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第4話

Autor: 金星鈴里
私は眉をひそめ、平然と言い放った。

「汚らわしいお守りなんて、もういらない。

それはいけないのかしら?」

湊が胸を激しく上下させ、その瞳には激しい痛みと怒りが渦巻いていた。

彼は無造作に、私が捨てたお守りを踏みつけると、靴底で何度も強くグリグリと踏みにじり、鼻で笑った。

「琴音、お前ってやつは……甘やかしすぎたせいで血も涙もない人間になっちまったのか!この恩知らずめ!

海斗が莉奈を選んだのも当然だ、お前みたいな……」

「湊……」

大和が低い声で遮った。

湊は目を赤くして、私をじっと見つめ続けていた。

私の表情に、ほんの僅かでも悲しみや後悔の色が浮かんでいないか、必死に探っているのだ。

けれど、彼が見つけたのは、凪いだ水面のように感情のない私の顔だけだった。

湊は怒りに体を震わせ、喉の奥から怒りを絞り出した。

「琴音!そのお守りは莉奈の持ち物だ。

お前に貸してやってただけだ!

それを勝手に捨てるなんて、一体何様のつもりなんだ!」

私の心は意外なほど凪いでいた。

淡々と答える。

「じゃあ、莉奈に新しいのを返してあげるわ」

その淡々とした態度が、湊の逆鱗に触れた。

彼は私を指差し、怒鳴りつけた。

「まだ強がる気か!なら今すぐ代わりのお守りを貰い直してこい!

千段の石段を、一段たりとも飛ばすことは許さん。

這いつくばってでも登り切るんだな!」

大和が止めようとしたが、湊の鋭い視線に制止された。

彼もまた、これが私の根性を叩き直す良い機会だと思ったのだろう。

私の刺し傷は大したことない、どうせ気を引くためのパフォーマンスだと、彼らは確信しているのだ。

街を外れた山にある寺に着いた途端、突然雨が降り出した。

雨に濡れた千段の石段は、氷のように冷たく滑りやすい。

私はうっかり転んで、膝をすりむいてしまった。

雨水が傷口に染み込み、えぐるような痛みが全身を駆け巡る。

けれど私は痛みを感じないかのように、ただ自分に言い聞かせ続けた。

これが最後。これをやり遂げれば、湊への借りはすべて返し終えるのだ。

ようやく新しいお守りを手に入れた時には、意識が飛びそうだった。

全身ずぶ濡れで、頭は熱を持ってズキズキと痛み、意識は遠のきかけていた。

如月家の門を開けると、そこは華やかな祝賀パーティーの真っ最中だった。

莉奈は皆に囲まれ、物理学賞のトロフィーを胸に抱き、満面の笑みを浮かべている。

私の姿を目にした瞬間、和やかだった空気は凍りついた。

真っ先に大和が眉をひそめ、怒鳴りつけてきた。

「琴音!なんだそのザマは!如月家の娘としての自覚はないのか!」

全員の視線が一斉に私に突き刺さる。

侮蔑、苛立ち……そこには心配の色など欠片もなかった。

私は周囲の視線を無視して莉奈の前まで歩み寄り、お守りを彼女の手に押し付けた。

莉奈は恐縮したように手を引っ込めたが、その瞳の奥には微かな得意げな色が浮かんでいた。

「お姉さん、やめてください……私、別に責めるつもりなんて……」

その見え透いた芝居に付き合う気力もなく、私は背を向けた。

背後から大和と湊の罵声が聞こえてくる。

私は聞こえないふりをして自室に入り、鍵をかけた。

引き出しから用意していたカミソリを取り出し、迷いなく手首を切り裂いた。

血が溢れ出した瞬間、私はかつてないほどの解放感に包まれた。

ドアの外から、蓮のノックが聞こえた。

「琴音、開けろ。話がある」

私は虫の息で、答える力も残っていなかった。

湊の不機嫌な声が響く。

「放っておけ!どうせまた、悲劇のヒロインを気取って同情を引こうとしているだけだ。

甘やかすからつけあがるんだよ!」

蓮もそれ以上は食い下がらず、足音は遠ざかっていった。

私はようやく念願叶って目を閉じることができた。

魂がふわりと浮かび上がるのを感じる。

魂が宙に浮いたその時、ドアが激しい音を立ててこじ開けられた。

般若のような形相の大和が飛び込み、その後ろに蓮と湊が続いた。

「琴音、お前、また……」

怒鳴り声が途切れ、床一面に広がる鮮血が彼らの視界に飛び込んできた。
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