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第2話

Author: 金壱
家で行われるパーティ―が終わったその日に、私は弁護士を探した。

パーティ―の当日、早月は私の目の前で、クスノキに熱湯をかけた。その時の彼女の表情は挑発に満ちていた。

「これで匂い袋がなくなっても、隆樹さんがまだあなたのことを必要とするかしらね」

隆樹は、毎日私が作った匂い袋を肌身離さず持っていた。彼女はそれが妬ましいと思っていたが、どうすることもできなかったのだ。

私は焦ってクスノキを助けようとし、うっかり彼女を押してしまった。

まさか隆樹がそれを見て、私をクスノキに縛りつけ、一晩中吊るすよう命じるとは思わなかった。

私がどんなに泣き叫ぼうとも、彼は「よく反省しろ」とだけ言い残し、早月を抱きかかえて去っていった。

夜中まで身をよじって抵抗しているうちに、私の手は血行が悪くなって恐ろしい紫色になっていた。

クスノキは私の絶望を感じ取ったかのように、太い枝が折れた……

私は最後の希望を抱いて隆樹に電話をかけた。

電話がつながった途端、男の冷たい声が響いた。

「清里、まだ懲りないのか?今日は早月が君に怯えてしまって、彼女に付き添わなければならないんだ。死んでないなら、俺を煩わせるな」

早月の甘えるような声が電話越しに聞こえてきた。

「隆樹さん、そろそろシャワーの時間よ」

私は震えながら電話を切り、地面に横たわると、涙が地面を濡らすのに任せた。

そして、最後に弁護士に電話をかけたのだった。

……

リビングでは、隆樹はまだ私のことを理解不能だと思っていた。

「清里、昨日のことは、ただ自分自身を責めるしかないだろうが!」

自分を責める?

私は笑った。

「ええ、そうね。全部私の自業自得よ」

私と隆樹の出会いは、ある誘拐事件だった。

当時、彼は真っ暗な倉庫に閉じ込められていた。私の父が彼を救出し、家に連れて帰ってきたのだ。

救出されたとき、彼は全身に傷を負っていた。父は私に彼の世話をするように言った。

そうするうちに、次第に情が芽生え、彼が林家に引き取られてからも、私たちは連絡を取り続けていた。

PTSDだろうか、彼は不眠症になり長期間治療しても改善しなかった。

彼は目を閉じると、腐敗した匂いのするあの真っ暗な倉庫の中に戻ってしまう。光も、人も、そして私もいないのだ、と言った。

私は胸が痛んだが、どうすることもできなかった。

そんなある日、隆樹が父を訪ねに家に戻ってきた。偶然、家の庭にある古木のクスノキの下で眠りにつき、一晩中安眠できたのだ。

私は、クスノキの葉を匂い袋にして、彼に送るようになった。

それから彼はそれを毎日肌身離さず持ち歩くようになり、不眠症は徐々に良くなっていった。

その後、いつでも新しい匂い袋を彼のために用意できるよう、私は海外留学のチャンスを諦め、彼の通う大学の芸術学部を選んだ。

卒業式の日、隆樹は私の傷だらけの手を握り、そこに残る縫い針の跡を見て、悲しみに涙を流した。

仕事に就いてからは、彼の会社が市場を拡大するのを助けるため、私は画筆を置き、彼と様々なパーティ―に出席するようになった。

私たちは完璧な連携で、すぐに市場での地位を確立していった。

ある日、酒に酔った隆樹は、私の手を握ってつぶやいた。

彼は、私こそが彼を闇から引き上げてくれた人だと言った。

残りの人生もずっとこの手を握って歩きたいと言っていたのだ。

その時の彼の顔は赤く、話すときの目はまるで輝く星のようにキラキラと光っていた。

私はついそれに頷いてしまった。

そしてその夜、私たちは一生を誓い合った。

しかし今、彼を再生させたこの手は、彼自身によって壊されてしまったのだった。

……

家でのパーティ―の夜、私は弁護士に付き添われて病院に運ばれたが、医師から手の神経がひどく損傷しており、一生筆を握ることはできないかもしれないと告げられた。

弁護士は隆樹を傷害罪で訴えることを提案した。

私は一時的にその提案を断り、まずは離婚に専念し、それが叶わなければ追加の証拠を検討するよう伝えた。

リハビリ治療の痛みは、私を無理やり思い出から引き戻した。

医師は私の手を見て、惜しそうに言った。

「あと一時間早く運ばれていれば……残念です」

私は青ざめた顔で微笑んだ。

「いいんです。これで解放されたから」

もう二度と、彼の仕事のために徹夜でデザイン画を仕上げる必要もない。

もう二度と、彼の健康のために、匂い袋を作って血だらけになる必要もない。
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