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第 609 話

作者: 一笠
今回の雑誌撮影は、本当に予想外だった。

最初、凛が食事中にこの話を持ち出した時、面白そうだと思い、自分を試したい気持ちもあったから、その場で承諾した。

撮影当日、凛は何度も「あなたらしくいれば大丈夫ですよ」と口にしていた。

雪は撮影の具体的な流れはあまり覚えていない。覚えているのは、レンズの前で思う存分自分を表現し、美しさに酔いしれる自信に満ちた感覚だけだった。

あまりにも長い間、「霧島夫人」として生きてきたせいで、自分が「二宮雪」であることを忘れかけていた。

今でも、肌に当たる照明の熱、そして心臓の高鳴りを覚いだす。

まさか一番嫌っていた凛のおかげで、束の間の青春を取り戻し、一生忘れられない
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