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第518話

작가: 青山米子
このまま言吾をみすみす逃がしてしまえば、己の面子は丸潰れになる!

これは単なる敗北ではない。紛れもない、赤裸々な羞恥!

文人がなおも説得を試みようとするのを遮り、烈は凄みのある声で言い放った。「このまま奴らを逃せば、俺たちの組織は未来永劫、業界の笑い者になるぞ!」

「世界最悪の組織が、世界一の大間抜けに成り下がりたいのか、文人?」

やはり、常人には根っからの悪党の思考回路は理解できない。利益を最優先するはずの文人が、烈のその言葉を聞いた途端、彼と全く同じ思考に染め上げられた。そうだ、絶対に奴らを逃がしてはならない!

我々のような仕事は、無残に死ぬことはあっても、無能だと笑われることだけは断じて許されないのだ!

彼らは予算など度外視して、追撃の賞金を吊り上げていく!

その莫大な金額は、もはや関わり合いになりたくないと及び腰だった連中をも巻き込み、欲望の渦へと引きずり込んだ。

その結果、S国の国境まであと一歩というところで、一葉たちの行く手には、それまでとは比較にならないほどの熾烈な集中砲火が浴びせられた!

敵との格闘の最中だった慎也が、その視界の端に、一葉を狙う狙撃手の赤い光点を捉えた。目の前の敵を容赦ない一撃で昏倒させると、彼は一葉に向かって絶叫しながら飛びかかった。「一葉ッ、危ない!」

その叫び声に、迫りくる敵を蹴り飛ばしたばかりの一葉は、本能的に振り返った。狙撃手が自分に照準を合わせ、まさに引き金を引いた瞬間が、彼女の網膜に焼き付く。一葉はなすすべもなく、目を見開いた。

彼女はただ、見つめることしかできなかった。自分を守るために飛びかかってくる慎也の姿を。彼の体が、自分を致命的な一撃から守るための生身の盾となる、その瞬間を――!

以前、慎也から告白されたことはあった。彼女を愛しているから結婚したいのだ、と。しかし、一葉には、その想いの強さがどうにも具体的に感じられずにいた。彼ほど完璧な男が、自分のような立場の女を本気で好きになるなど、想像もつかなかったのだ。

所詮、現実は小説ではない。バツイチで、しかも別の男の子供を身ごもっている女のもとに、離婚した途端、非の打ち所のない完璧な男性が現れ、どんな状況でも一途に愛し続けてくれる――そんな都合のいい話があるはずもない。

だから、今、彼がためらいなくその身を投げ出し、自分の命さえも顧みずに飛
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