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第2話

作者: カレン・W
外に出ると、街は祝日の華やぎで輝いていた。

恋人たちは手をつなぎ、子どもたちはキャンディケインを手にしている。

行き交う人々は、皆帰る場所へ向かっているように見えた。

家。

その言葉は、もう私にとってほとんど意味を持たなかった。

私は歩き続けた。

行き先なんてない。ただ前へ進むだけ。

気づけば、思考はあの夜へと引き戻されていた。

――両親のことを告げる電話がかかってきた夜。

飛行機事故。

いつもの出張なのに、帰らぬ人となった。

私はリビングの床で泣き疲れて、そのまま眠ってしまった。

目を覚ましたとき、3人の兄が私を囲んでいた。

勇敢で優しかったアッシャーは、私を強く抱きしめてささやいた。

「大丈夫だ、カイア。まだ俺たちがいる。お前は一人じゃない」

今の彼は、あの頃の自分を見ても、気づくことすらできないんじゃないだろうか。

かつて守ると誓った妹を、今ではまるで存在しなかったかのように追い出したのだから。

残された時間はただの一週間。

その後、私はいなくなる。兄たちがそれを喜んでくれればいいと思う。

だって彼らはもう、私に「あの役目」でいてほしいとは思っていないのだから。

......

私は昔から「できる子」だった。成績は常にトップ。

化学と物理では、天才と呼ばれるほどだった。

クラスメイトたちが大企業への就職に列をなす中、私はそんなものには興味を示さなかった。

私は家に戻った。

レナー家のビジネスは、フォーブスに載るようなものじゃない。

扱っているのは「薬」――処方箋なんて必要としない類のもの。

そして私は、その組織の中で最年少の化学者だった。

役目は単純。新しい製品を開発し、市場に流して利益を生み出すこと。

でも兄たちは、その価値を理解しなかった。

彼らにとって化学者は裏方に過ぎない。

力、取引、マネーロンダリング――重要なのはそこだ。

製品を流す者がいなければ、配合式なんて何の意味もない、と。

彼らはわかっていなかった。

私がいなければ、そもそも売るもの自体が存在しないことを。

それでも私は、出ていくと決めた。

残り一週間で、すべてにけりをつける必要がある。

ラボでの最終製品テストを終わらせなければならない。

私はひたすら式とフラスコに没頭し、最後まで仕事をやり遂げると決めた。

手袋を外してラボを出たとき、すでに深夜を大きく回っていた。

そのとき思い出す――まだ屋敷の自分の部屋を片付けていなかったことに。

もう何年も住んでいない。

でも正式に出て行ったわけでもない。

私の持ち物は、いまだに引き出しやクローゼットに残されたままだった。

私は幽霊みたいに家に忍び込み、裏階段から自分の部屋へ向かった。

「ここに住んでた人間っていうより、泥棒みたいだな」

背後から、低く平坦なアッシャーの声がした。

その声を聞き、私は振り返った。

「ごめん。荷物を片付けに来ただけだから」

彼は腕を組み、鋭い視線を向けてくる。

「この前、新製品のテストに行くって言ってたな。どこへ行くつもりだ?」

「......」

私は彼の後ろに目をやった。

シルヴィが影からそっと現れ、無邪気な目でこちらを見ている。

「キューバの古いラボだよ」

私は何でもない風に答えた。

「このくらい普通でしょ」

「そうか」

彼は一度うなずいた。

「仕事はきちんとやれ」

そう言って背を向ける。

シルヴィだけが少しだけ躊躇した。

「カイア」

彼女は小さな声で、私にだけ聞こえるようにささやいた。

「どれくらい、行くの?」

「長くなるかもね」

そう答えると、彼女の顔がぱっと明るくなった。

まるで一足早いクリスマスプレゼントをもらったみたいに。

アッシャーが振り返る。

「シルヴィ、またカイアに何か言われたのか?」

「ち、違うよ!」

彼女は慌てて首を振った。

それから大きな瞳で私を見つめ、甘ったるい笑みを浮かべる。

「ただ、カイアに行ってほしくないの。私、あの部屋に住むわけにはいかないし......お願い、カイア。出て行かないで」

「安心して」

私は静かに言った。

「別に取り戻したりしないから」

ジェイスが階段を上ってきて、腕を組みながらにやりと笑う。

「芝居がかってるな。本当に出ていくなら、さっさと行けばいいだろ」

私は何も言わず、そのまま部屋に入った。

......

