大照寺の回廊で、雷に打たれたような衝撃を受け、全身を震わせながら私が駆け寄ろうとしたその時。突然、背後から伸びてきた手に、回廊の奥にある暗がりへと力任せに引き込まれた。愛する人とそのお腹の子を失い、悲しみに暮れているはずの、私の実の兄の真也だった。疲れ切っている私の顔を見つめる真也の目には、いたわりの色など微塵もなく、隠そうともしない警戒心だけが浮かんでいた。「彼らを邪魔するな」私は口を開いたものの、声が出なかった。真也は私の肩を強く押さえつけ、責め立てるような口調で言った。「あの時、お前があそこまで彼らを追い詰めなければ、彼らだって死んだことにして逃げるなんて必要はなかったんじゃないか?お前を避けるために、彼らは今まで身を隠すのにずいぶんと苦労をして、今やっと落ち着いたんだよ。もう3年も経ったんだ、月子、諦めろ」冷たい風が肺まで入り込み、喉の奥には濃い血の味が広がった。「月子、頼むから彼らの平穏な日常を壊しに行かないでくれ」真也は凄まじい力で、私を古びた壁に押し付けた。彼は、長年の巡礼で歩き続け、傷が化膿するほどぼろぼろになった私の足にさえ、目を落とそうとはしなかった。かつて私の好物を用意してくれ、辛いことから守ってくれた彼は今、自らその手で力いっぱい私を押さえつけ、コントロールしようとしていた。そのどこか慣れ親しんだはずなのに、今では赤の他人のように思える顔を見つめながら、私は喉から掠れたガサついた声を絞り出した。「平穏な日常?」そうやって絞り出した一文字一文字に、まるで血の滲むような思いが込められていた。「私が江原市から神嶺市まで、長い巡礼の道を歩き続け、傷だらけになりながら祈りを捧げていた時、あなたたちは平穏な日常を過ごしていたっていうの?」真也は視線を泳がせたが、その口調は相変わらず当たり前のように平然としていた。「自分で勝手に巡礼を始めたんだろ?俺は止めたのに、お前が聞かなかったんだ」彼は片手を離すと、もがきによって乱れた私の服を整えてくれた。「菜緒は当時つわりが酷くて、お前が毎日マンションでヒステリーを起こすのに耐えられなかったんだ。だから、悠太は彼女の気持ちに配慮して、ああやって身を隠すしかなかったんだよ。責めるなら俺を責めろ。計画から実行まで手伝ったのも
Read more