LOGIN契約結婚から5年。碓氷誠也(うすい せいや)が外で可愛らしい愛人を囲っていることを知っても、二宮綾(にのみや あや)はずっと我慢し続けていた。 しかし、実の子のように可愛がっていた息子が、実は誠也と愛人の子供だと知った時、 綾はついに、この結婚は最初から自分を騙すためのものだったのだと悟った。 愛人は本妻気取りで、誠也が作成した離婚届を持って、綾の前に現れた。 その日、綾は妊娠していることが分かった。 男が汚れたのなら、もういらない。息子が愛人の子なら、愛人に返せばいい。 愛情を断ち切り、未練を捨て去った綾は才能を開花させ、お金を稼ぐことに集中した。 かつて綾を侮辱した家族たちは後悔し、我先にと彼女に媚びへつらい始めた。 かつて彼女を男にすがって成り上がろうと軽蔑していた御曹司たちも今ではそれを後悔し、こぞって大金を積んで彼女にアプローチするようになった。 他の女に唆されて反抗的だった子供も後悔し、泣きながら彼女を「ママ」と呼び続けた。 * ある深夜、綾は見知らぬ番号から電話を受けた。 電話口からは、誠也の酔っ払った低い声が聞こえてきた。「綾、彼のプロポーズは受けちゃダメだ。離婚届には俺はサインしていないんだ」
View More自分の部屋に戻ると、詩乃はドアを閉めて、大きく息を吐き出した。しかし、兄の態度は以前と何も変わらなかった。本当に、何も覚えていないのだろうか?本来なら安心するべきなのに。なぜか、胸にぽっかり穴が空いたような喪失感を感じた。詩乃はお腹を撫でながら、心にチクリと刺されたようだった。この思いがけない小さな命とは、もうすぐお別れだ。妊娠ホルモンのせいなのか、この小さな命がもうすぐ自分のもとを去ってしまうと思うと、詩乃はたまらなく名残惜しかった。彼女は重いため息をつき、着替えを持ってバスルームへ向かった。その夜、詩乃はベッドの中で何度も寝返りを打ち、なかなか寝付けなかった。......そして、時はあっという間に午前4時になった。別荘の外で車の音が聞こえた。花嫁のスタイリストチームが到着したのだ。雲は岡崎家の古株として、雄太に頼まれ、ここ数日手伝いに来ていたのだ。彼女はスタッフを招き入れ、2階の音々の部屋へと案内した。音々は昨夜お酒を飲んだので、今ごろはぐっすり眠っているだろう。雲はドアの前に立ち、ノックした。反応はない。雲はいつものことのように微笑んで、言った。「花嫁さんは昨夜お酒を飲んだから、まだ寝ているんでしょうね。少しお待ちください。私が起こしてきます」それを聞いて、メイクアップアーティストとアシスタントは笑顔で頷き、「分かりました」と答えた。雲はドアを開けて中に入った。ドアは少し開いていて、中から話し声が聞こえてきた。「4時ですよ。起きる時間ですよ」「雲さん、あと30分だけ寝かせて」「ダメですよ、さっき岡崎さんがわざわざ私に電話して念押ししてきましたから。あなたが起きられないって、とっくに見抜いてたんです。9時には迎えに来るから、準備が出来ていなければ、そのまま抱き上げて連れて行くとも言っていましたよ!」「そんなことさせないから!」音々はベッドから飛び起きて、あくびをしながら怒ったように言った。「綾たちに、結婚式のゲームをネットでたくさん調べてもらったんだから、彼が全部クリアしないと結婚してあげられないんだから!」それを聞いて、雲は笑って言った。「それなら早く支度しなさい。カメラマンも下に待っていますよ。式の様子は全部録画するんだから、花嫁らしくしないとダメですよ」
真央はすっかり酔っていたが、酒癖は悪くなかった。詩乃は真央がトマトジュースを飲み干すのを見届け、ようやく胸を撫で下ろした。トマトジュースを飲んだ後、真央は胃が温まり、気分が良くなった。そして、そのままベッドに倒れこんで眠ってしまった。詩乃はずっと真央のそばで見守っていた。彼女が汗をかいているのを見て、ティッシュで額の汗を拭いてあげた。そして、真央の呼吸が安定し、深く眠っていることを確認してから、彼女は静かに部屋を出て行った。......それから、詩乃は空になったカップをキッチンに持っていくと、キッチンにあったトマトジュースの入ったカップがなくなっていることに気づいた。どうやら使用人がもう浩平に届けたようだ。詩乃は空のカップをシンクに置き、キッチンを出て、3階へと向かった。荷物は使用人が既に部屋に運んでくれていた。詩乃は、音々が言っていた東側の部屋のことを思い出した。そして、彼女は東側の部屋のドアを押して、中に入った。部屋の電気はついていた。しかし、奥に進むにつれ、何かがおかしいと感じ、足を止めた。大きなベッドの上に男性用の黒いジャケットが置いてあり、ナイトテーブルの上にある腕時計に見覚えがあった......詩乃はドキッとした。まさか、部屋を間違えた?ちょうど出ようとしたその時、バスルームのドアが「カチャッ」と開いた。それを見た詩乃は息を呑み、その場に立ちすくんでしまった。バスローブを着た男性は、襟元が大きく開いており、胸元や腹筋には水滴が滴り落ちていた......その瞬間、詩乃の頭は真っ白になった。あの夜の出来事が、不意に、そして鮮明に蘇ってきた。逃げ出したいのに、足は根が生えたように動かない。目を見開いて何か言おうとするけれど、声が出ない。「お、お兄さん......私、私は......あなたは......」彼女はそう言いつつ、このまま気を失えたらどんなにいいかと思った。浩平はドアを開けると、詩乃が自分の部屋に立っているのを見かけた。状況を理解する間もなく、詩乃の怯えた表情が目に入った。彼は眉をひそめた。自分がそんなに恐ろしいのか?と思った。「ここは俺の部屋だ」浩平はさりげなくバスローブの襟を正してから、詩乃の目を見て、落ち着いた声で言った。「あなたは小さい頃から
