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第74話

작가: フカモリ
信行の問いに、真琴はちらりと祖父に視線を送り、返事する。

「今夜は実家で祖父と過ごします。芦原ヒルズには戻りません」

数日前なら、美雲が芦原ヒルズにいた手前、彼女も体面を保つために帰らなければならなかった。

しかし、このところ美雲は泊まりに来ていない。真琴の気苦労も、それほど多くはなくなった。

電話の向こうで、信行は黙っている。

その様子に、真琴は続けて言う。

「ご用がないのでしたら、先に切りますね。あなたも、早くお休みになってください」

そう言って、返事を待たずに電話を切り、祖父との将棋に戻る。

芦原ヒルズでは、信行が通話の切れたスマートフォンの無機質な音を聞き、バンとそれを隣の棚に投げ捨てた。

両手をズボンのポケットに突っ込み、庭の外の夜景を見つめる。顔は暗く曇っている。

以前は、いつも真琴が徹夜で彼の帰りを待っていた。

今や、信行の方が彼女の帰りを待っている。

淡々と庭の外を見つめていると、不意に、真琴の日記帳に書かれていたあの男に、強い興味が湧いてくる。

そこまで考えると、信行は振り返り、スーツの上着を手に階下へ降りていった。

……

辻本家。

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