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第792話

Author: 結奈々
柚香「ここだと思う」

康平「ここだと思います」

二人は声を揃えて言った途端、動きを止め、思わず顔を見合わせた。

まさか、二人とも同じ場所を選ぶとは思わなかった。

「せっかく息ぴったりで同じ場所を選んだんですから、最初はここから行きましょう」

康平は相変わらず軽い口調で、場の空気を重くしない。「遥真さんの性格を考えれば、もし本当にここにいるなら、周辺にはきっと見張りを置いてるはずです」

柚香は頷いた。その意見には納得できた。

遥真は何をするにも用心深い。

「お嬢様」康平の視線が柚香の履いているハイヒールに向く。「このあと、少し歩いてもらうことになるかもしれません」

柚香が気にしているのは、ただ一つだった。「遥真の見張りを避けられる?」

「俺だって、何年も隊長についてきたんですよ」自分が甘く見られたと思ったのか、康平は少し不満そうだった。「こっそり入り込むくらい、どうってことないです」

「分かった」柚香は安心した。

二人はすぐに出発した。二十分後、監視カメラもなく、人通りの少ない場所に車を停めた。

少し離れたところに建つ別荘を見ながら、柚香は自信が持てずにいた。

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