綾はテーブルの上の空になった酒瓶に目をやった。かなりの量を飲んでいる。音々は酒に強いとはいえ、酒は体にいいものじゃない。ほどほどにしておくべきだ。本当に命に関わることになったら大変だ。綾は輝に言った。「そろそろ休もうと思うんだけど、輝、あなたも早く寝た方がいいよ」輝は綾の言葉を聞いて安心した。そして彼は明日の結婚式の迎えの件について再度念を押してから、電話を切った。そして、綾もスマホを置いて、音々の手からグラスを取り上げた。「もう部屋に戻って休んだ方がいいよ。寝不足だと明日のメイクのノリが悪くなるよ」そう言われて、音々は素直に引き下がった。「我妻監督、今夜は私の負けね。明日、明日また勝負しよう!」そう言って音々は詩乃の方を向いた。「詩乃、飛行機で疲れてるでしょ。今夜はあなたと真央......いや、真央は酔うとひどいから、あなたを蹴飛ばしたりするかもしれないし......3階の東側のゲストルームを使ってくれる?部屋は片付けてあるから、すぐ使えると思うよ」詩乃は立ち上がり、「お姉さん、分かった」と答えた。音々は手を振って、「それじゃあ、私は先に休むね。皆さんもお休み」と言った。花嫁が去ると、友人たちもそれぞれの部屋に戻っていった。真央はすでに泥酔して意識がなかった。片や香凜とKもだいぶ酔っていたが、意識ははっきりしていたので、二人で協力して彼女を部屋まで連れて行った。誠也と綾も部屋に戻った。ほどなくして、深夜の別荘は、急に静まり返った。そして、真央は部屋に戻る途中で吐いてしまい、かなり酔っていたようだ。そこを使用人が掃除をしていたのだった。それを見た詩乃は使用人に、「キッチンにトマトはある?」と尋ねた。「はい、冷蔵庫にあります。お持ちしましょうか?」「ありがとう。自分で取りに行ってくるよ」「かしこまりました」詩乃はキッチンに行き、冷蔵庫からトマトを2つ取り出した。トマトジュースは二日酔いに効くらしい。詩乃は大学時代に海外留学していた時、浩平としばらく一緒に暮らしていた。当時はまだ兄妹として、仲良く過ごしていたんだった。浩平はある日、接待で飲みすぎて、帰宅するとソファに倒れこんで頭痛を訴えたのだ。あの時のことを思い返すと、詩乃は当時彼らの食事の世話をしてくれていた使用人
詩乃は慌ててスマホを取り出し、ラインを開いて、「二宮社長、私が追加しましょうか?」と言った。「うん」そう言って綾は自分のQRコードを表示した。二人がラインの友達になると、音々は詩乃を綾に任せて、再び皆と盛り上がりにいった。真央はさっき詩乃を迎えに行っていたので、参加していなかった。だからこの時、真央と浩平はまだ何とか音々と張り合えていたが、他の人たちは既にダウンしていた。星羅は最初に負けを宣言し、丈に運ばれて休憩に戻った。香凜とKも顔が真っ赤になっていた。お酒は弱くない二人だが、明日は花嫁花婿の付き添いをしなければならないので、これ以上飲むのはやめて、降参した。なのに、当の音々はまだグラスを片手に、余裕綽々としていた。音々は一滴も飲んでいない真央と、ブランデーを3杯飲んでも顔色一つ変えない浩平を見て、眉を上げた。「二人とも、本当に降参しないの?」真央は言った。「私はまだ飲んでありませんよ。降参する理由がないでしょう!」「そう、まだ始めていないのね。じゃあ、続けて」音々はそう言って、浩平を見た。「我妻監督、あなたは?」浩平はグラスを手に持ち、眼鏡を軽く押し上げながら、落ち着いた様子で言った。「ご祝儀はちゃんとあげたんだから、これくらい飲ませてくれてもいいでしょ?」音々は言葉に詰まった。そこまで言われたら、音々も止めるわけにはいかないと思って、容赦をしないつもりになった。音々はボトルを持ち、三人のグラスをいっぱいに注いだ。「じゃあ、乾杯しよう!飲めなくなりそうだった言ってね......」それから三人は一歩も譲らず、飲み続けた。一方で、綾と詩乃はジュースを飲みながら、その様子を見ていた。そして詩乃は、思わず何度も浩平の顔を見てしまうのだった。綾もそれに気づいた。彼女は何も聞かなかったが、詩乃の浩平を見る目が少しおかしいことに気づいていた。この時、音々の机に置かれたスマホは、ずっと鳴り続けていた。しかし、音々は気づいていなかった。そしてついに、綾のスマホが鳴った。輝からだった。綾が電話に出ると、輝の声が聞こえてきた。「綾、音々と一緒か?」「みんなでシアタールームにいるよ」「じゃあ、なんで音々は電話に出ないんだ?」綾はまた飲み続けている音々を見て、小さく笑った。「今、
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