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第9話

Author: 真珠
私は首を横に振った。

肉体が滅びゆくにつれ、魂も薄れていくのを感じた。

サイラスは私の手を取ろうとしたが、何度も空振りした。もう私を掴むことさえできない。

アルファ王である彼は、どんな事態にも冷静沈着に対応してきた。

なのに今、私の手を握れないだけで、サイラスは顔を涙で濡らしている。

「マリーナ、お願いだ、もう一度だけチャンスをくれ。

あんなに酷いことをした俺だが、残りの人生で償わせてほしい。せめて、この償いを見届けてくれ……

今になってやっと分かった。俺は最初からずっと、お前だけを愛していたんだ。行かないでくれ……俺を置いて行かないでくれ……」

私は何も言わず、静かに目を閉じた。

そして、サイラスの目の前で、私の魂は消えていった。

この世界に、マリーナという人魚はもういない。

……

サイラスは研究所に閉じこもり、一週間、何も口にせず、誰とも口を利かなかった。

再び姿を現した時には、アルファ王としての威厳は失われていた。

疲れ果てた表情で、足取りもふらふらとし、使用人に腕を支えられていた。

「俺は……償わなければ……」

人魚族が開発した遺伝子薬がついに完成し、月影一族の運命は救われた。

そして、全てを破滅寸前まで追い込んだエミリーには死刑が宣告された。

その後、サイラスは苦しい実験に耐えている人魚たちを救い出し、海へと帰していった。

皆の前では、相変わらず冷静で頼りになるサイラスを演じていた。

しかし、誰もいないところでは、深い後悔と悲しみに暮れていた。マリーナは、思い出の品すら残してくれなかったのだ。

全てが落ち着きを取り戻した後、サイラスは一人で船を出した。

マリーナの故郷であり、人魚たちの海域へと向かったのだ。

サイラスは両腕を広げ、目を閉じ、一歩ずつ深い海へと進んでいった。

「マリーナ、待ってくれ……

今、会いに行く……」
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