เข้าสู่ระบบある日、夫の小野寺亮介(おのでら りょうすけ)の通販サイトの購入履歴を何気なく見ていると、この一年でバラを52束も買っていたことに気づいた。 しかも、送り先はすべて同じ住所だった。 けれど、私――小野寺真紀(おのでら まき)のもとには、そのうち一束たりとも届いていない。 私は何も知らないふりをして、亮介に聞いてみた。 「もうすぐホワイトデーだし、たまには花でも買ってくれない?」 一瞬、亮介の体がこわばったが、すぐに優しい目で私を見つめた。 「真紀、愛情っていうのは、花なんかより普段の行動で示すものだろ。花束ひとつで証明できるものじゃないよ。 真紀のためなら命だって懸けられる。でも、花みたいな形だけのもので気持ちをごまかしたくないんだ」 私は笑っただけで、何も言わなかった。 そのまま車に乗り、購入履歴に残っていた送り先へ向かった。 そこにあったのは、ネイルサロンだった。 店の前では、バラの花束を抱えた女性が、幸せそうに隣の人に話していた。 「好きな人には、やっぱりバラくらい贈るでしょ? うちの彼なんて、毎週末欠かさず一束持ってきてくれるの。どんなに忙しくても、ちゃんと目に見える形で気持ちを伝えたいんだって」 私にはくれなかったそんなロマンチックな気遣いを、亮介はとっくに別の女に注いでいた。
ดูเพิ่มเติมけれど、もうこれ以上、亮介の話を聞く気にはなれなかった。私は途中で亮介の話を遮った。「亮介、私たちはもうとっくに終わってるの。母の薬に細工した時からね」亮介はさっと顔色を変え、何も言えなくなった。結局、亮介は離婚届に署名した。ペンを握る手は最後まで震えていた。私が席を立つと、亮介が呼び止めた。「真紀……最後に一つだけ、聞いていいか?」私は足を止めたが、振り返らなかった。「もし……奈緒と出会ってなかったら、ずっと俺のこと好きでいてくれたのかな」私はしばらく黙っていた。亮介がもう返事はないと思った頃、ようやく静かに口を開いた。「もし、なんてないわ。あなたが欲しかったのは、最初から私じゃない。私の実家のお金と、それで手に入る地位だった。奈緒がいなくても、どうせまた別の女が現れてたわ」私はそのまま歩き出した。背後で、亮介はとうとうその場にしゃがみ込み、声を上げて泣き出した。そこでようやく、自分がどれだけ取り返しのつかないことをしたのか、わかったのかもしれない。……実家の会社に入ったばかりの頃、私に期待する人はほとんどいなかった。恋愛に夢中で、お金を使うことしか知らないお嬢様。前の仕事だって、どうせ肩書だけだった――周囲にはそう思われていた。けれど、会社に入ってわずか一か月で、私はチームを率い、最も難航していたヨーロッパ案件をまとめ上げた。目標を大きく上回る結果を出し、新しい市場まで切り開いた。それまで私を疑っていた社員や役員も、次第に実力を認めるようになった。会議で向けられる視線にも、以前のような疑いはもうなかった。経済誌やビジネスメディアも、私の仕事ぶりやこれまでの騒動を次々と取り上げた。過去のことまで掘り返されたが、もう気にならなかった。あの頃のことも含めて、今の私がある。過去まで知られることで、より多くの人に今の私を見てもらえるのなら、それも悪くないと思えた。一年後、父は正式に引退し、私は後を継いでグループ会長に就任した。会長就任の記者会見には大勢の記者が集まり、その中の一人からこんな質問が出た。「これまでいろいろなことがありましたが、今でも愛を信じていますか?」私はスポットライトの下、仕立てのいいスーツに身を包み、落ち着いて答えた。「愛は信じています。でも、それ以
弁護士はうなずき、別の資料を差し出した。「こちらは、ご主人の会社の財務資料です。お母様からの出資金6億円が流用されていました。それだけでなく、佐々木さんの弟がギャンブルで作った10億円もの借金を、会社に連帯保証させていたこともわかっています」思わず眉間を押さえた。去年の会社の忘年会で、経理部長が何か言いたげにしていたのは、このことだったのか。あのとき亮介は、古株の社員が出来心で会社の金を使い込んだと言っていた。私はそれを信じ、何も知らないまま不足分まで自分で補ってしまった。車に乗り込むと、すぐに指示を出した。「銀行に連絡して、亮介の会社への融資は全部打ち切ってもらって。それから取引先にも連絡して、亮介の会社との契約はすべて解除すると伝えて。あんなことをした社長の会社と取引を続けたら、うちの信用にも関わるから」そのときスマホが震えた。亮介からだった。謝罪ばかりのメッセージに、大学時代の写真が何枚か添えられていた。写真の中の亮介は白いシャツ姿で、図書館で私の分の席を取って待っていた。髪に陽が差し、あの頃はまだどこかあどけなさが残っていた。写真を見ているうちに、画面はいつの間にか暗くなっていた。忘れられないと思っていた思い出も、今は思い返すたびに胸の奥が鈍く痛むだけだった。メッセージをすべて削除し、亮介の番号もブロックした。三日後、弁護士からさらに詳しい報告があった。奈緒の母親は、実際には軽い心臓病を患っていただけで、そもそも心臓移植を必要とする状態ではなかった。亮介に「移植しなければ助からない」と信じ込ませるため、重病だと偽っていたこともわかった。スイスの口座にあった金も、亮介が私の実家のグループ企業から流用したプロジェクト資金だったことが判明した。弁護士はUSBメモリを差し出した。「こちらも確認してください。ご主人の会社のサーバーに残っていたメッセージの履歴です。去年3月から続いています」私はUSBメモリをパソコンに挿し、中のファイルを開いた。そこには、私の服装をダサいと笑い、父のことを高圧的だと悪く言う二人のやり取りが残っていた。さらに、母が亡くなったあと、どうやって実家の財産を自分たちのものにするかまで相談していた。【真紀のやつ、まだ俺が本気で好きだと思ってるんだから笑えるよな。父親が金持ちじ
