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第8話

Auteur: 年々
雪奈は冷たく言い放った。「もし篠原さんが耀太を気に入ったのなら、どうぞ」

陸斗は眉をひそめながら歩み寄ってきた。「雪奈、何を馬鹿なことを言ってるんだ?」

雪奈は両手を広げ、「冗談よ」と答えた。

福祉施設の子供たちが次々と席に着き、雪奈は緊張しながら一人一人を見つめた。

突然、痩せ細った体つきでポニーテールにした小娘が、彼女の目に飛び込んできた。

掌ほどの小さな顔、その右目尻には朱色のぼくろが輝いている。

雪奈の心臓は激しく高鳴り、今にも駆け寄ってこの子を抱きしめたい衝動を抑えきれなかった。

彼女と同じようにその女の子に気づいたのは、暁音もだった。

当時、彼女が直接女の子を福祉施設に預けたのだ。あの朱色のぼくろは、はっきりと覚えている。

暁音は耀太の耳元で小声で何か囁いた。「行ってらっしゃい、お友達と仲良く遊ぶのよ」

彼女は腕を組み、高みの見物を決め込むような態度だった。

耀太は女の子の前に駆け寄り、有無を言わさず彼女の胸を蹴りつけた。

「暁音ママが言ってた。目元にぼくろがあるのはみんな泥棒猫だって。ちっちゃい泥棒猫め!」

女の子は蹴り倒され、手のひらをごつごつしたコンクリートの床で擦りむいた。

彼女は痛みに顔を歪めたが、声も出せず、おずおずと傲慢な耀太を見上げた。

「私、何も、してない......」

耀太がまた足を上げて蹴ろうとした時、雪奈に腕を掴まれた。

雪奈は震える声で問い詰めた。「なんてわけもなく女の子をいじめるの?」

耀太は引き離されたことに不満げに、「あいつは孤児で、パパもママもいないんだ。いじめられて当然だ!」と言い放った。

その言葉は、雪奈の心を深く抉った。

陸斗は物音を聞きつけ、歩み寄ってきた。

「耀太、ママに口答えするな」

耀太はぷんぷんと怒りながら暁音の手を引いた。「暁音ママが、あいつは悪い子だって言ったんだ。僕が懲らしめてるんだ」

雪奈は全身を震わせ、腕を上げようとしたが、陸斗に止められた。

「雪奈、お前は赤の他人のために耀太を叩くつもりなのか?」

陸斗は実の娘にさえ気づかなかった。

女の子の目には涙が溜まり、よろよろと立ち上がると、雪奈のズボンを掴んだ。

「おばさん、私、大丈夫だから。お兄ちゃんを叩かないで」

雪奈はポケットからティッシュを取り出し、彼女の手のひらの血を拭いてあげた。

「お名前は?」

女の子ははにかむように笑い、「私、ノラって言うの。園長先生が、パパとママに捨てられたからって」と答えた。

雪奈の心は、これ以上ないほど痛んだ。

陸斗は少し苛立ち、財布から現金の束を取り出して床に投げ捨てた。

「お前、これで医者に見てもらえ」

「雪奈、式典が始まる。みっともない真似はするな」

雪奈はぼんやりとしたまま引きずられていった。

慈善団体設立式典は無事に終わり、園長先生が最後に集合写真を撮ることを提案した。

暁音は腰をくねらせて雪奈の左側に立ち、笑ってピースサインをした。

「娘に気づいた?あら、本当に可哀想ね」

暁音は絶えず言葉で雪奈を刺激した。

「陸斗さんは息子が好きだから、あんたの娘を捨てたのよ。耀太は白くてふっくらしていて、本当に可愛らしいわ。あんたの娘みたいに、骨と皮ばかりじゃない」

......

雪奈はもう我慢できず、立ち去ろうとした。

しかし、彼女の手が暁音に触れるか触れないかのうちに、暁音はまっすぐ後ろに倒れた。

頭上のイルミネーションが、寸分違わず彼女の上に落ちてきて、暁音の体に当たった。

「ああ!助けて!」

暁音は床に倒れ、顔は血だらけだった。

事が起こるのがあまりにも早く、雪奈はその場に呆然と立ち尽くした。

陸斗は雪奈を飛び越えて暁音のそばに駆け寄り、暁音を腕に抱いた。

暁音は息も絶え絶えに言った。「陸斗さん、私、ただ雪奈さんに耀太のことで怒らないでって言っただけなのに」

陸斗は冷たい眼差しで雪奈を見た。「雪奈!暁音は親切心から言ったのに、お前は彼女にこんな仕打ちをするなんて。本当にがっかりさせた」

耀太が駆け寄ってきて雪奈を突き倒した。「ふん、おばあちゃんに、あんたが暁音ママをいじめたって言ってやる!」

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