梨花は毅然として言葉を紡ぎ、その瞳には揺るぎない決意が宿っていた。清は少し驚いた。梨花がここまで鋭く状況を把握しているとは思わなかった。とはいえ、彼女の能力があることは認めるが、彼女がどのような目的でここに来たのか、まだ完全には見極められない。そして、面接で示した能力が本物かどうかも疑問だ。何しろ、州平の秘書として採用された者は、いずれ彼と肩を並べて働く存在となるのだから、慎重にならざるを得ない。「君のバックグラウンドなんて、僕にはどうでもいい。葉野グループが重視するのは能力だけだ」清はゆっくりと口を開き、口元にわずかな笑みを浮かべた。「もし君に本当に能力があるのなら、この程度の契約なん
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