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第910話

Auteur: ちょうもも
悠良は車に乗り込むと、すぐにスマホを取り出し伶に電話をかけた。

だが、誰も出ない。

胸の奥に嫌な予感が込み上げ、彼女は運転手に急かした。

「すみません、急ぎです。もっと飛ばしてください」

車は一気にスピードを上げ、ようやく中野グループの本社に到着した。

悠良は車のドアを押し開け、大急ぎでビルの中へ駆け込み、一直線に18階の会議室を目指す。

扉の前に辿り着いたとき、中から中野の声が聞こえてきた。

「寒河江社長、これは株式譲渡契約です。サインさえしていただければ、本日中に資金がそちらの口座に振り込まれます」

心臓がぎゅっと締め付けられた悠良は、勢いよく扉を押し開けた。

「サインしちゃダメ!」

声に反応した伶の手が止まり、顔を上げて入口を見る。

その深い瞳に、一瞬驚きが走った。

「どうして君が......」

「来なきゃ、寒河江さんが会社を売ってしまうじゃない!」

悠良は小走りで駆け寄り、息を荒げながら言った。

「前に約束したでしょう?何があっても相談するって。どうして黙って子会社を売ろうとするの?子会社の事業はYKと直結してるのよ。唇亡びて歯寒しってことくらいわ
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