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第7話

作者: 白川 透子
病院へ向かう車の中。先ほどまで瑶の肩を抱き、気遣いの言葉をかけていた尚弥がようやく雨音の頬の傷に気づいた。

病院に着くと、流血が止まらない自分の肩をよそに尚弥は医師に懇願した。

「もうすぐ結婚式なんだ。僕の雨音の顔に絶対に傷を残さないでくれ!」

そう言い終えると手話で彼女に向き直り、申し訳なさそうに言った。

[ごめんね、全部僕のせいだ。さっき瑶を庇ったのは彼女が僕の部下だからだよ。君を怒らせたくなかった……許してくれる?]

雨音は何も返さなかった。ただ、医師に向かってこう告げた。「私の傷は後回しでいいので、彼の肩を優先して処置してください」

どうせ結婚式には出席しないから、顔に傷が残ろうと、もうどうでもいい。

尚弥は彼女が痛みを隠してまで寄り添う姿を、自分のための「無償の愛」だと信じ込み、どこか感極まったように静かに微笑んだ。

医師が血に染まったシャツを切り開くと、露わになったのは生々しい傷口。

その位置を見た瞬間、雨音の視線が止まった。ちょうど、五年前の地震で鉄筋に貫かれた場所と同じ。

当時できた丸い傷跡は新たな裂傷にすっかり覆われ、跡形もなくなっていた。

そうか……これは神様が示しているのかもしれない。私たちの関係は、もう終わるべきだと。

病院を出る頃、瑶が両腕で自分を抱きながら尚弥にしがみつくように話しかけた。

「ねえ、今夜、あなたの家に行ってもいい?」

そのか細い声に尚弥は戸惑いながらも、目に見えて心を揺らがせた。

視線をそっと雨音に移し、探るように手話で問いかけた。

[雨音、今日は瑶がひどく怯えていて……少しの間だけ、うちに泊めてあげてもいいかな?]

すぐに、まるで誤解されまいとするかのように、必死で続けた。

[変な意味じゃないんだ。ただ、上司として責任があるから……]

その言い訳めいた説明に、雨音は手のひらに爪を食い込ませた。

この人、本気でこの場に連れて帰るつもりなの?

しかし、次の瞬間。自嘲の笑みが口元に浮かんだ。

もういいわ。どうせ私が去ったあと、遅かれ早かれ彼女があの家に住むんだから。

「好きにして」

その一言に、尚弥はどこか安堵しつつも、瑶の前では極力距離を取った。

彼女が話しかけようとしても、尚弥は目で制した。

雨音は、そんな二人の芝居じみたやりとりすら見る気がせず、窓にもたれて目を閉じた。

家に着くと、尚弥は瑶の期待を裏切り、彼女を二階のゲストルームへ案内した。その視線には、明らかに「仕方なく」という色が滲んでいた。

寝室に戻ると、尚弥は消毒液と絆創膏を持ってきて、雨音の傷に優しく手当てをした。

[雨音、どうして医者に診てもらわなかったの?もし傷が残ったら、僕がどれだけ後悔すると思う?]

手当てが終わると、彼はそっと額にキスを落とした。

[もう二度と、君に傷なんてつけさせない。今日は咄嗟だったんだ。部下が目の前で襲われて、考えるより先に体が動いた。

だって、僕の社員に手を出すってことは、僕自身を侮辱するのと同じだから。君なら、わかってくれるよね?ね、雨音]

もっともらしいその言葉に、もし彼らの関係を知らなければ——もし、彼の目に宿る所有欲と怒りを知らなければ、信じていたかもしれない。

けれど、雨音は何も言わず、「疲れたから休む」とだけ答えた。

尚弥はいつものように、寝る前のミルクを持ってきて背をさすりながら優しく寝かしつけた。

深夜。雷鳴に雨音は目を覚ました。

ぼんやりとした意識のまま、隣にいるはずの尚弥の腰に腕を回そうとしたが、そこには何もなかった。

冷えたシーツの感触に瞬時に眠気が吹き飛んだ。

ベッドを出て階段を降り、二階の廊下に足を踏み入れたとき、かすかな女の喘ぎ声が耳に届いた。

足が止まった。心のざわめきを押し殺し、一歩、また一歩と音を立てないように歩みを進め、ゲストルームのドア前まで辿り着いた。

ドアは大きく開け放たれ、あたたかみのある照明の下——そこには、何も纏わぬまま絡み合う、二つの裸の体があった。

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