「私を許さないって?亮介、そんな強気なことを言っていられるのも今のうちよ」そう言って、私は手にしていたリモコンのボタンを押した。消えていたスクリーンが突然明るくなり、用意していた資料が映し出された。まず出てきたのは、亮介が父の出資金を使い込み、奈緒にブランド品を買ったり、高級ラウンジを貸し切ったりしたときの送金記録だった。続いて、亮介の父が母の遺産を勝手に動かし、署名まで偽造していた証拠が映った。さらに、親戚たちが私から借りた金を返さず、実家の人脈まで自分たちのために利用していたことがわかるメッセージのやり取りや契約書の写しも出てきた。会場は水を打ったように静まり返った。亮介も画面を見つめたまま、すっかり青ざめていた。「こ、こんなの全部デタラメだ!お前がでっち上げたんだろ!」そう叫ぶと、亮介は奈緒を押しのけ、私の手からリモコンを奪おうと駆け寄ってきた。「真紀、消せ!早く消せ!」リモコンに伸ばしてきた手を振り払い、私は亮介をまっすぐ見返した。「でっち上げ?これで全部だと思ってる?母のことも、いつまで知らないふりをするつもり?」亮介はその場で固まり、さっきまでの勢いも一気に消えた。「な……何のことだよ。お義母さんのことなら、心臓が移植に使えなくなったって病院が言ってただろ。俺は何もしてない!」「何もしてない?」私は鼻で笑い、もう一度リモコンを押した。今度は、亮介と院長のやり取りが会場に流れた。「何とかして、あの心臓は奈緒のお母さんに回してくれ。真紀には、移植に使えなくなったって説明しておけばいい。金はもう振り込んである。絶対にバレないようにしてくれ」そこで録音は途切れ、スクリーンには奈緒の母親のカルテが映し出された。そこには「軽度の心疾患。心臓移植の適応なし」と記され、術後の経過記録まで残されていた。それでも亮介は認めようとせず、震える声で言い張った。「全部嘘だ!誰かが俺をはめようとしてるんだ!真紀、俺たち夫婦だろ?頼むから信じてくれよ。俺がそんなことするわけない!」私は何も答えず、入口に立っていたボディーガードに目で合図した。「本物かどうかは警察が調べればわかるわ。言いたいことがあるなら、署で話して」ボディーガードが扉を開けると、制服姿の警察官が数人入ってきた。
私の姿を見た途端、亮介はびくりと肩を揺らし、とっさに奈緒の手を離した。「真紀?なんでここに……?」さっきまでの余裕はすっかり消え、視線を泳がせて私と目を合わせようとしなかった。奈緒も表情を強張らせ、お腹をかばうように両手を添えた。唇がかすかに震えていたが、何も言えずにいた。亮介の父や親戚たちも、さすがに顔をこわばらせた。ついさっきまで奈緒を囲み、口々に祝福していた人たちも、私の姿を見るなり気まずそうに視線をそらした。さっきまで私のことを好き勝手に言っていたくせに、今は互いの様子をうかがうばかりだった。あれほど賑やかだった会場が、嘘のようにしんと静まり返った。普段は愛想よく私を気遣っていた亮介の父まで、黙り込んでいた。突然、鋭い音が響いた。さっきの女の子の母親である亮介の従姉が、持っていたグラスを床に叩きつけたのだ。彼女は娘を抱き寄せ、その耳をふさぐと、亮介と奈緒を睨みつけた。「二人とも最低!真紀さんにこんなことしておいて、よく平気な顔していられるわね!」そう言って、今度は親戚たちに怒りの矛先を向けた。「あんたたちもよ!真紀さんが小野寺家のためにどれだけしてきたと思ってるの?散々世話になっておいて、よく平気でこんなことできるわね。恩知らずにもほどがあるわ!」その言葉に、親戚たちも黙ってはいなかった。亮介の叔母が真っ先に立ち上がり、亮介の従姉に言い返した。「ちょっと、何よその言い方!真紀さんは亮介と結婚して、小野寺家の嫁になったんでしょう?だったら、家族のために力を貸すくらい当たり前じゃない。亮介の会社が危なかったときだって、真紀さんが実家に頼んで助けたんでしょう?それなのに、家族が一人増えるくらいで、何をそんなに騒いでるのよ」私から4000万円以上借りたままの亮介の叔父も、すぐに口を挟んだ。「そうだ。実家が裕福だからって、何でも好きにしていいわけじゃないだろ。亮介と結婚した以上、小野寺家のことも考えるのが当然だ。それに、もう亮介には子どもができるんだぞ。少しは立場をわきまえたらどうだ。こんなところで騒ぐなんて、みっともない」亮介の従姉はそれ以上聞いていられない様子で娘の手を取り、そのまま会場を出ていった。そこまで勝手なことを言われると、逆に笑えてきた。私は亮介を見た。「亮介