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第5話

Auteur: 年々
陸斗は書斎で会社の業務を処理していた。

耀太が祖母に尋ねた。「おばあちゃん、暁音って誰?」

陸斗の母は自慢げに語り始めた。「暁音はね、大スターなのよ。あんたのあの、能無しで意地っ張りなママより100倍もすごいんだから」

耀太は暁音が大スターだと聞くや、パパとその暁音の恋愛話を聞きたがってまとわりついた。

陸斗と暁音は幼馴染で、大学を卒業したら婚約すると約束していた。

卒業後、陸斗は起業を選び、裸一貫で事業を始めた。

一方、暁音はスカウトされて芸能界に入り、徐々に名が知られるようになった。

陸斗が最も貧困に苦しんでいたその年、暁音は海外留学を選び、彼を捨てた。

ちょうどその時、雪奈が現れたのだ。

陸斗は告白の際、感情的になって涙を流した。「お前はまるで一筋の光だ。俺の暗闇の人生を照らしてくれたんだ。これからは、俺がこの光を守らせてくれ!」

約束を交わしたはずなのに、彼は1年後、何食わぬ顔で暁音の息子である耀太と、雪奈の娘を入れ替えた。

今や暁音は誰もが知る有名人となり、陸斗の母は、暁音がかつて貧乏を嫌い金持ちを愛した姿など、すっかり忘れてしまっていた。

「暁音と耀太のパパこそ、美男美女でお似合いのカップルなのよ。見て、この服も暁音がわざわざ海外から買ってきてくれたのよ」

雪奈はかすかにそれを聞き、心の中で驚いた。

まさか、暁音が帰国したのか?しかも、陸斗と姑に会っていたのか。

まさか、先週、陸斗が重要な取引先と会うと言って、徹夜で帰らなかったあの日のことか?

どうりで、彼女が何気なく「どんな重要な取引先が社長自ら付き添う必要があるの?」と尋ねた時、陸斗の目が泳いでいたわけだ。

そして、翌日、洗濯物を干している時、彼の襟元に赤い巻き毛が一本ついているのを見つけた。

姑が最近、頻繁に難癖をつけてきたのも、暁音のせいだろうか?

すべてに辻褄が合った。

耀太は暁音の「すごい話」を聞き終え、崇拝の眼差しを浮かべた。

「じゃあ、暁音おばさんに僕のママになってもらう!そうすれば、幼稚園でめちゃくちゃ自慢できるもん!」

陸斗の母はため息をついた。「おばあちゃんも暁音が嫁になってくれたらって願ってるんだけどね。残念なことに、あんたの頑固なパパがね。ただの専業主婦のどこがいいかしら」

雪奈は、危うく吹き出しそうになった。

姑は本当に下品な人だ。彼女自身も世間知らずの専業主婦ではないか。

雪奈は思考を現実に引き戻し、スマホを取り出して、ずっと連絡先に眠っていた番号にダイヤルした。

トゥルル、トゥルル、トゥルル。

誰も出ない。

彼女があきらめかけたその時、低く気だるげな男の声が響いた。

「白河雪奈(しらかわ ゆきな)、あんたがこの電話を一生かけてこーへんと思ってたで」

雪奈は数秒黙り、咳払いをして方言で話し始めた。

「あの時の約束、まだ有効なん?」

電話の向こうでせせら笑う声がした。「あんたが一方的に婚約を破棄して、俺を香辺中の笑い者にしたくせに、今更約束の話をするなんて、どの口が言うとんねん?」

嘲笑され、屈辱を受ける覚悟はしていたものの、「どの口が」という言葉を聞いた時、雪奈は全身が震えた。

彼女は関連する法律を調べていた。もし娘を正当な手段で迎えたいのなら、合法的な夫が必要となる。

その人物が陸斗であるはずがない。

だからこそ彼女は、無情にも捨てた香辺市の御曹司、鷹司レイ(たかし れい)に、恥を忍んでこの助けを求める電話をかけたのだ。

彼女は藤堂家で、もう十分すぎるほどの屈辱を味わってきた。

「もうええわ。この電話はなかったことにして。じゃあね!」

雪奈はぷんぷん怒って電話を切った。

もし娘に頼れる父親を見つけるためでなければ、彼女は「藁にもすがる思い」でこんな真似はしなかっただろう。

「レイの口からろくな言葉が出てくるわけないわよね!」

雪奈は足元のスリッパを手に取り、藤堂家で最も古い先祖の位牌に向かって投げつけた。

「ガチャン」、位牌は音を立てて倒れた。

彼女は一息つき、レイを頼むことを諦めようとした。

次の瞬間、レイの電話がかかってきたのだ。

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