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第 613 話

Author: 水原信
どれくらい座っていたのか分からないが、海咲の胸には一抹の悲しみが広がっていた。

州平は彼女の胸に顔を埋めたまま、微動だにせず、ただ穏やかな呼吸音だけが聞こえてくる。

彼女は問いかけたいことがあったが、答えは出なかった。

いや、きっと問いかける必要もないのだろう。答えはすでに分かっているのだから。

最終的に、海咲は静かにその場を後にした。

ただ、今回の気持ちは以前と違った。

心に残ったのは、苦々しい酸味のような感情だった。

「夫人」

竜二は彼女が無言で部屋を出てくるのを見て、心配そうに尋ねた。「隊長と喧嘩してないですよね?大丈夫ですか?」

一峰が竜二の服を引っ張り、余計なことを言うなと制止した。
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