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第2話

Author: 聞芝
俺は美柚に向けて穏やかに微笑んだ。

「美柚、明日まで見るのは我慢して。サプライズがあるから」

彼女は俺に視線を向け、眉をひそめた。「今日、あなたどうかしてるわよ。何?私と結婚できて嬉しさのあまりおかしくなったの?」

確かに、喜ぶべきことだ。

なにしろ、生きている美柚にようやく再会できたのだから。

俺は笑った。「君は世界で一番素晴らしい人だと思う。君を妻にできた人は、絶対に幸せになれるはずだ」

彼女は「ふん」と冷たく鼻を鳴らし、背を向けて歩き出した。もし俺が彼女に好かれていないと知らなければ、照れ隠しだと勘違いしていただろう。

その時、そばを通りかかった夫婦が嬉しそうに話しているのが耳に入った。

「今夜は百年に一度の流星群だって。一緒に流星を見た夫婦は白髪になるまで添い遂げられるって伝説があるのよ。ねえ、私たちも見に行こうよ」

その言葉に、俺の足取りがふっと重くなった。

前世の今日、彼女が俺を愛してくれるかもしれないという淡い期待を抱き、しつこく流星群を見に行こうと誘ったことを思い出した。

あの時返ってきたのは、彼女の冷ややかな嘲笑だった。「形だけの夫婦が流星群を見たからって、長続きするとでも?あなたの理屈なら、世界中の人が一緒に流星群を見れば、不仲な夫婦なんていなくなるってこと?寝言は寝て言いなさいよ」

今回は、もうそんな期待はしていない。

だが、美柚が突然口を開いた。「流星群が見たいなら付き合ってもいいわ。でも新婚旅行は無理よ。会社が忙しくて暇がないから」

驚いて彼女を見ると、自ら言い出したことに意外さを感じたが、すぐに腑に落ちた。

美柚は口が悪いが、根は優しいのだ。でなければ、三度も命懸けで俺を救ったりしない。

一度目は十八歳の時。俺が路地裏で強盗に遭った際、彼女は俺をかばって右手に刃物を受け、橈骨神経を損傷した。そのせいで彼女は二度と重い物を持てなくなり、ピアニストになる夢はその瞬間に音を立てて崩れ去った。

二度目は地震の時だ。二人で瓦礫の下に閉じ込められた時、彼女は俺を騙して残りの食料と水をすべて俺に与え、生きる希望を譲ってくれた。救助がもう少し遅れていたら、彼女はあのまま瓦礫の中で息絶えていただろう。

三度目は大型トラックが突っ込んできた時だ。彼女は俺をきつく抱きしめ、飛散したガラスの破片が彼女の後頭部に突き刺さった。彼女に身を挺して守られた俺は、軽い擦り傷を負ったに過ぎなかった。

三度も命を捧げるようにして俺を救った彼女を前にして、どうやってこの愛という名の呪縛から逃れろというのか。

返事を待てず、美柚は少し苛立ったように言った。「結局、流星を見に行くの?行かないの?」

我に返り、俺は彼女に微笑みかけた。「ああ、今夜、一緒に流星を見に行こう」

美柚はようやく表情を和らげると、タクシーを拾った。

「とりあえず家に帰るわ。後で天文台に行きましょう」

その時、美柚のスマートフォンが鳴った。電話に出た彼女はすぐに顔をしかめる。

「蓮斗が手を怪我したみたい。ちょっと様子を見に行ってくるから、あなたは先に帰ってて」

俺は頷いた。「わかった」

彼女は少し意外そうな顔をした。「前は私が彼に会いに行くのをあんなに嫌がってたじゃない。どういう風の吹き回し?」

俺が口を開きかけると、彼女はまた冷たく笑った。「そうね、もう結婚したんだし、彼があなたの立場を脅かすこともないものね。家に着いたら連絡して。先に行くわ」

彼女はタクシーに乗り込んで去っていき、俺の瞳に満ちた失望と口元に浮かんだ苦笑いを見ることはなかった。

実のところ、以前、俺は彼女が蓮斗を特別扱いすることを一度も止めたことはない。

だがある日、彼女の両親と俺が偶然、蓮斗が中年女性とキスをしている現場を目撃してしまった。後で調べると、彼はとっくに複数の裕福な女性パトロンに養われていることが判明した。

だからこそ、それ以来、美柚が彼とこれ以上深く関わるのを必死に止めていた。

しかし美柚は何も知らず、彼が死んだ後、十年間も地獄のような苦しみを味わい続けた。

どうせ選ばなければならないのなら、彼女が蓮斗と結ばれる姿を見る方がまだマシだ。あんなにも彼女を苦しませ続け、最期は俺を庇って死なせるなんて……そんなことは、もう二度と繰り返したくない。

罪悪感と自責の念は、いとも簡単に人を押し潰してしまうものだ。

俺は深くため息をつき、先に大学へ向かって推薦留学の枠を確保してから帰路についた。
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