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第 925 話

Author: 一笠
聖天は眉を上げた。「何か間違ったことでも言ったか?」

「ううん」凛は首を横に振った。「ただ、あなたが友達のことをそんなにたくさん言葉を使って話すのを初めて聞いたから」

聖天は友人たちといる時、傍観者のスタンスを取ることが多く、いつも口数が少ない。そのため、まるで表面上だけの付き合いに見えて、本心ではどうでもいいと思っているように思われてしまう。

しかし、さっきの聖天は礼のことについて真剣に考えているうえに、礼への信頼と評価を隠そうともしなかった。

つまり、聖天はちゃんと仲間のことを大切に思っているのだ。

凛は、聖天のことを少しでも新しく知るたびに、彼への想いが増していくのを感じていた。まるで、
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