扉を閉めた瞬間、現実が一気に押し寄せてきた。

コルクボードには、子どもの頃に描いた落書きがそのまま残っている。

机の上には色あせた家族写真。

部屋の隅には、7歳の誕生日に着たピンクのチュールドレスが、まだ大切そうにビニールに包まれていた。

喉の奥が詰まる。

でも、泣いている暇なんてない。

私は黙々と片付けを進めた。

すべて終わる頃には、箱が五つできていた。

私の痕跡は、ほとんどすべて消えた。

壁に刻んだ身長の印さえ、ほぼ消されていた。

これで彼らも満足だろう。

「お姫様」は、ようやく私の残り物に邪魔されることなく、あの部屋に入れるのだから。

私は専属のボディーガード、ジェームズに電話をかけ、荷物を運ぶよう頼んだ。

彼は数分で到着し、箱を車へと運び出していく。

外では雨が降り始めていた。静かで、途切れることのない雨。

どこまでも陰鬱で、今の気分にぴったりだった。

ジェイスが玄関に立ち、腕を組んだまま得意げな表情を浮かべる。

「あとで泣きついてきても無駄だからな。部屋はもう返さないぞ」

「安心して。そんなことしないから」

私は振り返りもせずに言った。

最後に屋敷を振り返ることもなかった。

アッシャーも、ジェイスも、ノアも見なかった。

でも、背中に彼らの視線を感じていた。

重たい闇が押し寄せてくる中、ジェームズが私を支えるように抱き留めた。

「大丈夫ですか?」

低い声で問う。

私は首を振り、意識を保とうとする。

「平気......」

ジェームズは一度だけ兄たちの方へ視線を向け、表情を変えないまま私に向き直った。

「行きましょうか」

――でも、彼らが最後に一言浴びせずに済ませるはずがなかった。

「へえ」

ノアが何気ない調子で言う。

「それで急いで出ていったのか。ボディーガードとそういう関係?お前にはがっかりだよ、カイア」

私はびくりと肩を揺らした。

「違う、そうじゃない......」

声はかすかに漏れただけだった。

ジェームズが一歩前に出て、私をかばうように立つ。

「私はカイア様の友人です。カイア様にも、私にも、敬意を払っていただきたい」

アッシャーが鼻で笑い、怒気を滲ませる。

「何だと?ただのボディーガードのくせに、敬意を求めるつもりか?」

私はジェームズの袖を引いた。

布を握る指に力がこもる。

「いいから」

――争わないで。無駄だし、傷つくのはジェームズだから。

ジェームズは私を見下ろした。

その目に浮かんだ憐れみが、どんな侮辱よりも深く胸を刺した。

「......わかりました」

彼は低くつぶやく。

「どうせもう行くことに――」

「ジェームズ!」

私は声を上げ、彼をトラックの方へ引っ張った。

でも、遅かった。

ノアの目が鋭く細められる。

「『行く』?」

いつも通り落ち着いた声で問い返す。

「それ、どういう意味だ」

「何でもないよ」

私はすぐに言った。

「ただの出張の話。彼も一緒に連れて行くだけ」

ノアの目に一瞬だけ、何かが揺れた。

まるで、何か言いたげな......もしかしたら、ほんの少しだけ、私に残ってほしいと思っている?いや、気のせいかもしれない。

だって彼らはもう、とっくに私がこの家族の一員だったことすら忘れている。

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