ここは、彼らの大切な家――だからこそ、二人はできる限りの力を尽くして、この家をより良い場所にしていこうと心に決めていた。「こういうことは料理人に任せればいいんだ。わざわざキッチンに立つ必要はないよ」清墨は顔を上げると、慌てて恵美の手を取ってソファに座らせた。「お腹もどんどん大きくなってきてるんだから、今はちゃんと休まないと。こんなこと、君がやるべきじゃないよ。本来なら、俺がスープを作る側だ」夫である自分が妻をきちんと労わるのは当然のことだ。ましてや妊娠・出産という大きな負担をすべて引き受けているのは、妻ひとりなのだ。その彼女にこの時期に少しの思いやりも見せられないなんて、男として情け
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