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第2話

Author: ちょうどいい
そう言い終えたところで、私はついに力が尽き、そのまま意識を手放しかけた。だが御医が、すかさず私の体に鍼を打ち込む。

額の冷や汗を拭いながら、御医は切迫した声で告げた。

「夫人、お眠りになってはなりません。ここで眠れば、もう二度と目を覚ませなくなりますぞ。ご夫君のことを、そしてお子のことをお考えください。皆、あなたを待っておられるのです!」

陛下も傍らから言葉を重ねる。

「そうだ、そのとおりだ。そなたは朕を救った功ある身。傷が癒えた暁には、朕自らそなたを護国夫人に封じよう。栄華も富貴も思うままだ。腹の子が女子であれば皇子妃に、男子であれば高官に取り立ててやる。ゆえに気をしっかり持て。朕はすでに人をやって羅文州を呼びに行かせている!」

その言葉を聞き、私はかすかに口の端を引いた。

私は愚かではない。陛下のために身を挺したあの時から、腹の子がもう助からぬことくらい、とうにわかっていた。

それに、羅文州が来るはずもない。案の定、その時になって、陛下が羅文州を呼びにやった宦官が慌ただしく戻ってきた。

その者はどさりと地にひざまずいたまま、どうしても陛下の顔を見上げようとはしない。陛下は眉をひそめ、怒りを抑えきれぬ声で問いただした。

「羅文州はどうした!」

宦官は震えながら答えた。

「羅様は……おいでになりませぬ。それどころか、その……そのような手立てで同情を買おうとしても無駄だ、と……」

そう言うと、宦官は額が砕けんばかりに床へ頭を打ちつけた。けれど私は知っていた。

羅文州の吐いた言葉は、きっとそれだけでは済まなかったのだろう。ただ宦官は、陛下の御前で口にするのを憚っただけだ。

それも当然だった。羅文州の心の中では、私は青玉煙の足元にも及ばぬ存在なのだから。

だが私は、羅文州の正室だ。青玉煙は、ただの妾にすぎない。

それなのに彼は、妾を追うために陛下の安危すら顧みず、禁軍まで率いて青玉煙を慰めに向かったのだ。あの信号花火でさえ、彼が立ち去る前に、私がひざまずいてようやく持たせてもらったものだった。

前世では信号花火を放てば、私を虚栄に目のくらんだ女と罵った。今生では陛下の召しがあっても、なお意に介そうとしない。

そこまで青玉煙を愛しているのなら、なぜあの時、私を妻に迎えたのか。怒りが胸の奥からこみ上げ、私はまたひと口、血を吐いた。

御医は今にも落ちそうな冠を押さえながら、戦々恐々として陛下をうかがう。

「陛下、羅夫人はあまりにも気が昂っております。このような時に身内が傍らにおらねば、恐らく本当に持ちこたえられませぬ!」

陛下は私をひと目見ると、胸中の怒りをどうにか押し殺した。そして腰に下げていた玉佩を外し、宦官へ投げ渡す。

「朕の印だ。行け。これは朕の命令だと伝えよ。それでもなお来ぬというなら――朕はやつを斬る!」

陛下は本気で怒っていた。陛下の身辺には、ふだんなら護衛が幾重にも控えている。

それが、よりによって刺客に襲われたこの日に限って、ひとりとして側にいなかったのだ。私が命を懸けて陛下を救ったというのに、当の私の夫すら呼びつけられぬ。

至尊たる陛下にとって、それはまさしく耐え難い屈辱だった。私の容態では身動きもできず、御医の鍼でかろうじて命を繋ぎながら、薬が煎じ上がるのを待つしかなかった。

そのため、宦官が再び復命した時も、私はまだその声を耳にしていた。だが今度は、宦官はひとりではなかった。

私は力を振り絞って目を開ける。そこに立っていたのは、前世で嫌というほど見覚えのある女――青玉煙の侍女、翠児(すいじ)だった。

もとはといえば、翠児は私付きの侍女だった。だが私が身ごもってからというもの、あの女は私の食事に毒を盛り、発覚した時には、私はすでに命の瀬戸際に立たされていた。

私は翠児を許すつもりなどなく、その場で打ち殺そうとした。するとそこへ、羅文州が青玉煙の腰を抱き寄せて入ってきた。

あの時の羅文州の目を、私は今も忘れられない。あまりに冷えきっていて、まるで私が彼の妻ではなく、仇であるかのようだった。

青玉煙は傍らで声も立てられぬほど泣きじゃくり、翠児の手を握りしめながら、哀れを誘う目で私を見た。

「奥さま、どうしてそこまでお情けがないのですか。あなたは死なずに済んだのではありませんか。なのに、なぜ侍女ひとりの命まで奪おうとなさるのですか。あまりにもむごうございます。

文州さま、よろしければこの侍女を妾にお預けくださいませ。妾はしがない側室の身ではありますけれど、侍女ひとりの命くらいはお守りできますわ」
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