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第2話

Auteur: 鉄玉111
佐倉亮太からの電話で、前世の記憶が鮮明に蘇ってきた。

前世、姑はいつも不倫相手と会う時、私をダシにして色んな言い訳を並べていた。

北楼のお団子が食べたがるから買いに行くとか、姑の手料理が食べたくないから買いに行くとか言って、デートの時間を捻出した。

毎回数時間も帰ってこなかった。

しかも、帰ってきた時は、息を切らし、汗だくで、服も乱れていて、挙句の果てには、買ってきてくれるはずだった物も買えなかったと言い訳ばかり。

「あら、ごめんね、あそこのお店のお菓子が売り切れちゃったの。彩乃が食べたいって言ってたから、何軒かお店を回ったんだけど、結局どこも売り切れだったのよ」と、いつも同じ言い訳を繰り返していた。

前世の今日、姑は私にパンを買ってくるという口実で家を抜け出し、実際は妊娠中の隠し子の検診のために病院へ向かっていた。

子供の父親が既婚者だったため、姑は事が明るみに出て相手の評判に傷がつくことを恐れていた。

そこで、嫁の私の名前と情報を使ってこっそり産婦人科で診察を受け、この隠し子を私と佐倉亮太の子として戸籍に入れるつもりだったのだ。

姑の考えは実に大胆不遜だ。私名義の子でありながら、実際には私の義理の妹か弟になる。

こんな事実が公になれば、きっとTikTokでトレンド入りするだろう。

しかし、どんなに周到に計画を立てても、不倫相手の本妻の鋭い勘には敵わなかった。

あの本妻さんは内通者から情報を得て、旦那の愛人が産婦人科を受診したことを知ると、一団を引き連れて病院に乗り込んできた。

姑は状況のまずさを察知し、適当な理由をつけて私を病院に呼び出した。

そして、産婦人科の診察を受けた名前が私であることを理由に、愛人だと濡れ衣を着せ、激怒した本妻さんから衆人環視の中で服を剥がされ、暴行を受けて殺されてしまったのだ。

前世の姑の悪行の数々を思い出すと、怒りがこみ上げてくる。今世では、絶対に彼女に報いを受けさせてやる。

そんなに隠し子を産みたがるのなら、とことん産ませてやる!

前世のように、わけも分からず佐倉亮太に電話を切られるような真似はしなかった。

彼が電話を切る前に、優しい声でこう言った。「あなた、何言ってるの?私、お母さんに何も買ってきてもらってないわよ?」

「でも、病院で働いてる友達から連絡があって、病院でお母さんを見かけたって言ってたの」

「もしかしたら、病気で私たちに心配かけたくないから、あんな口実で病院に行ってるんじゃないかしら?どうしよう、あなた。お母さん、本当に何かあったんじゃないかしら?」

佐倉亮太はそれを聞いて、たちまち慌てふためいた。

「すぐ病院に行く!」

私は電話を切り、無表情でスマートフォンを置いた。

ライブ配信をしている友人に連絡した後、私も急いで病院へ向かった。

前世のように受け身でいるわけにはいかない。今世では、私が主導権を握るわ。
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