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第994話

Penulis: 木真知子
「......あんた、まさか......私と――」

白露の声は震えた。息も荒い。

竜也は表情を崩さない。

首をわずかに傾け、底に欲を隠したような、ねっとりとした視線で彼女を見る。

白露は悟る。

――今夜、何かを差し出さなきゃ、この薬は手に入らない。

だが、構わない。

男とベッドに入るくらい、慣れている。

この医者は若いし、顔立ちもモデルに引けを取らない。損じゃない。

「わかった。男なんて、結局ほしいのはそれでしょ......」

白露の頬に赤みがさす。

指がひとつ、またひとつとドレスのボタンを外す。

布が滑り落ちる。

深いワインレッドのレースだけが肌に残った。

「これで、いいでしょ。じゃあ――」

「白露さん。何をしてるんです?」

竜也は鼻で笑った。目は冷たい。

「頭の中、男とすることしか入ってないんですか。

いつ、私が『そうしたい』って言いました?」

雷に打たれたみたいに、白露の全身が強ばる。

羞恥で顔が赤くなる。真っ赤を通り越して、どす黒い赤。

「......からかったの?」

「勘違いですよ」

竜也は肩をすくめるだけ。

白露は怒りに震え、床のドレスへ手を伸ばす。

その背に、低い声が落ちた。

「欲しいなら――跪いて、頼みなさい。

『ください』って、私に」

白露は服を着ることも忘れ、唇を震わせる。

「......今、なんて?」

「どの言葉が聞き取りにくかったんです?繰り返す必要はないでしょう」

竜也は指で床を示す。

「これは唯一のチャンスですよ。

あなたは、母親が禁断症状で苦しむのを黙って見ていられます?」

竜也は薄く笑って、刃をひねる。

「宮沢夫人、長くはもたないでしょうね」

......

同じ頃。

桜子はパックを顔に貼ったまま、書斎で椅子に腰掛けていた。

パソコンの画面には、病院内部の映像。

二人のやり取りが、すべて映っている。

白露が入室するなり、あっという間に服を脱ぎ始めたとき――

桜子のパックは取れかけた。

さらに竜也が『ひと手間』加えた瞬間、パックは完全にひび割れる。眉間にしわ。目の底に影が落ちる。

そして、次の瞬間――胸のすく光景。

白露は上半身をさらしたまま、震える膝を折った。

床に両手をつき、竜也の前に跪く。

誇り高き宮沢家の三女――白露お嬢様が、だ。

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