「伯母さんには伝えた?」理仁は唯花に尋ねた。「ええ、伯母様に会いに行ったんだけど、あの件を伝えるためだったの。彼女は子供時代の事はあまり覚えていないらしいわ。ただ、子供の頃、家庭条件は良くて、周りからは『お嬢様』って呼ばれていたことは覚えているって。お母様は特に忙しい方で、いつも父親が世話をしてくれていたんだって。それから、伯母様の祖父母はあの時代、彼女たち姉妹のことを女の子でも煙たがらず、逆にとても喜んでいたとか。伯母様の話したこの記憶から、私は十中八九、彼女は黛家の前任当主の娘だと思うのよ」理仁は頷いた。「黛っていう名字は極端に少ないからね。伯母さんの旧姓が黛だと、どうしても柏浜の黛一族と関りがあるんじゃないかって思ってしまうものだ。それに、聞いた話から今考えるとその推測は間違っていないと思うよ」唯花は少しだけ黙ってから言った。「伯母様は今ちょっと心が乱れているみたいで、少し静かに考える時間が必要みたい。それに旦那さんと息子の玲凰さんも呼んで、自分が本当に黛家出身かどうか、もう少し深く調べないといけないって言っていたわ」もし本当であれば、また新たな争いの火種が生まれてしまう。「何か助けが必要なら、いつでも私たちに声をかけて、とは伝えてあるから」理仁は言った。「いろいろと聞き回るのは難しい話じゃないが、あの噂が真実かどうかを証明するのは難しいだろうね」世間はみな、黛家当主が実の姉と妹を殺害し、姉の夫側家族ですら見逃すことはないくらいに残酷だと言っている。しかし、それは周りから聞いた話であって、本当に黛家当主がそれをしたという証拠はどこにあるのだろうか。それにこの事件はすでに数十年経過している。当時のことを知っている者がいたとしても、すでにこの世を去っている可能性が高い。あの黛家当主が、事情を知る者を逃しておくわけがない。「私はどんな事だって、完璧に隠し通せることはできないと思ってるの。絶対にどこか綻びがあって、誰かがそれに気づくはずよ」唯花は正義は必ず悪に打ち勝つと信じている。たとえその正義が遅れてきたとしても、絶対にいつか必ず訪れる。黛家当主があのような残酷な真似をしたのであれば、必ず調べはつくはずだ。いくら隠そうとしても、隠しきれない真実がいつかは明るみに出るだろう。「俺から悟に言って、弦さん
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