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第580話

Penulis: 栄子
綾は、30歳になった自分がヒモ男のターゲットになっているとは、夢にも思っていなかった。

少し息苦しくなった綾は、一人でバルコニーに出た。

そこへ渡辺海斗(わたなべ かいと)は、クリームケーキを一切れ持って出てきた。

彼は芸能界の新人というわけではなかった。デビューして3年、時代劇ドラマで何度か主演を務めたものの、パッとせず、3年間売れない状態が続いていた。そして今年、ついに会社から見放されつつあった。

だからこそ、彼は今夜のパーティーに、あらゆる手段を使って潜り込み、綾の目に留まるように画策していたのだ。

「二宮社長、抹茶クリームケーキです。お好きでしたよね?」

澄んだ男の声が背後から聞こえ、綾は振り返った。

綾は目の前に差し出された抹茶ケーキをチラッと見てから、海斗に視線を向けた。

目の前の男は、芸能界でもかなりのイケメンで、長身だった。そして、あの情熱的な瞳は、まさに恋人役を演じるのにぴったりだった。

だが綾はシャンパングラスを軽く揺らしながら言った。「すみません、甘いものは苦手です」

「でも、この前のインタビューでお好きですが......」

「適当に言っただ
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