから、自分で食べるようになるべきなのだ。理仁は陽の頭をなでなでしてやり、神崎夫人のほうへ向き、落ち着いた声でひとこと「神崎夫人、お邪魔いたします」と挨拶した。詩乃は軽くそれに返事をし、優しい声で言った。「さあ、食事
明凛は清水に出前を取り、店の鍵を彼女に預けて言った。「清水さん、ご飯を食べ終わったら、帰りたい時にお店を閉めちゃってください。鍵はそのまま持っててもらって構いません。それか、唯花に渡してもらってもいいですよ」「若奥様はここ数日時間がないとおっしゃっていましたので、その間は私がお手伝いいたします。だから、鍵はそのまま私が持っておきましょう」清水は笑って言った。「お二人はどうぞごゆっくりお食事に行かれてください。ここは私にお任せを」清水がこの本屋を手伝うのもこれが初めてというわけではない。前に何度も手伝って、仕事内容もすっかり覚えてしまった。だから、彼女一人で店番しても、店の営業に何か
俊介は姉をきつく睨んだ。「姉さん、俺の部屋をちゃんと片付けてくれよ。それに、これから恭弥のしつけをちゃんとしてよ。毎回来るたびに大騒ぎになるなんて。前からよく陽をいじめたりおもちゃを奪ったりしてただろ。この前は嘘もついて、陽を病院送りにさせてしまったってこと、もう忘れたのか。恭弥がまだ小さいからって放っておいたらよくないぞ。今ちゃんとしつけしないと、大きくなったら手が付けられなくなるぞ」英子は反論しようとしたが、自分が来た目的を思い出し、ぶつぶつと承諾した。「わかったわ、ちゃんと片付けてあげるから。でも恭弥は元からああいう性格だから、どうしろって言うの?」俊介は妻をなだめた後、姉に
輝夫は建築材料を販売する店を開こうと考えていた。しかし、店舗を借りて改装するのに数百万かかる。英子は今夫婦二人とも収入がないため、貯金を使うのをためらっていた。もし商売が失敗したら大損だと思っていたからだ。しかし一方で、もし夫が成功したら、自分も大きい店のオーナーになれるとも思った。実家から助けてもらうのに慣れている英子は、自然に両親と弟の助けを求めてきたわけだ。「私は内海唯月じゃない!」莉奈は激怒して叫んだ。「あの女がそんなに気に入ってるなら、彼女のところへ行ったらどう?彼女があなた達をまだ相手にすると思ってるの?」彼女が今一番嫌いなのは、佐々木家の人間によく彼女と唯月と