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第827話

Auteur: リンフェイ
理仁はほっと胸をなでおろした。

彼は少し黙ってから、唯花のほうへやって来て、彼女の向かいに座った。

箸を手に取り、唯花のために料理を取り分けてあげようとしたが、彼女はお椀ごと持ってそれを避け、彼から受け取ろうとしなかった。

理仁は失意のままその手を元に戻し、その箸でつかんだおかずを自分のお椀の中へと落とした。

「唯花さん、全部君が好きな料理だから、たくさん食べてね」

理仁は優しい声で言った。

唯花はそれに何も返事をせず、彼のほうを見向きもしないで、ただ黙々と食べていた。

「君が一番好きなエビ、殻を剥いてあげるよ」

理仁は使い捨て手袋をはめて、エビの殻を剥いたが、唯花は殻付きのままのエビを箸でつかみ、それをそのまま食べてしまった。

理仁「……」

今、妻は何もさせてくれないらしい。

「ピンポーン……ピンポーン……」

その時、インターホンの音が鳴り響いた。

外はもう暗くなっているし、空気も冷たい。一体こんな時間に誰が訪ねてきたのだろうか?

「私が開けてきます」

渡辺が開けにいった。

邸宅の門の外には渡辺の見たことのない車が止まっていた。結城家の誰かが来たのでは
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