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第995話

Author: 星柚子
「なら、奴をおびき寄せればいい」

正修は立ち上がると執務デスクに歩み寄り、株価変動に関する報告書の束を一息に床に払い落とした。

真っ白な紙が宙を舞う。

まるで物悲しい雪が降るようだった。

奈穂は床一面に散らばった書類を見つめる。

すると、さっきまで続いていた胃の痙攣が、不思議なほどぴたりと止まった。

彼女はゆっくり立ち上がり、乱れた前髪を指先で整えると、正修の隣に歩み寄る。

「北斗は、あの人の駒よ。まずは、その駒を潰すことね」彼女の声には、微かな温度すらなかった。「あの人は北斗が暴れ回る様子を楽しんでいるんでしょう?だったら、その狂犬が今度は飼い主に噛みついたらどうなるかしら」

正修は静かに顔を向けた。

照明に照らされた奈穂の瞳は、冷たく鋭い光を宿している。

彼は手を伸ばし、そっと彼女のうなじを摘まむように撫でた。

汗はもう乾いていて、残っているのは軟玉のようにひんやりとした肌の感触だけだった。

「あの狂犬は……今も獲物に飛びかかる機会を待っている」正修は囁く。

その声は、耳元で危険な呪文を唱えるように低く響いた。「だったら俺たちが用意してやればいい――絶対に
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