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第6話

作者: 涼木
私は全身を強張らせ、歯を食いしばって黙り込んだ。

菜緒は身をかがめ、私の耳元に顔を近づけた。その声はまるで甘い愛の言葉でも囁くかのように軽やかだった。

「だって、それも真也があなたを傷つけるために選んだ方法なんだから。

あなたは知らないでしょうけど、大学2年であなたが悠太と付き合い始めた頃、真也は私に連絡してきたことがあったの」

彼女の一言一言がまるでナイフのように、私の最後の信念をじわじわと切り裂いていった。

「真也は、言っていたよ。本当は昔からあなたのことが大嫌いだったって。

あなたが生まれたせいで親の愛を独り占めされた、いつでも一番可愛がられるのはあなただったって。

それで、彼はずっとあなたに嫉妬していたそうよ。だから、私が悠太を好きだって知った時、真也は自分から協力するって言ってきたの」

その真実に、私は目を見開き、息も荒くなり、胸を見えない手に鷲掴みにされたかのようだった。

「そんなの……嘘よ……」

私が必死に首を振ると、抑制帯が手首に食い込み、赤く血が滲んだ。

それを見た菜緒は体を起こし、哀れむような視線を私に向けた。

「嘘をついてどうするの?私ひとりであなたの部屋に隠しカメラを何個も仕掛けて、生活リズムを完璧に把握できたとでも思っているの?

悠太とケンカするたび、どうして私がタイミングよく現れて彼を慰められたと思う?

全部、真也が仕組んだことよ。

あなたが絶望に沈んでいくのを、みんなから見捨てられるのを横目で見て、彼は心の底からスカッとしたらしい」

彼女の言葉は耳元でこだまし、重い鉄拳のように、私のこれまでの25年の人生を完全に粉砕した。

結局、兄妹の絆なんてどこにもなかった。彼は庇ったり、守ったりしようとしたことはなかった。

最初から、私は彼らが共謀して、陥れようとした獲物でしかなかったのだ。

「だから、月子、もう悪あがきはやめなさい」

菜緒は立ち上がり、私を見下ろして言った。

「あなたのことを気にする人間なんてこの世にいないのよ。

あなたは生きてるだけでも十分笑いものよ」

そう言って、彼女はスープジャーを持ち上げ、身をひるがえして病室を出て行った。そして、ドアが外からカチャリと施錠された。

残された私は冷たいベッドに横たわり、ただ天井で白々と光る蛍光灯を見つめた。

この3年間におけるあらゆる光景が、脳裏を駆け巡る。

神嶺市の凍てつく風、傷ついた手足、両親の詰責、そしてあの3人の見せかけの笑顔。

私はいったい、何を間違えたというのだろう?

絶望が波のように押し寄せ、私を完全に飲み込んだ。

この世界が最初から最後まで嘘で塗り固められていたのだとしたら、私が罪を償うために費やしたこの3年間は、一体何だったというのだ?

夜、看護師が抑制帯を外し、洗面所へ行くのを許可してくれた。

洗面所の窓には面格子がつけられていなかった。ここが5階であり、真下には硬いコンクリートが広がっているからだ。

錆びついた窓を押し開けると、冷たい風が一気に病衣へと吹き込んできた。

遠くにそびえる名高いお寺は、夜の闇の中で静寂と神聖さを湛えていた。

窓枠に這い上がり、足元に広がる底知れぬ闇を見下ろすと、あまりのやりきれなさに私は笑いが込み上げてきて涙が滲むほどになった。

「私が死ねば、あなたたちの企みが明るみに出る心配はなくなるのでしょうね?」

そう思いながら、私は目を閉じ、その果ての見えない闇へ身を投じた。

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