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第1203話

Author: 小春日和
「……ありません」

中井は内心に不満を抱えつつも、従うしかなかった。すでに株主たちは満場一致で石渕美桜の解任に同意しており、冬城グループは、このまま立花の手に渡るだろう。

「それならいいわ」

真奈は唐橋龍太郎の方を振り返り、軽く声をかけた。「行きましょう。伊藤がまだ下で待ってるわ」

「かしこまりました」

唐橋龍太郎はそのまま真奈の後に続いた。

彼は内心、少なからず驚いていた。まさか真奈に、ここまでの手腕があるとは。

たった数言で株主たちを言いくるめ、意見をひっくり返してしまうとは……

そして今、この冬城グループは、こうして立花のものになった。

階下では、伊藤が車の中であくびを噛み殺していた。真奈と唐橋龍太郎の姿を目にすると、窓を開けて軽口を叩いた。「おいおい、遅いぞ。もう全部片付いたのか?」

「ええ、解決したと言っていいでしょうね」

「さすが真奈、この一戦は本当に見事だった!」

「ええ、綺麗に片付いただけじゃなく、唐橋家で龍太郎くんを脅した人物が誰なのか――それも、はっきりと突き止めたわ」

その言葉に、唐橋龍太郎はすぐさま隣の真奈を見た。

気づいていたのか?
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