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第19話

Author: しんしん
真白は消毒液の匂いの中で意識を取り戻した。

まぶたを開けると、海辺の小さな村の診療所の見慣れた天井と、志乃ばあちゃんの心配そうな顔が目に入った。

「お嬢ちゃん、目が覚めたのかい?!」

志乃は涙声でそう言い、慌てて温かいタオルで真白の額を拭った。

真白の意識は一瞬で鮮明になった。崩れ落ちた岩、息苦しい暗闇、頬に落ちてきた温かい血。砕けた記憶が怒涛のように押し寄せる。

彼女は志乃ばあちゃんの手を勢いよく掴み、弱りきった喉からかすれた声を絞り出した。

「あの人は?迅はどうなったの?」

志乃は焦りきった真白を見て、そっと息をついた。立ち上がると、真白のベッド脇のカーテンをさっと開ける。

隣のベッドには、迅が静かに横たわっていた。

顔は青白く、唇からは血の気が失せている。胸には分厚い包帯が巻かれていたが、胸元は規則正しく上下しており、呼吸が落ち着いていることが分かった。

「彼は……」

真白の心はまだ宙に浮いたままだった。

「心配しなさんな。お医者さんは、命に別状はないって言ってたよ。ただ、血を流しすぎたし、肋骨も二本折れてる。しばらくはしっかり休ませなきゃいけないけどね」
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