昭惠は足から力が抜け、その場で崩れ落ちるように昭子の前へひざまずいた。「お姉ちゃん、青葉さんには……どうか内緒にしてください。本当に、やむを得なかったんです。息子が重い病気で、もし青葉さんに助けてもらえなかったら、専門家を呼んで治療してもらうことも、そのためのお金を用意することもできませんでした」涙をにじませ、全身を震わせながら訴える昭惠。昭子は高慢な面持ちで彼女を見下ろした。先ほどまでの不機嫌さは跡形もなく消えている。「誰があなたのお姉ちゃんなの?これから私的な場では『昭子さん』と呼びなさい。いいわね?」昭惠は慌てたように何度も頷いた。「わかりました、昭子さん」「安心して。あなたの正体を誰かにバラしたりはしないわ。でも、あなたも自分の立場をよくわきまえなさい。これから私が言うことは、何でも聞くのよ。いい?」「はい……私のことを明かさないでくださるなら、何でもします」昭惠は胸を撫で下ろし、安堵の息をついた。なぜ昭子が自分の正体を明かさずにいるのか、深く考える余裕はなかった。「もういいわ。立ちなさい」昭惠は震える足でなんとか立ち上がった。「昭子さん、本当に……本当に私を助けてくださるんですか?」「あなたがきちんと、お母さんを喜ばせるならね。ええ、もちろんずっと助けてあげるわ」昭子は、あくまで青葉のためだと言わんばかりに語る。「お母さんがどれほど長い間、自分の実の娘を探し続けてきたか、あなたは知らないでしょう。やっと見つけて、やっと娘だと認めたのよ。お母さんを悲しませたくないの」昭惠はその言葉に、昭子はなんて親孝行なのだろうと胸を打たれた。「ご安心ください。私は青葉さんを大切にします。決して悲しませたり、怒らせたりしません」「そう。けれどもし今後、お母さんがあなたに何か与えようとしたら、必ず断りなさい。どうしても断りきれない時は、必ず私に知らせること。わかった?」「はい」昭子は一拍置き、さらに念を押すように告げた。「今日のことは、誰にも話さないで。あなたの夫にもよ。いいわね?」「はい、わかりました」昭惠の従順な態度は、実に扱いやすい。すべて指示を与え終えた昭子は、気分すっきりと部屋へ戻り、休息を取った。その一方で昭惠は、心臓が止まりそうなほど恐怖に駆られ、その夜は寝返りばかりで眠
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